晋書列伝巻第五十一零巻とは? わかりやすく解説

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晋書列伝巻第五十一零巻

主名称: 晋書列伝巻第五十一零巻
指定番号 2530
枝番 00
指定年月日 2004.06.08(平成16.06.08)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書 紙背因明四種相違
員数 1巻
時代区分 奈良
年代
検索年代
解説文: 『晋書』は、唐の太宗たいそう】(五九八~六四九)の勅命により、南斉の臧栄緒の紀伝体『晋書』底本とし、陸機謝霊運干宝らの書いた史書参考として房玄齢李延寿らによって編纂された史書である。
 晋朝西晋東晋)の歴史記した中国の正史として一三〇巻(帝紀一〇巻、志二〇巻、列伝七〇巻、載記三〇巻)からなり載記には五胡十六国歴史記し、その成立貞観二十二年(六四八)である。
 中国の正史としては、多数史官の手経て編集され最初のもので、矛盾不統一もあるものの、主観的にならず、広範な材料使われている。『世説新語』『搜神記』などの逸話集、奇異小説集から多く材料とっている点が批判されるが、もととなった諸書が、安史の乱失われていることもあり、この時代を知る史料として唯一の貴重なのである
 『晋書』早くわが国伝来したことは、天平二年(七三〇)の正倉院文書『続日本紀』神護景雲三年七六九)十月甲辰条にもその名がみえることから知られる
 本巻体裁巻子装、料紙穀紙打紙用い淡墨界を施している。『晋書』本文は「衆疑阻、復散還横口」から「而桓振復攻没江陵劉毅等還尋陽」までの巻で、一紙二七行、一行一七前後にて端麗な筆致書写する。八世紀わが国において唐鈔本書写したものである。
 その内容は、列伝巻第五十一伺伝の末尾毛寶もうほう】伝の大半とが収められている。毛寶伝には、毛寶のほかに子の穆之と孫の〓の伝記収載されている。伝記内容は、(一)東晋成帝のとき、王敦なきあと起こった蘇峻祖約らの乱(三二七~三二九)に対して温〓が陶侃同盟して平定あたった記事(二)征西将軍幕府軍団長として活躍した〓亮・〓翼兄弟関中進入して洛陽奪回した桓温記事(三)戦った前秦苻堅桓沖などとの関係を具体的に記述している。また、東晋重臣王羲之親交深かった謝安や、安帝廃して自ら帝位についた桓玄らの名もみえる。
 紙背内容からみて、窮基【きき】(慈恩大師)が著した因明入正【いんみょうにっしょう理論疏』の四相違段を中心にわが国注釈した因明四種【ししゅ】相違疏』と考えられる行草体の本文などからみて、平安時代前半書写になるもので、仏教論理学の展開を知るうえでの貴重な史料である。
 巻末旧蔵者である鵜飼徹定一八一四九一)による明治十六年(一八八三)の識語存し本巻石山寺国宝史記『漢書』と「相類」の古写本位置づけている。
 六朝時代正史の旧抄本として周書香川猪熊氏、奈良大神神社)、陳書京都守屋氏)が知られいずれも重要文化財指定されているが、本巻はそれらと相並ぶ遺品で、『晋書』奈良時代書写になる最古写本として、またわが国における漢籍受容実態を示すものとしてきわめて貴重である。
重要文化財のほかの用語一覧
書跡・典籍:  是法非法経  是法非法経  時明集  晋書列伝巻第五十一零巻  普門院蔵書写目録  景徳伝燈録  智証大師伝


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