遺伝毒性とは? わかりやすく解説

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いでん‐どくせい〔ヰデン‐〕【遺伝毒性】

読み方:いでんどくせい

遺伝子不可逆的な障害与え性質DNA損傷する化学物質紫外線X線γ線などの電離放射線が、その要因となる。


変異原

(遺伝毒性 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/31 03:17 UTC 版)

変異原(へんいげん、mutagen)とは、生物遺伝情報DNAあるいは染色体)に変化をひき起こす作用を有する物質または物理的作用(放射線など)をいう。GHSの定義では、「変異原性物質(Mutagen)とは、細胞の集団または生物体に突然変異を発生する頻度を増大させる物質」であり、「突然変異(Mutation)とは、細胞内の遺伝物質の量または構造における恒久的な変化」である[1]

変異原としての性質あるいは作用の強さを変異原性(へんいげんせい、mutagenicity)もしくは遺伝子毒性(いでんしどくせい)と呼ぶ[2][3][4]

特に、発がんにおけるイニシエーター(initiator。発がん性物質で、遺伝情報に異常を起こしてがんの原因を作るもの)のほとんどは変異原性物質でもあることが実験的に知られている。

日本においては、医薬品(医薬品医療機器等法)、食品添加物(食品衛生法)、農薬(農薬取締法)、新規化学物質(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)および労働環境検査(労働安全衛生法)についてサンプルの変異原性試験が求められている。

つまり、変異原性を調べることは遺伝毒性、発がん性の可能性がある物質を見つけ出すのにも役立つと考えられ、変異原性試験は発がん性物質のスクリーニング試験(候補の絞り込み)としての意味も持つ。

種類

変異原には次のようなもの(物質または物理的作用)がある。

試験法

変異原性を検出する方法として最もよく用いられるものに、サルモネラ菌 Salmonella typhimuriumなどの細菌を用いる突然変異試験であるエームス試験(Ames test、開発者B. N. Amesにちなむ)がある。変異原性の存在は常に発がん性を始めとした遺伝毒性を有することを意味せず、遺伝毒性を判定するには発がん性を始めとした遺伝毒性試験(遺伝子突然変異試験と染色体突然変異試験)が必要である[4]。すなわち、変異原性試験はプロセスが簡便なため、遺伝毒性試験の前スクリーニング(絞り込みスクリーニング)として実施されるため一連の遺伝毒性試験に含まれる場合がある。しかし変異原性試験の結果のみでは遺伝毒性試験の代用にはならない。

変異が起こる過程やそれらに伴う現象を検出するための種々の試験法がある。検出対象によって大きく分ければ次のようになる。

  1. 変異原性試験
  2. 遺伝毒性試験
    • 染色体異常試験
      小核試験
      姉妹染色分体交換試験(SCE)
    • 遺伝子突然変異試験
      形質転換試験(発がん試験を含む)
      優性致死試験

OECD テストガイドライン

以下、GHS第3版において生殖細胞変異原性物質の試験の例として引用されているOECDテストガイドラインを記載する。リンクは該当文書の国立医薬品食品衛生研究所翻訳それぞれへのリンクである。原文はOECDのOECD Guidelines for the Testing of Chemicalsから無償でダウンロードできる。

出典

  1. ^ 化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)改訂3版 環境省訳 [要ページ番号]
  2. ^ 変異原性試験、薬学用語解説 [リンク切れ]
  3. ^ 変異原、関連用語の解説, 日本環境変異原ゲノム学会
  4. ^ a b 変異原性, 環境用語集, 一般財団法人環境イノベーション情報機構

外部リンク


遺伝毒性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 02:40 UTC 版)

ダイオキシン類」の記事における「遺伝毒性」の解説

実験動物ラットマウス及びハムスター)による長期毒性試験ではダイオキシン類発癌性示唆する報告なされている。ラットにおいては、Kocibaら(1978)が肝細胞過形成結節及び肝細胞がん硬口蓋及び鼻甲介肺の扁平上皮がん有意な増加報告している。NTP毒性評価試験1982)では肝の腫瘍結節NOAELで1 ng/kg/day)、甲状腺濾胞細胞腺腫NOAEL1.4 ng/kg/day)の増加報告している。 ラット及びマウス肝臓、肺と皮膚の二段階発がんモデルによるとダイオキシン類プロモーター作用認められEGF受容体及びエストロジェン受容体との相互作用関与示唆されている。このような2,3,7,8-TCDDには間接的なDNA障害認められるが、直接的な結合記事 インターカレーションに詳しい〉は認められない考えられている。各種変異原性試験等においても陰性を示す結果多くダイオキシン類自体DNA影響与える遺伝毒性はないものと総合的に判断されるまた、ダイオキシン類プロモーター作用併せて考慮する2,3,7,8-TCDDの発がん機構には閾値があり、一定量上の存在作用発見に必要であることが示唆される。 WHOの下部機関であるIARC1997年2,3,7,8-TCDDの発がん性評価を「人に対す発がん性がある」とした(IARC発がん性リスク一覧・Group1に詳しい)、その一方2,3,7,8-TCDD以外のダイオキシン類についてはGroup3(ヒトでの発がん性有無不明)と評価している。

※この「遺伝毒性」の解説は、「ダイオキシン類」の解説の一部です。
「遺伝毒性」を含む「ダイオキシン類」の記事については、「ダイオキシン類」の概要を参照ください。

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