発がん性および抗がん性について
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 23:34 UTC 版)
「ブチルヒドロキシアニソール」の記事における「発がん性および抗がん性について」の解説
1982年に名古屋市立大学の伊東信行ら研究グループによってラットの前胃に対しての発がん性が報告されたものの、発がん性の見られた用量と、全く影響が見られなかった用量が明確であり、かつ発がん性の見られた用量は、通常使用量の数万倍であった。伊東信行らによれば、発がん性の見られた用量は1322 (mg/kg/日)、組織の過形成が見られた用量は109.6 (mg/kg/日)であった。なお、何も変化が見られなかった用量は54.8 (mg/kg/日)であり、これが最大無毒性量(NOAEL)と判断された。ヒトにおける1日摂取許容量(ADI)は安全率を考慮して、日本では0.5 (mg/kg/日)と設定された。 また、オランダでのコホート研究では、食物経由での常識的な摂取量であれば、胃がんとの関連性は見られないと報告された。欧州食品安全委員会は2011年に再評価を行い、ADIを倍量の1.0 (mg/kg/日)に引き上げた。 一方で、動物実験での話だが、BHAには既知の発がん性物質によって誘導された病変を抑制する作用も報告された。1996年にWilliamsは、ラットにおいてアフラトキシンB1による肝臓ガン発生の抑制を報告した。また1986年に、伊東らは7,12-ジメチルベンズアントラセンで誘発された乳腺ガンの抑制を報告した。 なお、IARC発がん性リスク一覧では、ヒトに対する発がん性が疑われるGroup 2B(動物では安全性および発がん性に関するエビデンスが有るものの、ヒトに対してはエビデンスや疫学的なデータがない)に分類されている。
※この「発がん性および抗がん性について」の解説は、「ブチルヒドロキシアニソール」の解説の一部です。
「発がん性および抗がん性について」を含む「ブチルヒドロキシアニソール」の記事については、「ブチルヒドロキシアニソール」の概要を参照ください。
- 発がん性および抗がん性についてのページへのリンク