御三卿家の特色とは? わかりやすく解説

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御三卿家の特色

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 01:07 UTC 版)

御三卿」の記事における「御三卿家の特色」の解説

御三卿の「家」としての性格は、江戸時代の他の大名家とは明らかな相違認められる幕府からは各家の当主10万石が支給されていたが、領地日本各地分散して存在しており、これらの領地支配は独自の代官所によって行われた。 例として、一橋家の大坂川陣屋備中国江原陣屋越後国金屋陣屋など、田安家摂津国長柄陣屋甲斐国田中陣屋などがある。また、家老以下の家臣団も主に旗本など幕臣出向によって当主付属する形で構成されていた。このように御三卿独立した別個の「家」ではなく将軍家徳川宗家)の家族・身内として認識されており、社会的に経済的に宗家依存しており、独立した藩が置かれることはなかった。ただし、田安家一橋家の両家明治元年1868年)に立藩している。 家政幕府委任したことはまた、御三卿間の対立幕府内の政争激化させたという指摘もある。たとえば御三家甲府徳川家館林徳川家当主は他藩藩主同様に自らの所領領民持ち家臣団統括して藩政家政独自に運営し、かつ尾張紀州両藩の藩主参勤交代隔年参府領国下向繰り返さなくてはならない水戸藩主常時定府巷間で「副将軍」と呼ばれたが、それでも領国経営の必要はあり、か定府ゆえの紛糾絶えなかった。しかし御三卿常時江戸城にあって領国経営家政運営の必要がなく、実質上は何もすることがなかった。しかも江戸城中においては実際政治担い手である老中大老よりも上位席次である。このため幕府政治黒幕として関与することが可能で、実際それに執着するようになり、その結果将軍跡目争いの絡む政争激化したといわれる御三卿当主は常に存在しているわけではなく不在のまま家だけが存続することが許されていたことも、他の家との大きな違いである。これを明屋敷(あけやしき)といった。藩主死亡して家督相続者を欠いた場合には藩が改易されることが定められていたが、御三卿そもそもではなく領地幕府経営屋敷地幕府支給家臣団幕臣出向という形をとっていたため、家督相続者を欠いた場合でもその家を収公する必要性がなかったからである。 そうした背景もあって、御三卿当主はその家の相続自体必然の目的はしないことも大きな特色だった。したがって御三卿家では庶子はもちろん、嫡子当主ですら他家への養子出されることがあった。さらに松平定信田安家久松松平家庶流)や徳川昭武清水家水戸家)などのように、他に適当な養子先があれば、たとえ本家明屋敷となって養子先相続優先させるという形がとられた。明屋敷となっても、いずれ誰か適当な徳川家血筋の者がいた際に養子入りさせて家を再興すればよかったからである。 このため一橋家の宗尹の血筋一時代々将軍御三卿水戸家以外の御三家含めた親藩のほとんどの当主独占する至ったが、幕末において宗尹の血筋田安家でしか続かず逆に御三家から庶子隠居した当主入って一橋家や清水家相続するという、創設当初には想定し得なかった事態となった。宗尹直系絶えた一橋家の当主には慶喜水戸家から入り慶喜将軍継いだ後は、元尾張藩主隠居の身であった徳川茂徳が茂栄と改名し一橋家を継ぎ、さらに慶喜の弟の昭武明屋敷だった清水家継いでいる。特に慶喜昭武祖父徳川治紀女系ながら2代将軍徳川秀忠血を引いている。茂栄もさかのぼると水戸家血を引いており、御三卿のうち二家が(将軍家尾張家と共に吉宗直系でない水戸家血筋占められることになったのである。なお、御三家からは当主本人だけでなく藩士家臣として転属てきている。 御三卿禄高10万石と家格維持のための支出は、次第幕府財政圧迫することとなった。これらの負担軽減から、田安家一橋家の両家は、それぞれ田安藩と一橋藩という形で明治元年1868年)に立藩したが、いずれも明治2年1869年)の版籍奉還の際、他藩の廃藩置県先立って廃藩となり、両藩主知藩事には任じられず、家禄支給されることとなった田安家は3148石、一橋家は3805石)。清水家は、当主昭武明治元年当時日本出国中だった上、帰国後に水戸徳川家相続し当主不在となり、立藩することはなかった。明治3年1870年)に清水家家督相続した篤守(昭武の甥)も、家禄2500石を支給されるとどまった

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