例および解釈
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/16 07:47 UTC 版)
「クラメールのパラドックス」の記事における「例および解釈」の解説
次の9点を通る三次曲線を求めよう。 (0, 0), (0, 1), (0, -1), (1, 0), (1, 1), (1, -1), (-1, 0), (-1, 1), (-1, -1) 三次曲線の方程式を Ay3 + (B + Cx) y2 + (D + Ex + Fx2) y + (G + Hx + Jx2 + Kx3) = 0 とおくと、係数は次の連立方程式を満たす必要がある。 ( 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 1 0 1 0 0 1 0 0 0 − 1 1 0 − 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 − 1 1 1 − 1 − 1 − 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0 0 1 − 1 1 − 1 1 1 − 1 1 − 1 1 1 − 1 1 − 1 − 1 1 − 1 − 1 1 − 1 1 − 1 1 − 1 ) ( A B C D E F G H J K ) = 0 {\displaystyle {\begin{pmatrix}0&0&0&0&0&0&1&0&0&0\\1&1&0&1&0&0&1&0&0&0\\-1&1&0&-1&0&0&1&0&0&0\\0&0&0&0&0&0&1&1&1&1\\1&1&1&1&1&1&1&1&1&1\\-1&1&1&-1&-1&-1&1&1&1&1\\0&0&0&0&0&0&1&-1&1&-1\\1&1&-1&1&-1&1&1&-1&1&-1\\-1&1&-1&-1&1&-1&1&-1&1&-1\\\end{pmatrix}}{\begin{pmatrix}A\\B\\C\\D\\E\\F\\G\\H\\J\\K\\\end{pmatrix}}=\mathbf {0} } この係数行列のサイズは 9 × 10 である。もし、この行列の階数が 9 ならば、解空間の次元は 1 となって三次曲線が一意に定まる。しかし、実際はこの行列の階数は 8 であるため、解空間の次元は 2 であって、 (0, 0, 0, 0, 0, 0, 0, -1, 0, 1), (1, 0, 0, -1, 0, 0, 0, 0, 0, 0) で生成される。よって、求める三次曲線は、a, b を任意の実数として、a(x3 - x) + b(y3 - y) = 0 で与えられる。この表示には1次元分の自由度がある。その原因は、上記の係数行列の階数が 8 であることであった。連立方程式のうち1つの式は他の8つの式から導かれるのであって、9点目を通ることは新しい条件になっていなかったのである。言い換えると、上記9点のうち8点を通る三次曲線は、自動的に残る1点を通る。その意味で、上記9点は「独立」ではないと言える。一般に、2つの三次曲線の交点となる9点は独立ではない。9点のうち1点を置き換えて、 (4, 2), (0, 1), (0, -1), (1, 0), (1, 1), (1, -1), (-1, 0), (-1, 1), (-1, -1) を通る三次曲線ならば、(x3 - x) - 10(y3 - y) = 0 と一意に定まる。 結局 n (n + 3)/2 個の点が n 次の平面代数曲線を一意に決定する はほぼ正しいのであるが、正確にはそれらの点が「独立」である必要があったのである。
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