初代運用機材の更新
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 13:35 UTC 版)
「日本国政府専用機」の記事における「初代運用機材の更新」の解説
各国での政府専用機に相当する航空機の採用状況をみると、ボーイング747-400やエアバスA340など、非常に高価なワイドボディ新型機を新規に購入した例は、航空機製造国以外では極わずかな国家のみであり、日本やブルネイ、カタールなどに限定される。 実際、航空機製造国(アメリカ合衆国やEUやロシア、フランスやドイツなど)は、自国製の新造機を政府専用機としている。しかしそれに対し航空機製造国以外(その他多くの国)はボーイング ビジネスジェットやエアバス・コーポレート・ジェットなどの中型機を導入したり、民間からボーイング757やボーイング727などの中古の中・小型機またはボーイング747-SPなどの中古のワイドボディ機を買い上げて改造したりする例が多い。 その一方、2000年頃からは政府専用機にも小型化の傾向が見られている。その理由は、短い滑走路を持つ地方の空港からでも容易に離着陸できるなど、小振りの機種が汎用性においてより優れた選択肢となったためである。その背景に、中・小型機の航続距離、双発機(ボーイング737、ボーイング777、エアバスA330、ボーイング787など)の燃費やETOPSなどが飛躍的に向上した事実がある。 実際の大型機の運用においても、運用自体が中途半端になり、警備上の問題や経済性の低さなどが生じることも指摘されるようになっている。この指摘の根拠には、ボーイング747が安全な離着陸を行うためには最短でも2,500から2,750m以上の滑走路が必要であり、そのような条件を満たす滑走路を持つ空港が、大都市の国際空港や空軍基地に限られてしまうことが挙げられている。その点、ボーイング737-600以降の新型機種などでは、2,000mの滑走路があれば余裕を持って離着陸できるため、運用できる空港が非常に多くなる。 2008年(平成20年)10月17日付の産経新聞は、三菱重工業が開発中の日本製小型旅客機「MRJ」(現:Mitsubishi SpaceJet)を10機発注する予想を報じた。MRJはボーイング737よりさらに小型で燃料効率がよいとされ、開発に関して国が補助金を出していることから販売を促進する目的も兼ねている。ただし、MRJは太平洋や大西洋無着陸横断飛行ができない。したがって、仮にMRJが政府専用機として使用されるとしても、日本国内および東アジアの外国渡航用といった、補助的な役割に留まる。 2010年、日本航空の経営再建のため、同社のボーイング747が全機退役するのに伴い、整備面での問題が浮上した。2019年以降は同社で整備を受けられなくなるため、後継機の選択を実施しなければならなくなった(下記「運航および整備の委託」の項を参照)。 2013年8月に、前述の通り2018年度末に現用の2機を退役させる方針が明らかにされている。新たな政府専用機の候補としては、複数の報道によりボーイング777・787、エアバスA350 XWBが挙がっており、2019年の導入に向け機種を選定するとしていた。。2014年4月になって飛行性能に加えて日米同盟の関係強化に向けた姿勢などを重視し、導入後のメンテナンス委託先も確保しやすいことからボーイング777を導入する方向で最終調整していることが報道された。選定候補に挙がっていたボーイング787は機内空間の狭さ、エアバスは現行機がボーイング製という継続性と日米安保同盟という外交的政治判断によって、選定から外れている。 2014年8月12日、日本国政府はボーイング747-400の後継機として、ボーイング777-300ERを選定し、機体整備は全日本空輸に委託されることを明らかにした。 2018年8月1日、航空幕僚監部は政府専用機(ボーイング747-400)の運用終了を前に、この機材の処分に関する情報提供の募集を開始した。 2018年8月17日、新型のボーイング777-300ERが北海道の航空自衛隊千歳基地に到着し、2019年4月1日にボーイング747-400は退役した。
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