輸血の歴史とは? わかりやすく解説

輸血の歴史

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/25 08:11 UTC 版)

輸血」の記事における「輸血の歴史」の解説

歴史上輸血類する試み文書に残るのは、17世紀年代記作家Stefano Infessuraの記述遡ることができる。1492年ローマ教皇インノケンティウス8世臨終に際して、3人の10歳少年の血が医師提案で、口から与えられた。少年たちには金銭与えられる約束であったが、教皇だけでなく3人の少年死んだとされる。Infessuraの作り話であるとする人々もある。ハーベー血液循環説から、17世紀には、動物使った実験が行われるようになり、1666年にはリチャード・ロウアーからへの輸血失血させた輸血行い回復させることに成功した。 人への輸血試みは、国王ルイ14世医師務めたジャン=バティスト・デニが、1667年6月15日15歳少年12オンス(約400cc)の羊の血を輸血し次に労働者にも羊の血を輸血した。これらの被験者生き延びたが、輸血の量が少なく拒絶反応に体が耐えられたためだと考えられる3人目被験者死にその後スキャンダル巻き込まれ1670年フランスでは輸血試み禁止された。1667年ロウアーも人への数100ccの羊の血の輸血をおこなうが、被験者生き延びた動物の血のヒトへの輸血1875年頃、レオナルト・ランドイスらが、異種動物血液輸血溶血反応などを起こすことを、試験管内動物生体実験証明するまで300例以上も実施された。 人から人への輸血成功したのは、イギリスジェームズ・ブランデルで、1818年12月22日内出血死にかかっている女性患者に夫の血、4オンス注射器使って輸血した。患者2日半ほど元気を取り戻した死亡し1825年から1830年の間に合計10人の患者輸血行いその内5人が生き延びた南北戦争で2回の輸血が行われ、普仏戦争でも戦場輸血が行われたが、血液型不整合問題や、血液凝固問題で、多く失敗例うまれたカール・ラントシュタイナーによって血液型発見されるのは1901年のことであり、この発見輸血危険性減少させることとなった20世紀初頭の輸血に関する技術貢献したのはアレクシス・カレルやジョージ・ワシントン・クライルで、血液凝固を防ぐために、患者静脈ドナー動脈外科的に接続する方法患者救ったクライル1905年直接接合による輸血法で成功収めた1910年代ベルギー医学者アルベール・ユスタンらによって、血液抗凝固剤開発が行われ、第一次世界大戦では多く負傷した兵士生命を救うこととなった日本における輸血実施第一次世界大戦日本赤十字社救護班率いてパリ派遣され塩田広重が、輸血効果体験し1919年日本子宮筋腫患者行って成功した塩田1930年右翼青年狙撃され浜口雄幸首相輸血行い手術して救った日本では1974年以降輸血血液はすべて献血まかなわれている。以下の項では特に断りがない限り日本状況について述べている。 枕元輸血 昭和20年代まで頻繁に行われていた方法で、輸血必要な患者のあったとき近親者知人もしくは供血斡旋業者派遣した供血者がその場血液提供するもの。血液型の合う人がいない場合があることや、感染症チェックできないことGVHD危険性が高いことから現在はほぼ絶無である。1948年には輸血受けた女性梅毒感染した東大病院輸血梅毒事件発生枕元輸血代わり保存血輸血移行するきっかけとなった血液銀行 いわゆる売血で、血液提供する代わりに謝礼受け取れるもの。しかし、麻薬常習者など感染症リスク明らかに高い提供者金目当て参加するため、当時はまだ知られていなかったC型肝炎汚染蔓延した1964年ライシャワー事件により危険性大きくクローズアップされ善意提供者による献血制度移行することとなった献血 健康人が無償血液提供する寄付行為報酬としては簡単な血液検査通算回数の多い献血に対して記念品を贈る表彰、他に献血による貧血解消のためのドリンクお菓子など。あくまでも人の善意に頼る面が強いことから、血液安定供給という点で課題残っているが、現時点では最も安全で、金銭やりとりがないため、倫理的な問題クリアしているといえる。ただし献血血液売血より安全だという古くからの定説今日問診検査水準考慮する疑問が残る

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