背景・解説とは? わかりやすく解説

背景・解説

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/25 09:47 UTC 版)

僕の中の少年」の記事における「背景・解説」の解説

アナログからデジタルへレコーディング機材変化への対応は、前作POCKET MUSIC完成後も依然として解決できていない課題であったデジタルへの移行伴って録音解像度急激に向上したために、アナログマスターテープへの録音において構築した方法論が全く通用せず、これから自分満足できる音楽作ることが不可能になると思うほどだった。一度デジタル録音放棄しアナログ録音回帰することまで考えていたという。実際アナログ 16トラックマルチトラックレコーダースタジオ導入しいくつかの曲ではレコーディング使用していた。しかしそれは、コンテンポラリー音楽制作する上でその時点で使い得る最新技術制作するという山下自身ポリシー相容れないため、完全にアナログ録音へ戻ることにも踏み切れなかった。そんな時、マスタリングレコーダーとして用いられていたSONY PCM-1610がPCM-1630へと移行したことで音質向上した。これにより、山下感じていたデジタル録音への違和感がかなり解消されたため、山下アナログ録音していた楽曲デジタル機材用いて再録音して本作発売至った労作となった背景には音作り加えアルバムの制作方針影響したという。「まりやの『REQUEST』は非常に作家的なアルバムで、ああいうタイプのものは楽しんでできるから、むしろ作りやすい。でも、POCKET MUSIC』やこの作品自分アイデンティティというか思想的なものを滲ませたい目論んだから、その分苦労せざるを得なかった。『POCKET MUSIC』でシンガー・ソングライターというか内省的な方向向かっていったわけだけど、楽曲主体作家的なアルバムの方が遥かに作りやすいんだ。そうしたアルバム編曲にはヘッド・アレンジ多くてミュージシャン演奏依存する部分かなりあったんだよね。でも、自分アルバム場合は僕なりの編曲的な意図があって、そこで自分持ち味出そう思っていたから、音作りには微妙なニュアンス要求される。けれど、そういうニュアンスデジタル・レコーディングになってなかなか上手く出せなくなってしまっていた」と振り返っている。 アルバム・タイトルとなった僕の中の少年”は、ちょうど長女誕生した頃に作られた曲で、「レコーディング前からタイトル決まっていたなんていうのは、このアルバムと『POCKET MUSIC』くらいだものね」と、アルバム制作構想段階で既にこのテーマタイトルでいくことを決めていたという。自身にとって子供の誕生プライベートな要素として非常に大きくそうした意味からも“シンガー・ソングライターによるコンセプト・アルバム的な作品”だとし、「僕がこうしたコンセプト・アルバム的なものを作る時、常に想起しているのは、リチャード・ハリスの『A Tramp Shining』やムーディー・ブルースの『Days Of Future Passed』などなんだ。僕はああいうアルバムに首まで浸かって育ってきたから、コンセプト・アルバムというものに憧れ抱いている。でも、日本ではあまり受けないんだよね」と語っている。本人制作意図とは裏腹に当時スタッフは“夏だ、海だ、タツローだ”路線継続目論んでおり、思惑一致していなかったという。30代半ば迎えようとしている時期にあってスタッフ強く推し進めた先行シングル踊ろよ、フィッシュ」の不振、そしてスタッフから「そろそろ落ち目なのだからリスキーだ」とされた「ゲット・バック・イン・ラブ」のヒット。そして、自分の中の大人子供そうした様々なせめぎ合いがこのアルバムには反映されているという。しかし同時に周囲から『人気盛り過ぎた』と感じられていたからこそ今のうちにこういうアルバム作ってある程度格好がつけばいい」という思いもあったという。体調面や人間関係ミュージシャン人選など、このアルバム発表後コンサート・ツアーPERFORMANCE '88-'89』は常に演奏に不満を抱えながら、シュガー・ベイブ以来の辛い精神状態の中でツアー日程乗り切ったが、本当に疲れ切ってしまったと振り返る。「これからもう少し楽にやらない身体持たない思って、『ARTISAN』ではコンセプト変えたわけ。もうちょっと作家主義楽曲主義にしよう」と、当時機材性能問題自身健康上の問題から苦労少なくなかったが、作品自体の不満は無いと語っており、「もう今は成熟しすぎてしまっていて、この作品のようなアルバム二度と作れいだろう」という。また「思うのは、ヒットのみを狙って作った音楽というのは、最終的にダメなんだよね。ヒット・チャート対する心のどこかでのクエスチョン・マークというか消費されることに対すためらいとか抵抗感持っていないと、結局はダメなんだ、ということが、10年後によくわかりましたよ」と、改め思い知ったという。 本作は『FOR YOU』などと比べれば知名度は低いが、ファンクラブ好きなアルバムアンケートでは1位となり、特にアルバム発売当時20代前半だった層からの支持が高いという。 1988年初盤CDデジパック仕様で、帯コピーは『「君の中の少年」に捧げる、この比類なきマスターピース。』である。 2020年 (2020)には山下監修による最新リマスター盤が『POCKET MUSIC』と同時発売されることが発表された。

※この「背景・解説」の解説は、「僕の中の少年」の解説の一部です。
「背景・解説」を含む「僕の中の少年」の記事については、「僕の中の少年」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「背景・解説」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「背景・解説」の関連用語

背景・解説のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



背景・解説のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの僕の中の少年 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS