デジタル伝送方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 07:17 UTC 版)
「高精細度テレビジョン放送」の記事における「デジタル伝送方式」の解説
アメリカでは従来の標準テレビジョン(SDTV)放送向けのデジタル伝送方式としてMPEG-2、HDTV向けにMPEG-3が策定される予定であったが、MPEG-2とMPEG-3の基本技術が同じであったため、最終的にはMPEG-2がMPEG-3を吸収・統合することが決定し、MPEG-3規格は欠番となっている。現在では、HDTVを含めた映像のデジタル伝送方式として、MPEG-2が幅広く利用されている。 MPEG-2では最大4:2:2YUVサンプリング (chroma subsampling) と10ビット量子化をサポートしているが、一般的にHDTV放送では帯域幅を減らすために4:2:0方式と8ビット量子化を利用する。韓国のDMBとドイツのDVB-S2ではH.264 (MPEG-4 AVC) を利用している。今後、あらゆるヨーロッパのHDTV放送でもH.264を使う予定で、アイルランドなどまだデジタル放送が始まらない所では、HDTV放送は勿論のことSDTVデジタル放送でもH.264の利用が検討されている。 日本では、2008年10月からスカパー!でのHDTV放送用(スカパー!プレミアムサービス《旧スカパー!HD》)として、2009年12月から国際放送・NHKワールドTVのHDTV放送用として、それぞれH.264を利用している。 HDTVは、5.1chサラウンドサウンドをサポートするAAC(エーエーシー、Advanced Audio Coding)とドルビーデジタル (AC-3) 形式のサウンドを使うので、劇場(映画館)水準のオーディオを鑑賞することができる。 HD信号のピクセルアスペクト比は1.0である(ピクセルの幅と高さとが等しい。スクエアピクセルと呼ばれる)。新しいHD圧縮/録画方式ではもっと効率的な圧縮のために、長方形のピクセルを利用することもある(例えば、日本の地上デジタルテレビ放送では、水平画素数1440ドットの各ピクセルが横長の長方形の形式で送信されることが多く、この長方形のピクセルを正確に再現できない受信機は1920ドットの正方画素に変換する処理を行う)。 テレビ放送局や地域内の分配を引き受けている業者、あるいはプロダクション業者ではベースバンド(非圧縮)HDTV信号を送るため、HD-SDI (SMPTE-292M : YPbPr/4:2:2/10bit/1.485Gbps) を使用する。 ベースバンドHDTV信号は、空中波やケーブルで送るには非常に広い帯域幅を占めるので、公衆放送では圧縮された映像信号を送信し、テレビ受信機でこれをデコードする。また民生用テレビ受像機ではHDMIインターフェースを経由することにより、BDプレーヤー等から出力される暗号化されたベースバンドHDTV信号を受像することができる。
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