民生用テレビ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 02:26 UTC 版)
ディスプレイ分野では、レーザーディスクやBeta hi-fi式ビデオデッキ Hi-Vista(ソニーからパイオニア仕様にカスタマイズされたOEM)などのAV製品と共にCRT方式のコンポビジュアルシステム「SEEDシリーズ」で家庭用モニター市場に参入。同社オーディオ機器とのデザイン統合性、チューナーやテレビゲームパックなどの拡張ユニットにより、他社との差別化を図った。 また、CRT方式のリアプロジェクションテレビ(パネルは他社製)を日本国外向けに販売する程度で大きなシェアは持っていなかったが、1997年(平成9年)12月に世界初の民生用高精細50インチ型ワイドプラズマテレビを発売した(42型ワイドプラズマテレビは同年11月に富士通ゼネラルが世界で初めて発売)。パネルを自社生産できる数少ない日本メーカーの一つであり(ただしチューナーは他社からのOEM)、擬似輪郭や消費電力などのプラズマテレビの弱点の数々を克服した独自の映像技術や、お家芸であるオーディオ技術を搭載した高音質も高く評価されていた。かつては43V型と50V型のみを製造していたが、NECプラズマディスプレイの買収により、61V型もラインナップに加えた。 先行メーカーであり、多数の関連特許を取得していた。2006年にはサムスン電子のディスプレイが2件のアメリカ国内で申請した特許に抵触しているとして、テキサス州東部地区連邦地方裁判所に提訴。基本的な特許ということもあり、2008年10月29日の判決では合計5900万ドルの損害賠償を得ている。 一方、日本国内では、液晶テレビの低価格化に圧され、2007年(平成19年)8月から高級路線に特化した新ブランド「KURO」を展開したが、ライバルである松下電器産業(現・パナソニック)にはシェアで遠く及ばず、2008年(平成20年)3月7日にプラズマパネルの自社生産の中止を発表した。同時に、パイオニアのPDP技術者の大半をパナソニックのPDP部門に転籍させ、パナソニックからパネルを調達し、組立と自社ブランド販売のみに専念する予定であると発表した。しかし、世界金融危機による世界経済の急激な落ち込みを受けて、ついに、2009年2月12日にディスプレイ事業からの撤退を発表した。なお、2008年にはシャープから液晶パネルの供給を受け、自社ブランドの液晶テレビ参入を予定していたが、実現しないままディスプレイ事業撤退を迎えた。 パイオニアは、有機ELディスプレイも古くから研究開発しており、カーオーディオの照明や液晶のバックライト、携帯電話の背面、カーオーディオの単色ディスプレイ用などで既に製品化している。2005年(平成17年)には京都大学、三菱化学、ロームと共にフレキシブルな有機ELディスプレイの試作に成功した。2017年には、コニカミノルタと合弁企業(コニカミノルタパイオニアOLED)を立ち上げ、照明分野への活用も模索したが、2019年に合弁を解消した。なお、合弁解消後は、コニカミノルタが事業を継承した。 なお、2016年現在も一部中国市場で発売されている同社ブランドの液晶テレビ、スマートフォン、デジタルカメラなどは、販売店に対する商標ライセンス貸与に伴う中国メーカー製造品であり、メーカーとしてのパイオニアとはブランド以外の関わりは一切ない。
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