特攻隊についてとは? わかりやすく解説

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特攻隊について

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 04:28 UTC 版)

三島由紀夫」の記事における「特攻隊について」の解説

三島天皇観は、国家個人エゴイズム掣肘するファクター、反エゴイズム代表として措定され、〈近代化あらゆる工業化によるフラストレイション最後救世主〉として存在せしめようという考えであったが、三島神風特攻隊への思いも、彼らの〈没我〉の純粋さへの賛美であり、美的天皇観と同じ心情基づいている。 三島考える〈純粋〉は、小説奔馬』で多く語られているが、その中には〈あくまで歴史全体と考へ、純粋性は超歴史的なものと考へたがよいと思ひます〉とあり、評論葉隠入門』においても、政治的思想理論からの正否合理性超えた純粋行為への考察がなされ、特攻隊死についてもその側面からの言及なされている。 三島日本刀を〈魂である〉としていたが、特攻隊についても西欧近代への反措定として捉えており、「大東亜戦争」についても、〈あの戦争日本刀だけで戦つたのなら威張れるけれども、みんな西洋発明品で、西洋相手に戦つたのである。ただ一つ真の日本的武器は、航空機日本刀のやうに使つて斬死した特攻隊だけである〉としている。この捉え方は、戦時中三島学生であった頃の文面にも見られる。 僕は僕だけの解釈で、特攻隊を、古代再生でなしに、近代殲滅――すなはち日本の文化層が、永く克服しようとしてなしえなかつた「近代」、あの尨大な、モニュメンタールな、カントの、エヂソンの、アメリカの、あの端倪すべからざる近代」の超克でなくてその殺傷(これは超克よりは一段と高い烈しい美しい意味で)だと思つてゐます。近代人」は特攻隊によつてはじめ「現代」といふか、本当の「われわれの時代」の曙光をつかみえた、今まで近代私生児であつた知識層がはじめて歴史的な嫡子になつた。それは皆特攻隊おかげであると思ひます。日本全文化層、世界全文化人特攻隊前に拝跪感謝祈りをさゝげるべき理由はそこにあるので、今更神話再現だなどと生ぬるいたゝへ様をしてゐる時ではない。全く身近の問題だと思ひます。 — 平岡公威三谷信宛て葉書」(昭和20年4月21日付) 敗戦時に新聞などが、〈幼拙なヒューマニズム〉で〈戦術〉と称して神風特攻隊員らを〈将棋の駒を動かすやうに〉功利効能的に見てそうしたジャーナリズムにより特攻隊精神冒涜され〈神の座称号〉が奪われてしまったことへの憤懣の手記も、ノート綴っていた。 我々が中世究極幾重にも折り畳まれ末世幻影見たのは、昭和廿年の初春であつた。人々特攻隊に対して早くもその生と死の(いみじくも夙に若林中隊長警告した如き現在の最も痛切喫緊問題から目を覆ひ、国家勝利(否もはや個人的利己的に考へられたる勝利、最も悪質仮面かぶれる勝利願望)を声高に叫び彼等敬虔な祈願捨てゝ、冒瀆の語を放ち出した。 —  平岡公威昭和廿年八月記念にまた、三島戦後に『きけ わだつみのこえ』が特攻隊員遺書を〈作為的〉に編纂し編者高学歴学生インテリ文章だけ珍重して政治的プロパガンダ利用している点に異議唱え、〈テメエインテリだから偉い、大学生むりやり殺されたんだかかわいそうだそれじゃ小学校しか出ていないで兵隊にいって死んだやつはどうなる〉と唾棄している。 『きけ わだつみのこえ』を題材とした映画についても〈いはん方ない反感〉を感じたとし、フランス文学研究をしていた学生らが戦死した傍らシャルル・ボードレールポール・ヴェルレーヌ詩集の頁が風にちぎれているシーンが、ボードレールも墓の下で泣くであろうほど〈甚だしくバカバカしい印象〉だと酷評し、〈日本人ボオドレエルのために死ぬことはないので、どうせ兵隊戦死するなら、祖国のために死んだはうが論理的〉であるとしている。

※この「特攻隊について」の解説は、「三島由紀夫」の解説の一部です。
「特攻隊について」を含む「三島由紀夫」の記事については、「三島由紀夫」の概要を参照ください。

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