例: SL(2,C)
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「球函数に対するプランシュレルの定理」の記事における「例: SL(2,C)」の解説
複素特殊線型群 G = SL(2,C) は四元的上半平面 H 3 = { x + y i + t j ∣ t > 0 } {\displaystyle {\mathfrak {H}}^{3}=\{x+yi+tj\mid t>0\}} にメビウス変換として推移的に作用する。即ち、二次の複素正方行列が g = ( a b c d ) , g ( w ) = ( a w + b ) ( c w + d ) − 1 {\displaystyle g={\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}},\quad g(w)=(aw+b)(cw+d)^{-1}} として作用する。一点 j の固定部分群は極大コンパクト部分群 K = SU(2) であり、故に H 3 = G / K {\displaystyle {\mathfrak {H}}^{3}=G/K} が成り立つ。この上半平面には G-不変リーマン計量 d s 2 = r − 2 ( d x 2 + d y 2 + d r 2 ) {\displaystyle ds^{2}=r^{-2}(dx^{2}+dy^{2}+dr^{2})} が入り、対応する体積要素 dV とラプラス作用素 Δ が d V = r − 3 d x d y d r , Δ = − r 2 ( ∂ x 2 + ∂ y 2 + ∂ r 2 ) + r ∂ r {\displaystyle dV=r^{-3}\,dx\,dy\,dr,\quad \Delta =-r^{2}(\partial _{x}^{2}+\partial _{y}^{2}+\partial _{r}^{2})+r\partial _{r}} と定まる。上辺平面 H 3 {\displaystyle {\mathfrak {H}}^{3}} の各点は、SU(2) の元 k を用いて k(etj) と書くことができて、t は符号の違いを除いて決まる。またこのラプラス作用素 Δ は、SU(2)-不変函数の上で Δ = − ∂ t 2 − 2 coth t ∂ t {\displaystyle \Delta =-\partial _{t}^{2}-2\coth t\partial _{t}} なる形に書くことができて、実数値助変数 t の函数と見做すことができる。SU(2)-不変函数の積分は ∫ f d V = ∫ − ∞ ∞ f ( t ) sinh 2 t d t {\displaystyle \int fdV=\int _{-\infty }^{\infty }f(t)\sinh ^{2}t\,dt} で与えられる。自乗可積分 SU(2)-不変函数の空間と L2(R) とを、ユニタリ変換 Uf(t) = f(t) sinh t で同一視すると、Δ は作用素 U ∗ Δ U = − d 2 d t 2 + 1 {\displaystyle U^{*}\Delta U=-{d^{2} \over dt^{2}}+1} に写される。ここで R に対するプランシュレルの定理およびフーリエ反転公式を用いれば、任意の SU(2)-不変函数 f は球函数 Φ λ ( t ) = sin λ t λ sinh t {\displaystyle \Phi _{\lambda }(t)={\sin \lambda t \over \lambda \sinh t}} を使った球変換および球反転公式 f ~ ( λ ) = ∫ f Φ − λ d V , and f ( x ) = ∫ f ~ ( λ ) Φ λ ( x ) λ 2 d λ {\displaystyle {\tilde {f}}(\lambda )=\int f\Phi _{-\lambda }\,dV,\quad {\text{and}}\quad f(x)=\int {\tilde {f}}(\lambda )\Phi _{\lambda }(x)\lambda ^{2}\,d\lambda } によって表すことができる。 fi ∈ Cc(G/K) として f = f 2 ∗ ⋆ f 1 {\displaystyle f=f_{2}^{*}\star f_{1}} および f ∗ ( g ) = f ( g − 1 ) ¯ {\displaystyle f^{*}(g)={\overline {f(g^{-1})}}} と置き、i での値を評価することにより、プランシュレルの公式 ∫ G f 1 f 2 ¯ d g = ∫ f ~ 1 ( λ ) f ~ 2 ( λ ) ¯ λ 2 d λ {\displaystyle \int _{G}f_{1}{\overline {f_{2}}}\,dg=\int {\tilde {f}}_{1}(\lambda ){\overline {{\tilde {f}}_{2}(\lambda )}}\,\lambda ^{2}\,d\lambda } が導かれる。これを両側不変函数に対して用いれば、 球函数に対するプランシュレルの定理 写像 U : L 2 ( K ∖ G / K ) → L 2 ( R , λ 2 d λ ) ; f ↦ f ~ {\displaystyle U\colon L^{2}(K\backslash G/K)\to L^{2}(\mathbb {R} ,\lambda ^{2}\,d\lambda );\;f\mapsto {\tilde {f}}} はユニタリで、f ∈ L1(K\G/K) による畳み込み作用素を f ~ {\displaystyle {\tilde {f}}} による乗算作用素へ写す。 球函数 Φλ はラプラス作用素 Δ Φ λ = ( λ 2 + 1 ) Φ λ {\displaystyle \Delta \Phi _{\lambda }=(\lambda ^{2}+1)\Phi _{\lambda }} の固有函数であり、また R 上のシュヴァルツ函数はハリッシュ=チャンドラ・シュヴァルツ函数の空間 S = { f ∣ sup t | ( 1 + t 2 ) N ( I + Δ ) M f ( t ) sinh ( t ) | < ∞ } {\displaystyle {\mathcal {S}}=\{f\mid \sup _{t}|(1+t^{2})^{N}(I+\Delta )^{M}f(t)\sinh(t)|<\infty \}} に属する函数 f の球変換として表せられる。ペイリー・ウィーナーの定理により、コンパクト台付き滑らかな SU(2)-不変函数の球変換はちょうど、指数的増加条件 | F ( λ ) | ≤ C e R ⋅ | I m λ | {\displaystyle |F(\lambda )|\leq Ce^{R\cdot |{\rm {Im}}\,\lambda |}} を満足する C 上の正則函数の制限であるような R 上の函数である。G 上の函数として Φλ は L2(C) において定義される球主系列の行列要素になっている。ただし、C は H 3 {\displaystyle {\mathfrak {H}}^{3}} の境界と同一視するものとする。表現は等式 π λ ( g − 1 ) ξ ( z ) = | c z + d | − 2 − i λ ξ ( g ( z ) ) {\displaystyle \pi _{\lambda }(g^{-1})\xi (z)=|cz+d|^{-2-i\lambda }\xi (g(z))} で与えられる。また函数 ξ 0 ( z ) = π − 1 ( 1 + | z | 2 ) − 2 {\displaystyle \xi _{0}(z)=\pi ^{-1}(1+|z|^{2})^{-2}} は SU(2) で固定され、 Φ λ ( g ) = ( π λ ( g ) ξ 0 , ξ 0 ) {\displaystyle \Phi _{\lambda }(g)=(\pi _{\lambda }(g)\xi _{0},\xi _{0})} が成り立つ。この表現 πλ は既約であり、これとユニタリ同値なものは λ の符号を変えたものに限る。 W f ( λ , z ) = ∫ G / K f ( g ) π λ ( g ) ξ 0 ( z ) d g {\displaystyle Wf(\lambda ,z)=\int _{G/K}f(g)\pi _{\lambda }(g)\xi _{0}(z)\,dg} で与えられる L 2 ( H 3 ) {\displaystyle L^{2}({\mathfrak {H}}^{3})} から L2([0,∞) × C)(最初の因子には測度 λ2dλ を入れる)の上への写像 W はユニタリであり、かつ L 2 ( H 3 ) {\displaystyle L^{2}({\mathfrak {H}}^{3})} の球主系列への直積分分解を与える。
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例: SL(2,R)
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「球函数に対するプランシュレルの定理」の記事における「例: SL(2,R)」の解説
実特殊線型群 G = SL(2,R) はポワンカレ上半平面 H 2 = { x + r i ∣ r > 0 } {\displaystyle {\mathfrak {H}}^{2}=\{x+ri\mid r>0\}} にメビウス変換として推移的に作用する。即ち実行列は g = ( a b c d ) , g ( w ) = ( a w + b ) ( c w + d ) − 1 {\displaystyle g={\begin{pmatrix}a&b\\c&d\end{pmatrix}},\quad g(w)=(aw+b)(cw+d)^{-1}} なる変換を定める。一点 i の安定化部分群は極大コンパクト部分群 K = SO(2) であり、 H 2 = G / K {\displaystyle {\mathfrak {H}}^{2}=G/K} が成立する。上半平面には G-不変リーマン計量 d s 2 = r − 2 ( d x 2 + d r 2 ) {\displaystyle ds^{2}=r^{-2}(dx^{2}+dr^{2})} が入り、対応する面素 dA とラプラス作用素 Δ がそれぞれ d A = r − 2 d x d r , Δ = − r 2 ( ∂ x 2 + ∂ r 2 ) {\displaystyle dA=r^{-2}\,dx\,dr,\quad \Delta =-r^{2}(\partial _{x}^{2}+\partial _{r}^{2})} で与えられる。 H 2 {\displaystyle {\mathfrak {H}}^{2}} の各点は k ∈ SO(2) を用いて k(eti) の形に書くことができて、t は符号の違いを除いて決まる。ラプラス作用素は SO(2)-不変函数の上で Δ = − ∂ t 2 − coth t ∂ t {\displaystyle \Delta =-\partial _{t}^{2}-\coth t\partial _{t}} の形に書くことができて、実径数 t の函数と見ることができる。SO(2)-不変函数の積分は ∫ f d A = ∫ − ∞ ∞ f ( t ) | sinh t | d t {\displaystyle \int f\,dA=\int _{-\infty }^{\infty }f(t)|\sinh t|dt} で与えられる。この常微分方程式に対して、対応する固有函数展開を導出する方法はいくつかあるが、例えば: 古典的な常微分方程式のスペクトル論を超幾何方程式に適用する (Mehler, Weyl, Fock); アダマールの降下法の一種で、二次元の双曲空間を、三次元の双曲空間の SL(2,C) の一径数部分群による自由作用で割った商として実現する; セルバーグとゴドマンに従って、アーベルの積分方程式; 軌道積分 (Harish-Chandra, Gelfand & Naimark). 二つ目と三つ目の手法は後述する。降下法については二種類の異なるものを記述する。アダマールによる古典的な降下法は、双曲空間上の熱方程式および波動方程式の取り扱いに適している。また、フレンステッド-イェンゼンの降下法は双曲面 (hyperboloid) 上のものである。
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