文芸・芸術領域への影響
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「マンチニール」の記事における「文芸・芸術領域への影響」の解説
ニコラス・クレスウェル(英語版)は、1774年9月16日金曜日の日記において、以下のように書いている。 マンチニール・アップルは、大きく育ったとしても小さいが臭いがあってイギリスのリンゴのような外見で、通常は海辺に生育している。それらは猛毒である。僕は一つのリンゴで、20人を殺すには十分であると聞いた。その毒は、木から垂れるたった一滴の雨粒、雫であっても、皮膚に付いてしまえばすぐに水疱を生じさせるほどきわめて有害な自然生成物である。聞くところによれば、果実も木も有用性が無いとのことだ。 『The Buccaneers of America』の著者・アレクサンドル・エスケメラン(英語版)は、この本の中でイスパニョーラ島(現在のハイチまたはドミニカ共和国)に滞在した際の「マンカニラ (mancanilla)、または小さなリンゴの木 (dwarf-apple-tree) と呼ばれる木」についての体験を書いている。 蚊やブユに大いに苦しめられていたある日、まだこの木の性質についてよく分からなかったが、団扇代わりに使おうと、私はその木の枝を切った。でも、次の日には私の顔は腫れ上がって、水疱に覆われてしまった。それはまるで、3日間もの間目が見えなくなってしまう程の火傷のようなものであった。 ギュスターヴ・フローベールの1857年の作品『ボヴァリー夫人』の登場人物・ロドルフ・ブーランジェは、エマ・ボヴァリーへの手紙の中で「致命的なマンチニールの木の有毒な影」と言及している。(原文:Nor had I reflected upon this at first, and I rested in the shade of that ideal happiness as beneath that of the manchineel tree, without foreseeing the consequences.) ラファエル・サバチニは、小説・キャプテン・ブラッド・シリーズにおいて、マンチニールの果実から絞ったジュースによる中毒について述べている。 「マンザニラ!」そして、彼は向きを変え、そしてひどく恐ろしく、血が凝結するほどの不敬な言葉を叫び始めた。そして彼は、ジャックとその残った中身を床で死に絶えている男に投げつけた。 ジョン・スタインベックの中編小説『真珠(英語版)』(1947)では、登場人物のキノが配偶者であるジュアナに、もしその木(おそらくマンチニールのこと)に触れてしまったら、失明してしまうからその手を目においてはならないと警告している。 クライブ・カッスラーの1988年刊行の小説『古代ローマ船の航跡をたどれ』(原題:Treasure)では、国際連合事務総長のハラ・カミルを乗せニューヨークへと向かう特別機で、機内食でマンチニールが毒として乗客乗員に提供された。これは、2種類の攻撃のうち1つであった。 ケイト・ブライアン(英語版)の2010年刊行の小説『Suspicion』において、マンチニールは自己防衛における主役、そして同様に殺人未遂の犯人として扱われている。 ジェフ・リンジーの小説、デクスターシリーズの第6作『Double Dexter』(2011年)において、コーディとデクスターはカブスカウトのキャンプでエバーグレーズへ向かう。そこでカブスカウトのリーダーが、マンチニールの木の危険性について詳しく解説している。 マンチニールの毒については、R.R.クヌードソン作の1974年の小説『You Are The Rain』で言及されている。この作品は、2人の10代の少女が、フロリダ州エバーグレーズで道に迷い、ハリケーン・アレタ (Aretha)に襲来される話である。彼女たちが、少女グループからはぐれてしまう前、彼女たちは夕暮れ時にブロード川のほとりでキャンプをし、写真を撮っていた。彼女たちのリーダー、コネッキーは勢力の強い雨雲が空を覆ってきたことから、マンチニールの下でポーズをとっているメンバーの少女を守るために、その少女を川へと突き落としている。その少女が川から上がってくると、コネッキーは、雨の降る中マンチニールの木の下にいれば、顔は激痛に襲われた上に、潰瘍性の水泡に覆われてしまうこと、そして果実、葉、樹液など木全体に水溶性の毒が含まれており、彼女が間一髪で水疱の脅威から逃れることができたと釈明している。このため、その少女は水疱から間一髪で守られた顔の写真について冗談を言っていた。 グラント・アレンの1887年発表の『The Beckoning Hand』の話の中で、マンチニールはタバコに仕込むための毒として使われている。 カートゥーンシリーズの『Total Drama』第5シーズンの後半で、登場人物のサメイは、彼女の姉妹であるエミーを殺害するためにマンチニールの果実を使っている。彼女はその果実に触れてしまい、水疱に苦しめられながらも、それを達成する。 マンチニールの木とその緑色の葉は、キャサリン・M・ヴァレンテのファンタジー小説『The Lily and the Horn』の物語において重要なモチーフとなっている。熟練した毒殺者である語り手は、マンチニールを含む、果樹園にある全ての植物が有毒植物という、Florilegiumと呼ばれる研究所で、毒殺者としての技能を身に着けた。彼女の最愛の人は、その研究所で拮抗毒の研究を行っていた。2人は、雨の降りしきる中、エメラルド色の粉末で皮膚を保護して身を守りながら、マンチニールの下で会ったのが最後となった。 ギネス世界記録において、マンチニールは世界で最も危険な木として記録されている。
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