言葉の変遷とは? わかりやすく解説

言葉の変遷

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 04:40 UTC 版)

キタイ (地理的呼称)」の記事における「言葉の変遷」の解説

イラン系言語テュルク系言語において「キタイ」あるいは「カタイ」から派生した言語中国もしくは中国一部地域指して使用される中央アジアではキタイ、それが転訛したカタイという言葉が指す対象契丹国家である遼に限定されず、中国全体を指す言葉となった1000年頃にウイグル文字書かれマニ教徒の文書の中でCathaiという単語確認できるウイグル文字での出現から時間をおかず、キタイという単語中央アジアイスラム教徒の間で知られるようになった1026年アフガニスタンガズナ朝宮廷に遼の使節訪れた際、使者は「カター(Qatā)の支配者」である「カター・ハン」の使い名乗った使節到来から数十年後に完成したビールーニー、ガルディーズィーの著作で「カター」、あるいは「キター(Qitā)」という単語使用されている。セルジューク朝宰相ニザームルムルク著書統治の書』の中でキタ(Khita)とシナChina)について述べ二つ別個の独立した国として扱っている。12世紀初頭中国北方興った女真族の金が遼に取って代わった後も、「キタイ」という言葉イスラーム世界生き残ったペルシア語歴史書では1234年モンゴル帝国による金の征服について「ヒターイ国」もしくは女真ヒターイ国(Djerdaj Khitāy)」の征服として説明されモンゴル宮廷成立した歴史書元朝秘史』ではキタイカラ・キタイ西遼)の両方について述べられている。また、モンゴル帝国期にキタイカタイ)が中国を示す地域だという認識ヨーロッパ世界にも広まったプラノ・カルピニアンドルー修道士ウィリアム・ルブルックマルコ・ポーロジョヴァンニ・ダ・モンテコルヴィーノオドリコ13世紀から14世紀にかけて東アジア訪れたヨーロッパ人間記録では、「カタ」「ハタ」「カタイ」「キタイ」が中国を指す言葉として使われている。 モンゴル帝国崩壊後ヨーロッパ中国から直接もたらされる情報途絶した後、キタイ中国を示す地域という認識薄れマルコ・ポーロ記したような幻想的な土地イメージ独り歩き始める。マルコ・ポーロ著した東方見聞録』はヨーロッパ地理学に強い影響与え16世紀ゲラルドゥス・メルカトルアブラハム・オルテリウスによって作成され地図には「現実中国」であるシナChina)とマルコ・ポーロ伝えたカタイ国が並存していた。メルカトルは『東方見聞録』にカタイ国の南の国として記されている「マンジ国」を実在中国同一視しシナとカタイを別々の国に分けメルカトル考え後進学者受け継がれた。マンジモンゴルカタイより南の地域に「蛮子」という字を当てた蔑称16世紀西洋地図ではカタイと共に使われている。 1601年イエズス会士マテオ・リッチが明の万暦帝からキリスト教教会建設許可得た後、中国訪れイエズス会士の数が増加し中国情報現地直接見聞した彼らを通してヨーロッパもたらされるうになるマテオ・リッチ自身訪れたシナ」の地が、マルコ・ポーロらが記したカタイ同一土地であると報告したが、カタイ対す認識はすぐには変化しなかった。ゴアイエズス会では過去旅行者地が訪れたカタイマテオ・リッチ訪れた土地が同じ場所であるか議論交わされ真偽確かめるためにベネディクト・デ・ゴエス派遣された。1654年フランスニコラ・サンソン作成した北アジア地図1664年にピエール・デュヴァルが作成した地図にもカタイ国が存在していたが、1669年サンソン作成した地図からはカタイ国が消え朝鮮の北に「女真(Niuche)」が記された。パリ発行され1703年付のニコラ・ド・フェール(英語版)の地図では中国南北二分され、黄河沿岸部カタイ地方江南地方マンジ地方記され地図上に実在しないカタイ国」が現れる問題解決される東トルキスタンでは中国中国存在する国家を指す言葉としては「チーン(Chīn)」の方が通用し、清以降ウイグル族などのテュルク系民族もっぱらヒターイ(Khitāi)を漢族満州族を指す言葉として使用している。中国においてヒターイ差別的な意味を含む言葉と見なされ、公式には採用されていないロシア語ソビエト連邦圏に含まれる地域使われるテュルク系言語では、中国は「キタイ/クタイ(Китай)」と呼ばれる英語ではキャセイCathay)」となり、香港拠点を置くキャセイパシフィック航空社名はこの言葉由来する

※この「言葉の変遷」の解説は、「キタイ (地理的呼称)」の解説の一部です。
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