出動準備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 09:16 UTC 版)
非軍事化された海上保安庁が、しかも日本が関与しない外国での戦闘行為に従事することから、隊員の間でも議論が生じた。ただし田村本部長からの最初期の通達では「朝鮮海峡での浮流機雷の掃海」とされており、また6日午後に旗艦「ゆうちどり」で行われた指揮官会議では「38度線は越えない」と明言されたことでおおむね納得し、出動準備が進められることになった。 隊によっては、艇ごとに参加・不参加の決を取らせたこともあったが、いずれも参加と決した。また下関の岸壁では、朝鮮への派遣に納得できない乗員の家族が駆けつけてきて、乗員に朝鮮派遣を思いとどまるように懇願し、他の乗員や艇長たちの説得でやっと諦めるという一幕もあり、一部の乗員は家庭の事情ということで下船した。 なお、このように事情が特殊であったことから、特別掃海隊に参加する隊員について特殊勤務手当が増額され、実質的な給与は倍額となった。ただしこのような手当てが取られていることを含めて、隊員たちには事情がほとんど知らされておらず、使命・目的が曖昧なままで危険な業務に就くことになったことから、第2掃海隊指揮官であった能勢省吾は、後に「これらのことが伝達説明されていたならば、或いは全員が使命感を自覚して、違った結果を生んだかも分からない」と述懐している。 なお占領期には日章旗・旭日旗の掲揚が禁止されていたことから、日本船舶の旗章としては、国際信号旗の「E旗」の端を三角に切り落とした日本商船管理局(SCAJAP)の旗が代わりに使用され、船体からは海上保安庁のマークも取り外された。
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出動準備
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 09:45 UTC 版)
11月23日、下記のように処分部隊が編成され、処分期日を11月28日、予備29日となった。 現場指揮官:護衛艦隊司令官(宮田敬助海将) 水上部隊:「はるな」、「たかつき」、「もちづき」、「ゆきかぜ」(いずれも5インチ砲装備) 潜水艦:「なるしお」 航空機:P2VおよびP-2J×約10機 11月25日午後、海上保安庁の第三管区海上保安本部および雄洋海運(船主)各担当者から、海上自衛隊への状況説明が行われた。当初、自衛隊では、軍艦よりも商船は防御力が脆弱であり、LPGのタンクに数発の弾丸を撃ち込めば炸裂で誘爆するのではないかとの期待もあった。しかし実際には、同船は船内に複数のタンクを持つ浮力の大きなタンカーであり、船体外板や上甲板および各タンクには8~20ミリ厚の高張力鋼が使用され、船体は極めて堅固な構造であるうえに、LPGを爆発させるには空気との相当な混合が必要で、砲弾をタンク内で炸裂させても誘爆は期待できないことが判明した。 これらの情報を踏まえて、実施計画の大綱における方針は、2次被害を局限するため、成し得る限り重油の流出を避け、「雄洋丸」を黒潮流域外水深1,000メートル以深の位置で沈没させることとし、射撃による舷側破壊、爆撃による上甲板破壊、雷撃による水線下破壊を適切に組み合わせ、ナフサとLPGの燃焼を促進した上、船体浮力の喪失を図り、最小限の弾薬類をもって沈没させることとした。この実施計画は、翌26日午後に行われた処分部隊の研究会において、部隊に対し示された。 使用する魚雷としては、当初、最新鋭の直進魚雷で炸薬量も多い72式魚雷が検討されていたが、制式化直後だったこともあり、約1ヶ月の整備期間を要することが判明して、急遽、Mk.37が使われることになった。この魚雷を調整できる水雷調整所が呉だけであったため、現場最寄りの横須賀所属の潜水艦を差し置いて、呉基地所属の「なるしお」に白羽の矢が立ったものであった。 Mk.37魚雷は誘導機能を備えたホーミング魚雷だが、漂流する「第十雄洋丸」にはその目標となるドップラーがないことから、ホーミング魚雷ではなく直進魚雷として使用することになり、防衛庁・自衛隊およびメーカーである三菱重工業が突貫作業でドップラー制限を外すための改修を検討・実施した。この改修作業のために、「なるしお」の到着は航空機・水上艦よりも遅れている。
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