第三世代 オートポイエーシスとは? わかりやすく解説

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第三世代 オートポイエーシス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 08:43 UTC 版)

システム論」の記事における「第三世代 オートポイエーシス」の解説

構成素自己言及的に新たな構成素生成する循環システムとして記述するオートポイエーシスにおいては自己構成する最小単位に関しては、階層関係を想起させる構成要素とは呼ばず構成素と呼ぶ。 システム入力出力もない構成素産出関係の循環として表現する。この時、システム直接的に物理空間内に表現することは出来ずシステム動作記述するためだけに用意され位相空間内で自己言及的に動作するように表現される。従って、システム動作物理的に観測することが出来ないため、閉鎖系であり、自己言及的に動作するため、自律的に動作する生命発生機構や、神経系動作や、主観世界構成する心的システム含めて説明する生気論目的論対置する必要が無い、唯一の機械論でもある。 オートポイエーシスによって、システム作動する領域環境区別する境界自律的に産出する機構提示された点が、自己組織化からの大きな前進であると言えるオートポイエーシス該当する。後に他の学問分野合わせてネオ・サイバネティックスと呼ばれる分野形成したオートポイエーシスに関しては、ドイツが最も活発に研究行っている。最先端かつ、理論構築初期段階にあるシステム論であり、基本構想においてすら研究者の間で認識一致していない。当然のことながら、一般システム理論相当するフレームワークとなる理論存在しない。従って、オートポイエーシス利用者自身が、過去行われた多種多様な議論参照した上で基本構想再考し応用分野毎に理論形成を行う必要がある構成素存在する物理空間と、システム存在する位相空間双方に渡る深い洞察を必要とされる難解な理論となっており、誤解されることが多い理論である。例えば、2000年に、日本の哲学者河本英夫が、オートポイエーシス基本構想定式化において、認知系運動系混同に関する問題指摘している。オートポイエーシス起源となったハト実験において、提唱者であるマトゥラーナが発見した外的刺激視神経活動状態が対応しない問題認知系問題であった。しかし、マトゥラーナ自身問題解決するために定式化行った構成素産出するプロセスは、その問題とは全く無関係な運動系としての定式化である。ここに認知系運動系履き違え見られ、彼らはその誤解未だに気付いていないと指摘している。さらに、社会学者ニクラス・ルーマンが、自身提唱した社会システム理論認知系としてオートポイエーシス基本構想導入したことも指摘している。実際に提唱者利用者双方において、オートポイエーシス基本構想に関する履き違え起こっているのである日本では1995年哲学者河本英夫オートポイエーシス初め紹介した河本英夫は、2000年に、ウンベルト・マトゥラーナフランシスコ・バレーラにより提唱されオートポイエーシス機構の問題点指摘して機構変更し科学,精神,芸術形成される過程記述したその後も独自の拡張続け医療への応用進めて行った西垣通オートポイエーシス独自に拡張し集合知形成過程論じ基礎情報学理論体系構築した西垣通基礎情報学は、個人間のコミュニケーション構成素とする階層化されたオートポイエーシス(基礎情報学においてはHierarchical Autonomous Communication System(HACS)と呼称される)により集合知形成過程説明しており、ネオ・サイバネティックスの潮流構成する学問分野1つ数えることが出来る。2013年頃より、オートポイエーシス立脚して、ITを万能とする論調や、続いて持て囃されるようになった汎用AIという概念対す批判行っている。第3次人工知能ブーム以後期待されている技術的特異点実現に関しても、人工知能本質的に他律系であるため不可能であるとの結論2016年7月20日中公新書で,2018年4月10日には思弁的実在論導入してより完成度高めた形で提示したオートポイエーシスは、「真の自律性コード化することは可能か?」といった観点から哲学的に様々な議論が行われている最中であるが、1974年の提唱者らの研究によれば少なくともSCLモデルとしてコード化し、シミュレーションを行うことは可能とされている。 生命究極原理目されるオートポイエーシスコード化可能性についての議論は、社会へのAI応用が進むにつれて現実的な課題になりつつ有り人工知能においては生命脳の構造コンピュータ上に複写するだけでは自律性として不十分か否か人工生命においては真に自律的な人工生命ソフトウェア化可能か否かという課題に関わって来ている。AI進化先にあると喧伝されているシンギュラリティ実現についても、オートポイエーシスコード化不可能であることを前提置いた批判提出されている。

※この「第三世代 オートポイエーシス」の解説は、「システム論」の解説の一部です。
「第三世代 オートポイエーシス」を含む「システム論」の記事については、「システム論」の概要を参照ください。

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