国航関係者
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八馬忠次(はちうま) 恩地の前任組合委員長。恩地に委員長を押し付けるも、経営陣に噛み付くという恩地の暴走に手を焼く。堂本や行天と手を組み、恩地に対し僻地への左遷的人事を言い渡す。その後も事あるごとに恩地ら旧組合や事故後の国見新体制への嫌がらせを行う。 モデルは吉高諄であるが、吉高が山崎豊子のインタビューで小倉を評した内容と、作品上の主人公の描写は全く異なり、吉高がモデルとされる八馬も、作中では否定的な人格として描かれている。 権田宏一(ごんだ) 恩地と対立する新生労働組合委員長。 轟鉄也(とどろぎてつや) 新生労働組合副委員長。モデルは大島利徳である。 岩合宗助(いわごうそうすけ) 新生労働組合の黒幕。後に国航開発社長となる。そのワンマンな経営姿勢は「岩合天皇」とあだ名されている。物語終盤に国航開発の乱脈経営の責任を問われ、国見らにより解任される。モデルは石川芳夫である。 岡部貨物部長(おかべ) モデルは全日空第2代社長岡崎嘉平太の長男・岡崎彬で、御巣鷹山で遺族に対して実際に尽力した社員の一人であり、作中の主人公の献身の描写は、岡崎らの体験に基づいているといわれる。 桧山衛(ひやままもる) 恩地が組合委員長だった頃の国航社長。労使交渉で恩地と対立した一方で、他の経営陣らに嫌われる恩地の処遇を案じており、苦肉の策として恩地の海外勤務を提案するも、「2年で日本へ帰す」という恩地との約束を守れなかったことに心を傷める。モデルは松尾静磨だが、実際には「戦後日本航空業界の父」と称される人物で、作品内の人物像とは大きく異なる。 小暮(こぐれ) 桧山の後任の国航社長。モデルは、朝田静夫である。運輸省からの天下り組であり、恩地ら旧組合のみならず堂本や八馬にも煙たがれている。 堂本信介(どうもとしんすけ) ジャンボ機墜落事故発生時の国航社長。かつて国航の労務担当役員として冷徹に組合交渉に臨み、権謀術数を巡らせ組合の分断工作などを行う。言葉巧みに行天を誘い、自らの手駒として手懐ける。その一方で、過激な労組運動を行った恩地に共産党の秘密党員(アカ)のレッテルを張り、抹殺を図る。オーディオマニアである。社長就任後は、官僚の天下りではない社内の「生え抜き派」として長期政権をねらうが、大事故によりその目論見は徒労に帰す。死に体となった社長として、苦い顔をしながら遺族行脚を余儀なくされる。若いころは筋金入りの左翼活動家であったが、昭和初期の大弾圧のなか獄中で体制派に転向したという過去をもつ。 モデルは、日本航空初の生え抜き社長だった高木養根とされるが、高木は退任後、個人の資格で遺族への慰問行脚をしたほか、毎夏群馬県上野村の御巣鷹の尾根に慰問登山を続けており、作中の描写とは人物像は大きく異なる。 国見正之(くにみまさゆき) 関西紡績会長。ジャンボ機墜落事故の後、内閣総理大臣直々の指名で三顧の礼をもって、国航会長に迎えられる。関西紡績の労務問題を解決した手腕と、元軍人であることを理由に選ばれ、「お国のため」に働くことを政界から求められる。安全の確立といった社内の改革、520名の被害者の側に立つことを明確化。実直すぎる人柄と、利根川首相の政敵・永田と交流があったこと、共産党に挨拶に行ったことや左翼分子の疑いをかけられている恩地を重用したことから、やがて首相に厄介者扱いされる。深刻な労使対立などの国民航空に巣食う病根の深さに翻弄され、ついには道半ばで更迭される。 モデルはジャンボ機墜落事故後に日本航空会長に就任した元カネボウ会長の伊藤淳二とされるが、本作は伊藤について脚色が多いと言われている。 海野昇(うんののぼる) 国見の会長就任と同時に国航社長となる。モデルは、山地進である。外面は国見にへつらっているが、腹の底では真面目一筋の国見に辟易している。 三成通男(みつなりみちお) 国見の会長就任と同時に国航副社長となる。モデルは、利光松男である。 秋月純(あきづきじゅん) 国航開発会長。 永尾(ながお) 国航常務。 田丸(たまる) 国航常務。 三井美樹(みついみき) 客室乗務員。恩地らと共に組合の一員として働く。国民航空退職後は、国民航空の労組問題に力を貸すようになる。 八木和夫(やぎかずお) 国航の旧労働組合員。かつて、恩地らとともに経営陣と戦った。 小川亜紀子(おがわあきこ) 客室乗務員。行天とは愛人関係を結んでいる。行天から「アコ」と呼ばれている。 和光(わこう) 国航監査役。国民航空の10年もののドル先物予約などの不正を告発する。 川野 国航秘書課長。 細井守(ほそいまもる) 見るからに不健康そうな細身の男。通称「針金課長」。行天の指示で大量の株主優待券を換金して現金を用意させられたり、ペーパーカンパニーの社長をやらされたりと、散々な目に遭う。そのために、ノイローゼを患う。国民航空内部の暗部を東京地方検察庁特別捜査部に告発する書簡、通称「細井ノート」を送った後に、東尋坊に身を投げ自殺する。この細井ノートが後に行天を奈落に突き落とす引き金となる。
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