海上保安庁法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/23 03:50 UTC 版)
![]() | この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
海上保安庁法 | |
---|---|
![]() 日本の法令 | |
通称・略称 | 海保法 |
法令番号 | 昭和23年法律第28号 |
提出区分 | 閣法 |
種類 | 行政組織法 |
効力 | 現行法 |
成立 | 1948年4月14日 |
公布 | 1948年4月27日 |
施行 | 1948年5月1日 |
所管 |
(運輸省→) 海上保安庁 [海運総局→長官官房→総務部] |
主な内容 | 海上保安庁の設置、組織、海上保安官の権限など |
関連法令 | 国家行政組織法、港則法、海上交通安全法、海上衝突予防法、水路業務法、自衛隊法など |
条文リンク | 海上保安庁法 - e-Gov法令検索 |
![]() |
海上保安庁法(かいじょうほあんちょうほう、昭和23年4月27日法律第28号)は、海上保安庁の設置、組織、海上保安官の権限に関する日本の法律である。
大日本帝國海軍の解体に伴い非軍事を前提とする新たな組織として設立された海上保安庁の組織制度の根幹を定める。同庁総務部政務課が所管し、海上交通安全法・海上衝突予防法を所管する国土交通省海事局総務課危機管理室、警察官職務執行法を所管する警察庁長官官房、また日本周辺有事の際は防衛省統合幕僚監部および海上幕僚監部と連携して執行する。
構成
- 第1章 組織(第1条 - 第25条)
- 第2章 削除(第26条)
- 第3章 共助等(第27条 - 第28条の2)
- 第4章 補則(第29条 - 第33条の2)
- 附則抄 (第34条 - 第43条)
船体射撃に対する免責
能登半島沖不審船事件を受けて、海上保安官が武器を使用して人に危害を加えた場合の違法性阻却事由(免責要件)が「警察官職務執行法第7条」に定められた要件[1]のみという状況では、不審船事案に有効に対応できないことが露呈したため、2001年に海上保安庁法の改正が行われた。
この改正では第20条2項において、一定の条件[2]に限って、巡視船等が、停船命令を無視して逃走・抵抗する船舶に対して射撃し乗員に危害を加えても、海上保安官の違法性が阻却(免責)されることが明定された。
2001年の九州南西海域工作船事件においては、不審船の現認位置が日本の領海外の日本EEZ内であったので改正された第20条2項の要件を満たすことができず、従来と同じく船体射撃で被疑者が死傷した場合は、海上保安官の違法性を問われる恐れがあった。しかしRFS機能のついた機関砲で被疑者に危害を与えずに船体射撃を行えると判断した。
脚注
- ^ (1)正当防衛、(2)緊急避難、(3)懲役・禁固3年以上の重大犯罪を犯した、若しくは犯した疑いのある者が抵抗・逃亡する際にそれを防ぐためにやむを得ず行う武器使用、(4)逮捕・拘留状を執行される者が執行時に抵抗・逃亡した際にそれを防ぐためにやむを得ず行う武器使用
- ^ 海上保安庁長官が次の全てを認定する場合。(1)公船ではない外国船舶が、日本の領海・内水で、無害通航でない航行を行い、(2)放置すれば繰り返し行われる蓋然性があり、(3)重大犯罪(懲役・禁固3年以上)の準備が行われている疑いがあり、(4)措置をとらなければ将来においても、重大犯罪の発生を防止することができないであると認められる事態
関連項目
外部リンク
海上保安庁法(重要部分のみ抜粋)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 22:57 UTC 版)
「海上保安官」の記事における「海上保安庁法(重要部分のみ抜粋)」の解説
「海上保安庁法」も参照 (※部分 編者注) 第14条 海上保安庁に海上保安官及び海上保安官補を置く。 2 海上保安官及び海上保安官補の階級は、政令でこれを定める。 3 海上保安官は、上官の命を受け、第2条第1項に規定する事務を掌る。 4 海上保安官補は、海上保安官の職務を助ける。 第15条 海上保安官がこの法律の定めるところにより法令の励行に関する事務を行う場合には、その権限については、当該海上保安官は、各〃の法令の施行に関する事務を所管する行政官庁の当該官吏とみなされ、当該法令の励行に関する事務に関し行政官庁の制定する規則の適用を受けるものとする。 第16条 海上保安官は、第5条第5号に掲げる職務を行うため若しくは犯人を逮捕するに当たり、又は非常事変に際し、必要があるときは、付近にある人及び船舶に対し、協力を求めることができる。 第17条 海上保安官は、その職務を行うため必要があるときは、船長又は船長に代わつて船舶を指揮する者に対し、法令により船舶に備え置くべき書類の提出を命じ、船舶の同一性、船籍港、船長の氏名、直前の出発港又は出発地、目的港又は目的地、積荷の性質又は積荷の有無その他船舶、積荷及び航海に関し重要と認める事項を確かめるため船舶の進行を停止させて立入検査をし、又は乗組員及び旅客に対しその職務を行うために必要な質問をすることができる。 2 海上保安官は、前項の規定により立入検査をし、又は質問するときは、制服を着用し、又はその身分を示す証票を携帯しなければならない。 3 海上保安官の服制は、国土交通省令で定める。 第18条 海上保安官は、海上における犯罪が正に行われようとするのを認めた場合又は天災事変、海難、工作物の損壊、危険物の爆発等危険な事態がある場合であつて、人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害が及ぶおそれがあり、かつ、急を要するときは、他の法令に定めのあるもののほか、次に掲げる措置を講ずることができる。1 船舶の進行を開始させ、停止させ、又はその出発を差し止めること。 2 航路を変更させ、又は船舶を指定する場所に移動させること。 3 乗組員、旅客その他船内にある者(以下「乗組員等」という。)を下船させ、又はその下船を制限し、若しくは禁止すること。 4 積荷を陸揚げさせ、又はその陸揚げを制限し、若しくは禁止すること。 5 他船又は陸地との交通を制限し、又は禁止すること。 6 前各号に掲げる措置のほか、海上における人の生命若しくは身体に対する危険又は財産に対する重大な損害を及ぼすおそれがある行為を制止すること。 2 海上保安官は、船舶の外観、航海の態様、乗組員等の異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して、海上における犯罪が行われることが明らかであると認められる場合その他海上における公共の秩序が著しく乱されるおそれがあると認められる場合であつて、他に適当な手段がないと認められるときは、前項第1号又は第2号に掲げる措置を講ずることができる。 第19条 海上保安官及び海上保安官補は、その職務を行うため、武器を携帯することができる。 第20条 海上保安官及び海上保安官補の武器の使用については、警察官職務執行法(昭和23年法律第136号)第7条の規定を準用する。 2 前項において準用する警察官職務執行法第7条の規定により武器を使用する場合のほか、第17条第1項の規定に基づき船舶の進行の停止を繰り返し命じても乗組員等がこれに応ぜずなお海上保安官又は海上保安官補の職務の執行に対して抵抗し、又は逃亡しようとする場合において、海上保安庁長官が当該船舶の外観、航海の態様、乗組員等の異常な挙動その他周囲の事情及びこれらに関連する情報から合理的に判断して次の各号のすべてに該当する事態であると認めたときは、海上保安官又は海上保安官補は、当該船舶の進行を停止させるために他に手段がないと信ずるに足りる相当な理由のあるときには、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。 第21条 海上保安庁長官は、海上保安官の中から港長を命ずる。 2 港長は、海上保安庁長官の指揮監督を受け、港則に関する法令に規定する事務を掌る。 第31条 海上保安官及び海上保安官補は、海上における犯罪について、海上保安庁長官の定めるところにより、刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の規定による司法警察職員として職務を行う。 2 海上保安官及び海上保安官補は、第28条の2第1項に規定する場合において、同項の離島における犯罪について、海上保安庁長官が警察庁長官に協議して定めるところにより、刑事訴訟法の規定による司法警察職員として職務を行う。
※この「海上保安庁法(重要部分のみ抜粋)」の解説は、「海上保安官」の解説の一部です。
「海上保安庁法(重要部分のみ抜粋)」を含む「海上保安官」の記事については、「海上保安官」の概要を参照ください。
- 海上保安庁法のページへのリンク