智・感・情とは? わかりやすく解説

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ちかんじょう〔チカンジヤウ〕【智・感・情】

読み方:ちかんじょう

黒田清輝3部作裸婦像。3作とも、カンバス油彩金地背景に、直立する日本人女性裸体正面から描いたもの。こめかみ右手をあてた姿の「智」、両手を顔の横に挙げた「感」、うつむき加減で髪をかき上げる姿の「情」の3作からなりそれぞれ理想主義(智)、印象主義(感)、写実主義(情)の画風象徴とされる明治30年1897)に制作され第2回白馬会展に出品いずれも明治32年(1899)に加筆されたのち、明治33年1900)のパリ万博に「裸婦習作」として出品され銀賞受賞した国指定重要文化財東京国立博物館


智・感・情〈黒田清輝筆 一八九九年/油絵 麻布〉

主名称: 智・感・情〈黒田清輝筆 一八九九年/油絵 麻布
指定番号 1976
枝番 0
指定年月日 2000.06.27(平成12.06.27)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 絵画
ト書
員数 3面
時代区分 明治
年代
検索年代
解説文:  黒田清輝くろだせいき】(一八六-一九二四年)は近代日本洋画史において最も重要な画家一人であり、すでに「舞妓」(明治二十六年作、東京国立博物館)と「湖畔」(明治三十年作、東京国立文化財研究所)が重要文化財となっている。
 黒田絵画史上意義日本的洋画確立したことにあるが、既指定品二作は、以後日本洋画流れ用意した記念碑的な作品といえる。しかし、黒田一〇年にわたるフランス留学成果として日本紹介し根付かせようとしたのは、人体を主とした構成もしくは理想であったといわれ、新設され東京美術学校西洋画科では初め裸婦素描課程組み込んでいる。これに先立つ明治二十八年内国勧業博覧会留学中成果である「朝妝ちょうしょう】」を発表しいわゆる裸体画論争巻き起こしたが、「智・感・情」が発表されたのはこの二年後の明治三十年(一八九七)、第二回白馬会展においてである。
 本図日本人モデル用いた裸婦像の嚆矢といわれるが、裸体画論争対す画家意識的な制作ともみえる。しかし、モデル個性切り捨てプロポーション極端に理想化し背景日本画のような金箔地としていることなど、画家制作意図がむしろ本格的な構想画の制作にあったことを示している。本図明治三十二年に加筆されたあと、同三十三年一九〇〇パリ万国博覧会出品した意欲であって日本出品者では最高の銀牌ぎんぱい】を受賞しているが、黒田当初より万博出品予想していた可能性指摘されている。このような構想画の試みは、藤島武二青木繁らに形を変えて引き継がれていく。
 日本洋画の上黒田画業評価するとき、明度の高い色彩をもって日本的な画題描いて見せた舞妓」や、日本的な洋画表現具現した「湖畔」と並んで西洋正統的な絵画観を日本移植しようと努めたという点で、裸婦用いて抽象的概念表現しようとした記念碑的な作品である本図また、高い価値有しているといえよう
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絵画:  春日宮曼荼羅図  春畝  普門院方丈障壁画  智・感・情  木造観音立像  本堂障壁画  本堂障壁画

智・感・情

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/07 02:21 UTC 版)

智・感・情

智・感・情(ち・かん・じょう)は、黒田清輝1897年に発表した絵画作品。東京国立博物館黒田記念館蔵。

1900年のパリ万博に『裸婦習作』(Etude de Femme)のタイトルで出品され、銀賞を受賞している。小川花と幸姉妹をモデルとして描き、日本人女性をモデルに制作された最初の油彩裸婦画とされている。それぞれは当時の画壇で「画家の三派」と位置づけられていた理想主義(智)、印象主義(感)、写実主義(情)を象徴化したものとされている。

2011年村上隆TonyKEI大槍葦人らと発表した『黒田清輝へのオマージュ』はこの作品のオマージュである[1]

脚注



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