外国人母子家庭
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 23:58 UTC 版)
生活保護母子世帯の中でも外国人世帯は7千世帯を超えていて、4割がフィリピン人であるが、その子どもが母と社会の架け橋となって負担を感じている事例も出現してきている。また、2013年2月18日群馬県大泉町でフィリピン人母が子どもたちを残して帰国中、3歳児が死亡(餓死の疑い)したのを中学生の姉が通報した事件も起こっているが、同月5日に会ったケースワーカーには帰国を報告していなかった。本件は過去に当児童が0歳児時にも母は一週間の約束で知人に幼児を預け、帰国して連絡が取れないまま1年が経ち、その間子ども達は児童養護施設に入所していたハイリスク家庭であったことも分かっている。 生活保護受給中であっても、通常でケースワーカーからの連絡は世帯主に集中することに加え、子どもが不在である日中の時間の自宅訪問となるため子どもたちの動向把握は十分でない場合が多く、学習支援プログラムなど一部を除き子どもの成長を見守る支援も少ない。なお子どもが幼児で親が就労・求職中・疾病で育児ができない場合には、生活保護受給者、母子家庭は優先的に、かつ生活保護受給者は無償で保育園に入所できるため、日中は子どもの育成が公共の場で見守られている。 2012年4月大阪市では6歳男児・4歳女児が母子家庭のフィリピン人母(29歳)に包丁で切りつけられ、男児が死亡、女児が傷害を負った。無理心中を図ったと見られる。母は生活保護ケースワーカーが家庭訪問した際、「夜間就労と子育ての両立に大きなストレスを感じている」と説明していた。この事件をきっかけに、全校児童の約4割が13の外国籍などを持つ大阪市立南小学校の児童らを対象に、教諭や支援団体などがボランティアで学習を手助けする大阪の夜間教室が始まった。 2013年10月に東京都三鷹市で発生した三鷹ストーカー殺人事件でも、公判時にフィリピン人母を持つ犯人の男(21歳)の生い立ちが明らかになり、貧困生活の中で狭い部屋の隣室で母親が交際相手と性行為をするあえぎ声を聞き、母親の交際相手から過酷な虐待を受け、母親が何日も家に帰ってこないことが日常茶飯事で近所のコンビニで消費期限の切れた弁当を無心する生活を送り、母親も交際相手から暴力を振るわれていたことなど、「児童虐待」「ネグレクト」「DV」の三重苦に苦しめられた男性Aの成育歴が法廷で語られた。 なお、東京都荒川区の貧困と社会的排除の調査では、問題を抱えている調査対象世帯の約2割が外国籍の家庭であった。 2011年3月には東日本大震災による東京電力福島原発の事故を受け、政府の指示を超えて自主避難が広がる中、生活保護を受ける外国人が日本人との間に生まれた子供を置き去りにして帰国するケースが相次いだ。関東地方の市の福祉事務所では中国籍の40代の母は「祖父が危篤で帰国する」と電話をしてきたが、自宅に残された高校2年と中学2年の子供に担当者が事情を聞くと、母は「原発が怖い」と中国へ帰ったという。このような帰国は少なくとも東日本の84福祉事務所で64件にのぼり、中国、韓国、フィリピン、タイ人などで、中国人が最も多かった。永住資格などを取得後に日本人男性と離婚した母子家庭や単身女性がほとんどを占め、子供と帰国した人が多い一方、友人の中国人や日本人へ預けて帰国したり、子供を置き去りにしたネグレクトも少なくないという。申告者はみな一様に「祖父母が危篤で」と言って帰国し、黙って帰国する例が多く実態がつかめないと福祉事務所の担当者は語っていた。外国人世帯には、帰国によるネグレクトが発生する問題もつきまとう。
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