豊臣氏の刀狩令とは? わかりやすく解説

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豊臣氏の刀狩令

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 07:43 UTC 版)

刀狩」の記事における「豊臣氏の刀狩令」の解説

豊臣秀吉1588年天正16年)に発した刀狩令は次の3か条からなる第1条 百姓が刀や脇差、弓、鉄砲などの武器を持つことを固く禁じる。よけいな武器をもって年貢怠ったり、一揆おこしたりして役人言うことを聞かない者は罰する。 第2条 取り上げた武器は、今つくっている方広寺大仏の釘や、鎹(かすがい)にする。そうすれば百姓あの世まで救われる第3条 百姓農具だけを持って耕作に励めば、子孫代々まで無事に暮せる。百姓愛するから武器取り上げるのだ。ありがたく思って耕作に励め。また、没収され武器類方広寺大仏殿(京の大仏)の材料とすることが喧伝された。 この刀狩り令の発給は、実質九州諸侯淡路国加藤嘉明などの近侍大名武将一部畿内・近国と主要寺社限られる。だが、豊臣政権法令は、天正18年1590年8月10日後北条氏殲滅後の奥州仕置諸政総覧確認のための石田三成あて朱印状では、刀狩りで「刀類と銃の百姓所持日本全国禁止し没収した今後出羽奥州両国同様に命じる」とされ、秀吉は、基本的な法令含め全国諸侯には出さないが、一度発布した法令全国適用し、どこの大名各地域拘束するものと捉えていた。 秀吉は、関白就任3か月前の1585年天正13年3月から4月根来衆雑賀一揆制圧戦で、戦参加百姓武装解除前提助命耕作専念を強いる、第1条第3条類似する指令出して、すでに政策原型はできており、歴史家藤木久志から「原刀狩令」と名付けられている。同年6月にも高野山僧侶に対して同様の武装放棄仏事専念指令し10月実行させた。 『多聞院日記』などでは、政策主目的一揆盟約による政治共同体)の防止であった記されている。当時百姓身分自治組織である惣村膨大な武器所有しており、相互に一揆」の盟約結んで団結し領主支配に対して大きな抵抗力を持つ存在だった。 ルイス・フロイスの『日本史』によると、刀狩先立つ1587年天正15年)にバテレン追放令出され肥前国佐賀県長崎県)では、武装蜂起備え武器を隠すのを防ぐために、刀鑑定刀匠派遣し名刀を買いに来た事」を宣伝し自慢の刀の価値知ろう集まった村人たちに、刀匠持ち主や銘を聞き記録作成し、その記録元に刀狩令を交付100人近役人投入し16000本の刀を没収した。 ただ実際には、その他の弓矢害獣駆除のための鉄砲祭祀用い武具などは所持許可されていたともいわれている。そもそも秀吉刀狩令は全面的武装解除を行うものではなく農村大量武器存在する事実承認しつつ、百姓武装権行使封印するよう求め趣旨のものであったとする研究なされている。刀狩りは、1人当たり大小1腰を差し出せという実行形態も多いし、調べ後すぐに所持許可された例も多く中世農民帯刀はく奪する象徴的な意味で行われた思われ、これにより百姓帯刀免許制にするという建前作りだすことに重点があった。そのため、刀狩多く武家側が乗り込むではなく任せ実行されケースが多い。 秀吉は、刀狩先行して1587年天正15年)ごろ、武器の使用による紛争の解決全国的に禁止した喧嘩停止令)。それまで日本では多く一般民衆武器所持しており、特に成人男性帯刀一般的であったまた、近隣間の水利里山草地などの権利や、他の些細なトラブルでさえ暴力によって解決される傾向にあったがそれらを防止した。この施策江戸幕府にも継承された。 さらに、天下統一後の1590年天正18年)「浪人停止令」で、農村内の武家仕え定まった奉公人以外の雑兵農民禁止しから追い出す指令出したが、その第3条奉公人以外の百姓から武装取り上げるように指示した一方武家奉公人農村内での武器所持例外として認めていた。 以上のことから、秀吉刀狩令は百姓身分武装解除目指したものではなく農村内の武器存在前提しながら百姓身分から帯刀奪い、その武器使用規制するという兵農分離目的したものであったとする学説が現在では有力である。そもそも当時厳格な身分制度確立しておらず、武士一般民衆区別存在しない惣村有力者多く国人領主主従関係結んで地侍になっており、当時一揆は、農民蜂起とも、武士による叛乱とも区別がつきにくいものである。その区別生まれたのが、刀狩以降である。

※この「豊臣氏の刀狩令」の解説は、「刀狩」の解説の一部です。
「豊臣氏の刀狩令」を含む「刀狩」の記事については、「刀狩」の概要を参照ください。

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