釘煮とは? わかりやすく解説

くぎ煮


くぎ‐に【×釘煮】


釘煮

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/29 23:30 UTC 版)

釘煮
ご飯に乗せたイカナゴの釘煮
発祥地 日本
地域 兵庫県 神戸市
主な材料
食物エネルギー
(小鉢1杯(60.7g)あたり)
98[1] kcal
栄養素
(小鉢1杯(60.7g)あたり)
タンパク質 6.66 g
脂肪 1.94 g
炭水化物 11.87 g
類似料理 佃煮飴煮
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釘煮(くぎに)は日本瀬戸内海沿岸(播磨摂津淡路)で古くから作られている郷土料理[2]イカナゴやその稚魚コウナゴ(小女子)、シンコ(新子)を醤油砂糖ショウガなどで甘辛く煮た佃煮の一種である[2]

できあがりの姿が「曲がって錆びた」のように見えることから「釘煮」と呼ばれている[2][3]

神戸発祥の地とも言われており、元々は漁業関係者の家庭で作られていた料理だったが[2]1980年代以降、日本全国に広く知られるようになった[2]。地域外への普及は、元々肉体労働を伴う漁師向けの濃い味付けだった釘煮を明石市漁業協同組合の女性が一般家庭向きにレシピを改良し、料理講習会を開催するなど普及に努めたという経緯がある[2]

瀬戸内海のイカナゴ漁が解禁されるのは毎年2月下旬からであり、風物詩ともなっている[3][4]。解禁に伴って兵庫県内のスーパーデパートではイカナゴ、シンコの販売コーナーも設けられ、各家庭でイカナゴの釘煮、シンコの釘煮を作るのもまた春の風物詩となっている[3][4]

魚谷常吉は著作『滋味風土記』(1935年、秋豊園出版部)で、釘煎(くぎいり)(釘煮の意)を「イカナゴ料理の中で最も美味のもの」とし、にも飯にも合い、保存が効くと述べている[5]

2009年には、株式会社伍魚福が主体となって「いかなごのくぎ煮振興協会」が設立された[6]ウェブサイト「くぎ煮.jp」の運営、「いかなごのくぎ煮コンテスト」、「いかなごのくぎ煮文学賞」といった事業を展開している[6]。なお、「くぎ煮」は伍魚福の登録商標となっている。

いかなごのくぎ煮文学賞は特別審査委員長に三田完が就任している。

発祥

イカナゴ漁は駒ヶ林(現在の神戸市長田区)では1000年以上前から行われているが、釘煮がいつごろから作られていたのかははっきりしない。少なくとも『滋味風土記』が発行された1935年には既に存在していたことが確認できる[5]

魚谷は『滋味風土記』にて「釘煎を注文するには兵庫の駒ヶ林の漁業組合か、明石の垂水魚市場(現在の神戸市垂水区)へ頼むのが良い」としており、この両者が発祥の地として考えられている[5]

2013年10月2日には駒林神社(神戸市長田区)の大鳥居前に「いかなごのくぎ煮発祥の地」石碑が建立された[5]

出典

  1. ^ いかなごのくぎ煮”. カロリーSlism. 2022年6月21日閲覧。
  2. ^ a b c d e f イカナゴのくぎ煮 兵庫県”. 農林水産省. 2022年6月21日閲覧。
  3. ^ a b c 『楽楽 神戸・姫路』JTBパブリッシング、2014年、137頁。ISBN 978-4533097706 
  4. ^ a b 『日本のヘンな風習』イースト・プレス、2012年、116頁。 ISBN 978-4781608679 
  5. ^ a b c d くぎ煮とは”. くぎ煮.jp. 2022年6月21日閲覧。
  6. ^ a b くぎ煮振興協会とは”. くぎ煮.jp. 2022年6月21日閲覧。

外部リンク


釘煮

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 06:08 UTC 版)

イカナゴ」の記事における「釘煮」の解説

四国除いた播磨灘大阪湾面した瀬戸内海東部沿岸部で、イカナゴは釘煮と呼ばれる郷土料理親しまれ阪神地区播磨地区では春先に、各家庭イカナゴ幼魚炊く光景見られてきた。 釘煮は佃煮1種であり、水揚げされイカナゴを、醤油ざらめ糖千切りにしたショウガなどで味付けして煮込み煮汁減った段階味醂加えながら、焦がさぬように、煮汁無くなるまで数回煮詰める事を繰り返すこの際に、箸などでかき混ぜると身が崩れ団子状固まってしまうため、一切かき混ぜない。炊き上がったイカナゴ幼魚は、茶色く曲がっており、その姿が錆びた釘に見えるため「釘煮」と呼ばれるようになったとする説が有力である。なお「くぎ煮」は、神戸市長田区珍味メーカーである株式会社伍魚福(ごぎょふく)の登録商標である。 ある種風物詩として、また毎年3月末頃に、阪神地区播磨地区食料品店に、製品化された釘煮が山積みされてきた。また、この地域の土産物店でもイカナゴの釘煮は販売されており、ショウガ味の以外に、サンショウ味、トウガラシ味の製品見られる常温日持ちする釘煮は、郵送親類知人送付することも多く行われており、郵便局だけでも年間100万近く、釘煮が送付されている。これに着目し明石市郵便局一部では、レターパックに収まるサイズプラスチック容器販売行っている。 神戸市垂水区イカナゴの釘煮発祥の地呼ばれており、それを示す石碑垂水区塩屋町建てられた。ただし、これには異説唱えられており、2013年10月2日には、神戸市長田区駒ケ林駒林神社大鳥居前にいかなごのくぎ煮発祥の地」の石碑建立された。 一方で、同じ近畿地方でも、前述地域を除く他の地域ではイカナゴの釘煮は、あまり食されない顕著な例として、京都ではイカナゴの釘煮よりもちりめん山椒主流であり、そもそも京都住人などは、イカナゴ自体下魚として嫌う傾向散見される

※この「釘煮」の解説は、「イカナゴ」の解説の一部です。
「釘煮」を含む「イカナゴ」の記事については、「イカナゴ」の概要を参照ください。

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