定子周辺
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 00:57 UTC 版)
清少納言(せい しょうなごん) 枕草子の作者にして中宮定子の女房。27歳。中流貴族の出であり、古今集を丸暗記する程の卓越した記憶力と後に平安文学の傑作に数えられる日記を書く文才に恵まれており、漢詩にも精通している。女房として宮仕えするまでは引きこもりだったが、見かねた友人・弁官の薦めで中宮定子の家庭教師になるための面接を受けて女房となった。弁官から定子の前評判を聞いて、完璧すぎる故に架空の人物かと思っていたが面接の際に評判通りだった定子に一目ぼれし、変態的なまでに定子を敬愛するようになる。こと定子の絡むと発想が飛躍しがちでところ構わず定子への愛を語る一方、無自覚に思わせぶりな態度をとることで周囲の人間から誤解を受けることが多い。 定子の問いに対して機転の利いた答えを瞬時に実践して見せる等、頭の回転も速く高い教養を持つ定子の家庭教師を務めるだけの学はあるものの、引きこもり生活が長かったおかげで一般常識に疎く、化粧や料理はまったくできない。部屋は散らかり放題でいつも見かねた紅式部が片づけている。 酒が弱く、少しでも酒を飲むと理性の箍が外れてしまう上に、酔っている最中の記憶は酔いが覚めた頃には残っていない。定子絡みのこととなると通常では考えられないような能力を発揮し、十二単を身に着けたままオーバーヘッドキックをしたり、帰りを待つ定子のもとに文字通り飛んで帰ったりといったことができる。 紫式部とは互いの作品や感性を批判し合いつつも、似た立場の者同士として相談を受ける関係でもある。同室の同僚である紅式部から好意を寄せらせているが、そのことに気付いてはおらず本音を話せる数少ない友人の一人としてみている。定子を取り合う関係から彰子・主上との仲が悪く、たびたび二人から嫌がらせを受けている。 後に『枕草子』となる日記を書くのが趣味で、日々の出来事や気付きなどとりとめのない日常を書き連ねている。しかしこれは表向きのもので、趣味と欲望が全開になった定子を愛でる日記はとても他人に見せられるものではなく畳の下などに隠している。紫式部に触発され、小説を書いたことも。 中宮定子(ちゅうぐう ていし) 主上の中宮。13歳。大勢の女房に囲まれて育ち教養も容姿も完璧であるが、公私を通じて真に友人と呼べる相手を欲し、「家庭教師」の名目で清少納言を登用した。清少納言から変態的に愛されていることに気づかないまま、ただ純粋に清少納言のことを慕って彼女の日記を読むのを楽しみにしている。 清少納言とより親密な関係になりたい・独占したいという気持ちが強く、関係を深めるためにどうすればいいかを常に模索している。清少納言が自分以外のものと親密な関係になることを危惧しており、そうした兆候が見られた際には焼きもちを焼いて非常に威圧的になる。清少納言と紫式部が一緒に寝ている現場を目撃して以来、二人の関係を特に疑っている。清少納言との関係について母である貴子に相談することが多い。 中宮としてふさわしい振る舞いを心掛けているが、少納言には地獄絵図を不意打ちで見せて驚かせる悪戯を仕掛けたりゲームで打ち負かす事を楽しんだりと、年相応の無邪気な振る舞いを見せることも。 中宮になる以前は彰子同様にやんちゃな子供だったが、中宮になったことを期に落ち着いた。このことが彰子に従姉との間の距離を感じさせる結果となった。 弁官(べんかん) 中宮の母・藤原貴子に仕える女房。30歳くらい。清少納言の友人であり親代わりのような存在。母親同士の仲が良かったことから清少納言とは幼少の頃に知り合い、早くに母親を亡くした清少納言の姉のような存在だった。以後今に至るまで腐れ縁が続いており、引きこもりのニート生活を満喫していた清少納言を見かねて定子の家庭教師になるよう薦めた。しかし、実際に登用されてから定子への偏愛ぶりを爆発させて暴走し続ける清少納言に不安を覚える日々を送っている。本作品では貴重な常識人であり、主に自由奔放な清少納言や貴子にツッコミを入れる立場。幼馴染の清少納言に対して度々強烈なツッコミを入れる一方で、主君である貴子には頭が上がらず遠慮がちに突っ込むことが多い。 主君である貴子とは単なる主従関係以上の特別な関係にあり、二人の親密な関係を目の当たりにした定子からは主従の権化として目標にされている。貴子を慕っている一方で、貴子からの過剰に性的なスキンシップに困惑することも多い。 紅式部(こう しきぶ) 定子の女房で清少納言の同僚。17歳。同じく定子の女房である白銀小左近、翆中納言と仲が良い。出会った当初から清少納言に好意を寄せているが、自分の気持ちに素直になれず、初対面となる顔合わせの時から口を開く度に思っていることとは反対のことを言ってしまい、自己嫌悪に陥ることが多かった。弁官の紹介で清少納言と同室となり、関係が深まるにつれて徐々に素直に接することができるようになる一方で、最初に清少納言に感じた印象と現在感じている印象とのギャップに思い悩んでいる。 清少納言の定子への想いを知っているが、ときおり見せるおもわせぶりな態度を見せられるせいで諦めきれずにいる。傍から見て明らかに恋愛感情を抱いているが、周囲にそのことを指摘されても認める様子はない。 散らかした部屋を片付けたり、相談に乗ったりと常識人として苦労が絶えない。 藤原貴子(ふじわら の たかこ) 定子の母。30歳くらい。前髪パッツンと妖艶な目元が特徴的な美女。掴み所のない飄々とした性格で、その場の思い付きで周囲の人間を巻き込んだ騒動を起こして楽しんでいる。お気に入りの女房である弁官にたびたびちょっかいをかけて困らせている。定子と清少納言の関係を見守っており、定子から相談を持ちかけられると、持ち前の茶目っ気を出しつつも、的を射た意見で娘を導いている。 倫子を義妹にするために道長の正妻となるよう口説き落とすなど、自らの欲求に忠実であり、そのためには手段を選ばない。 清少納言が苦手とする相手で、酔っ払って手当たり次第キスをして回った時も唯一本能的に危険を感じて避けていた。 白銀小左近(しろがね こさこん) 定子の女房で清少納言の同僚。翆中納言とは同室で普段から一緒にいることが多い。状況を把握し空気を読むことに長けており、いつも笑顔を浮かべて周囲の騒ぎを見守っている。紅式部にアドバイスをする役回りが多く、歯に衣着せぬ物言いで物事の核心をつく発言をする。お酒が好き。 翆中納言(すい ちゅうなごん) 定子の女房で清少納言の同僚。白銀小左近とは同室で普段から一緒にいることが多い。口数が少なく、いたって常識的な価値観の持ち主で周囲の騒ぎに困惑気味。 夢占いが趣味でお告げや夢の内容の暗示に詳しい。
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