発がん機構
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/10 04:43 UTC 版)
ベンゾピレンジオールエポキシドは3つの酵素反応を経て発癌性を誘発させる物質となる。ベンゾ[a]ピレンはまずシトクロムP4501A1により(+)-ベンゾ[a]ピレン-7,8-オキシド及び他の生成物となる。これがエポキシド加水分解酵素による代謝により(-)-ベンゾ[a]ピレン-7,8-ジヒドロジオールとなる。これがシトクロムP4501A1と反応しベンゾピレンジオールエポキシド((+)-7R,8S-ジヒドロキシ-9S,10R-エポキシ-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[a]ピレン)を生成させるが、これが発癌性物質となる。 エポキシ酸素の電子を偏った状態で保持しているエポキシドの2つの炭素は求電子的である。このためこの分子がDNAにインターカレートし、求核性のグアニン塩基のN2位と共有結合を形成する。X線結晶構造解析により、結合形成がDNAを変形させていることが示されている。これが通常のDNA複製過程においてエラーを引き起こし、がんの原因となる。この機構はグアニンのN7位に結合するアフラトキシンのものと似ている。
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