言葉の原意
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/24 11:45 UTC 版)
モノノケ(物の怪)などのモノは人間への対義としての「モノ」であり、全ての無物無生物、超自然的な存在を指すことが本義であった。転じて平安時代の『延喜式』文脈には、「疎ぶ物」「麁ぶ物」など災いや祟りを引き起こす悪神を「モノ」と表し、人間・生物に幸福安泰や恵みをもたらす善神の反対の概念と用いている。 漢字では「物」を当てる例が多く、民間の物語においてもモノノケ(物の気・物の怪)は登場し、多くは死霊・生霊の祟りを意味する例においても、上代からの「モノ」に繋がる思想概念を土台に発展したと考えられている。時代を遡るほど「モノ」から表現される超自然的な恐怖対象は広がり、多種多様な範囲を内包するに至ったのである。 なお、平安時代には仏教経典に描かれた鬼、中国の観念に基づく死霊を鬼とする概念、疫病を惹き起こすとされた疫鬼のイメージが区別をつけられる事なく、仏教経典の画像に由来した「鬼」の特徴(大きな身体、一つ目、大きな口、角、赤い褌、手足が三本指など)を持ったイメージで描かれていた。死霊や疫病との関係が密接であったモノノケも同じように「鬼」のイメージで描かれている例が多かったが、中には『山海経』に描かれていた長股・長臂などの異邦人に由来すると思われる画像など、鬼とは異なる系統に由来する画像も存在していた。これらは疫病などの厄災が海外から入ってくるというイメージから採用されたと思われ、また当時の人々がこうした画像を鬼の画像と共に恐怖の対象として見ていたとも考えられている。
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