冷泉家と古典籍とは? わかりやすく解説

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冷泉家と古典籍

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 04:48 UTC 版)

冷泉家時雨亭文庫」の記事における「冷泉家と古典籍」の解説

和歌の家」冷泉家は、藤原定家の孫・冷泉為相(ためすけ、1263年弘長3年) - 1328年嘉暦3年))を初代とし、藤原道長流れをくむ公家家系である。道長の6男・藤原長家を祖とする御子左家みこひだりけ)は、勅撰和歌集撰者であった藤原俊成定家以来和歌の家としての格式をもっていた。藤原定家の子でやはり勅撰和歌集撰者であった藤原為家1198年建久9年) - 1275年建治元年))の後、御子左家家系は為家の嫡男為氏を祖とする二条家、為氏の弟・為教を祖とする京極家、為氏・為教の異母弟である為相を祖とする冷泉家の3家に分かれたこのうち二条家京極家中世断絶し俊成定家血統伝えるのは冷泉家のみとなった冷泉家初代である為相は、藤原為家60歳過ぎてから、後妻阿仏尼との間にもうけた子である。為家は、嫡男為氏に与えるはずであった所領伝来歌書などを為相に相続させている。これは、為家が幼い為相の行く末案じたためであると言われている。こうして、御子左家所伝典籍類は冷泉家に伝わることになった。なお、所領細川庄の所有権に関しては、冷泉家阿仏尼、為相)と二条家(為氏)の間で長らく争論があり、最終的に為相が勝訴したのは正和2年1313年)のことである。その後応永23年1416年)頃、3代為尹の3男持為が分家独立し冷泉家は為尹の嫡男為之の系統の「上冷泉家」と持為の系統の「下冷泉家」に分かれた(以下、文中の「冷泉家」は「上冷泉家」を指す)。 冷泉家(上冷泉家)の屋敷京都御苑の北、今出川通南面し東・北・西の三方同志社大学敷地囲まれている(下冷泉家屋敷は現・京都御苑にあった)。この一帯は、豊臣秀吉都市計画により公家屋敷集中していた地域であったが、現存するのは冷泉家住宅のみである。冷泉家慶長11年1606年)にはこの地に屋敷構えていたことが知られる寛永5年1628年)頃、冷泉家伝来古書収めていた土蔵御文庫」(おぶんこ)は、勅封がされて武家伝奏京都所司代管理下におかれ、冷泉家当主といえども勝手に出入りすることはできなくなってしまった。これは、当時茶の湯隆盛に伴い和歌集などの古書切断分割して茶会用の掛け物仕立てることが流行していたため、貴重な典籍類が散逸するのを未然に防ぐ意味があった。封が解かれたのはようやく享保6年1721年)のことである。この間貞享2年1685年)と同5年1688年)頃、和歌造詣深かった霊元天皇冷泉家から数百点の古典籍宮中に運ばせ、公家らに命じて写しを作らせている。これらの写本宮内庁書陵部現存している。 天明8年1788年)の京都大火により、冷泉家屋敷焼失したが、「御文庫」は火災免れて現存する現存する冷泉家住宅重要文化財)は寛政2年1790年)に再建されたものである近代入って1917年大正6年)には今出川通拡幅工事に伴い曳家(ひきや、建物解体せずに移動させること)が行われ、敷地縮小したが、各建物の配置などは旧状をよくとどめている。 冷泉家の「御文庫」は屋敷内でも神聖な場所とされ、現在も当主嫡男以外は立ち入ることが許されていない。そこに保存されてきた古文書古写本類は、一部研究者にはその存在知られていたが、長らく非公開とされ、一般にその存在知られるようになったのは1980年昭和55年)からである。同年より平安博物館(現京都文化博物館)によって冷泉家所蔵本の整理目録作成始められ徐々にその全体像明らかにされてきた。冷泉家所蔵本は、俊成定家自筆本や、定家自筆日記明月記』をはじめ、日本文学日本中世史研究上、貴重な資料宝庫である。また、冷泉家住宅近世以前公家住宅現存唯一の遺構として貴重なのであるこうした有形文化財加え歌会乞巧奠きっこうてん、七夕のような昔ながら年中行事和歌の家としての伝統保持するため、1981年昭和56年)に財団法人冷泉家時雨亭文庫設立され24当主冷泉為任初代理事長となった財団名の「時雨亭」は、定家京都嵯峨構えた山荘の名である。

※この「冷泉家と古典籍」の解説は、「冷泉家時雨亭文庫」の解説の一部です。
「冷泉家と古典籍」を含む「冷泉家時雨亭文庫」の記事については、「冷泉家時雨亭文庫」の概要を参照ください。

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