民間などの反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 05:36 UTC 版)
旧皇族竹田家出身で慶應義塾大学憲法学講師の竹田恒泰は、「諸外国との関係を好転させること自体が外交であり、天皇の政治利用にほかならない」として憲法原理に反すると指摘し、「今回規定に反して中国のみを特別扱いすれば、皇室が長年積み上げてきた国際親善のあり方は根底から覆る」、「日本国民の対中国感情は極度に悪化することは必至で、むしろ日中友好に水を差すに違いない」と会見の実施を批判した。また、「来年1月以降に日程を組み直せばよかった」と述べている。 ジョージ・ブッシュ政権で国防副次官(アジア・太平洋担当)を務めたリチャード・ローレスは、『産経新聞』のインタビューに対し「民主党の小沢一郎幹事長の訪中、天皇陛下と訪日した中国の習近平国家副主席との会見をめぐる動きをみていると、日本が中国と従属関係にあると行動で示しているかのように思える。自らアジアの中心から外れ、中国の優越性を認めているかのようだ」と評した。 山内昌之東京大学教授は、「政治の恣意性で象徴天皇制の根幹が崩れかねない。その危険に政府首脳らの危機感がうかがわれないことが憂慮される」と批判した。 大原康男國學院大學教授は、「卑屈な政治的配慮」、「小沢氏は国事行為をよく理解せずに質問者を恫喝(どうかつ)しているようだ。天皇は政権のいうことを聞けばいいと言っているようにも聞こえる。いずれにしろ不勉強であり、政治利用そのものの発言だ」。 高橋紘静岡福祉大学教授は、小沢一郎の「天皇陛下のお体が優れないなら、優位性の低い行事はお休みになればいい」との発言に対しては、「順番付けを行うもので、まさしく政治利用だ」と指摘した。 佐々淳行元内閣安全保障室長は、「小沢氏の国事行為の理解には不勉強による誤りがある」とし、憲法7条の国事行為には要人との会見は明記されていないことを指摘した上で、「最も妥当性を欠くのは『天皇の体調がすぐれないなら優位性の低い行事はお休みになればよい』という発言である」と指摘、小沢が12月14日に行なった記者会見については「いい気分で凱旋した日本で小役人が反抗したことへの怒りの表れ」と評した。 永井憲一法政大学名誉教授は、「憲法7条には外国の大使、公使を接受することが国事行為として明記されており、外国の要人との会見を内閣が要請し天皇陛下が認めたならば問題はない」との認識を語った。 歴史学者の秦郁彦は、「1ヶ月ルールの背景には天皇陛下の健康問題もある。小沢幹事長の『優位性の低い行事はお休みになればいい』との発言には、敬意が全く感じられない」と批判した。 藤原正彦お茶の水女子大学名誉教授は、「小沢幹事長は衆院選で圧勝したので、何をしても『民意』で通ると思っているが、間違い」と指摘した。 百地章日本大学教授は、「陛下を政治的に利用した印象が否めない。中国だけ認めたのは悪い先例になり、ルールが崩壊する危険性もある」と批判した。 横田耕一流通経済大学教授は、「強い政治性を持つ行為に天皇を利用することは望ましくない」としながらも、「最終的な決定権は内閣にある」と述べ、「1ヵ月ルール」については「内規だから内閣は尊重しなければいけないが、縛られることはない。宮内庁に振り回されるのはおかしい」と述べた。 石原慎太郎東京都知事は、東京都議会本会議終了後の2009年12月16日に「天皇陛下の健康は非常に大事で心配」と述べた上で、「宮内庁が決めた規格で国の行事を仕切っている」と指摘し、「(天皇陛下が)ご健康ならば、お会いいただいてよかった」「宮内庁が皇室の行事を仕切ることで自分の権威を持たそうとするのは、ちゃんちゃらおかしいと思うね」と宮内庁側の対応を批判した。 渡辺恒雄読売新聞グループ本社会長は、2009年12月19日に出演したテレビ番組で、1ヶ月ルールについて、「官僚的なバカバカしいルール作り。弊習、陋習だ」と批判した。 中曽根康弘元首相は、2009年12月24日に記者との懇談の中で、今回の天皇特例会見について「(政府は)慎重に処理してきたと思う。あの程度の時間的ズレは(30日ルールの)原則の枠内のことなので、認めていい」と述べた。自らが官邸に天皇特例会見を要請した点については、「ノーコメント」として答えなかった。 国際問題評論家の山岡清二は、「天皇はもともと政治的な存在であり、神聖化するよりは、日本の政府のために働いてもらうことは正しい」と述べ、羽毛田宮内庁長官の発言については、「意図的に次元の違う議論に持っていこうとしている」「天皇の政治利用をアピールして内閣に対抗するのは憲法違反であり、国益を台無しにする行為」と批判した。 『読売新聞』や『産経新聞』によれば、宮内庁には電話や電子メールが1000件以上届いたが、羽毛田長官を支持する声が多数であったという。 FNNが行った街中でのアンケートでは、100人中69人が宮内庁、31人が小沢一郎に軍配を上げた。 FNNは、関係者の話として民主党本部に苦情の電話が殺到していると報じた。『産経新聞』は、民主党関係者の話として、12月16日だけで約2000通のメールが届き、電話はパンク状態となり、内容は小沢や鳩山への反発などが目立っていると報じた。 2009年12月18〜19日に『読売新聞』が実施した世論調査によれば、今回の天皇特例会見を「問題ない」とする者47%、「問題だ」とする者44%であった。一方、小沢幹事長が宮内庁長官を批判したことについては76%が「適切だとは思わない」と回答した。 『産経新聞』は、2010年の一般参賀で、参賀者が帰り際に宮内庁庁舎に向かって「羽毛田長官頑張って」と大声で叫ぶ場面があったと報じた。
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