上半平面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/03 04:36 UTC 版)
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数学、とくにリーマン幾何学あるいは(局所)コンパクト群の調和解析において上半平面(じょうはんへいめん、英: upper half plane)は、虚部が正である複素数全体の成す集合をいう。上半平面は連結な開集合であり、それがリーマン球面に埋め込まれているとみなしたとき、その閉包を閉上半平面と呼ぶ。閉上半平面は上半平面に実軸と無限遠点を含めたものである。(開いた)上半平面を慣例的に H や H あるいは と記す(このとき、下半平面は H− や H− などと書かれ、対比的に上半平面を H+ などと記すこともある)。上半平面は、リー群の表現論やロバチェフスキーの双曲幾何学などの舞台として数論・表現論的、幾何学的に重要な役割を果たす。
または
双曲モデル
ポワンカレの上半平面モデルと呼ばれる双曲幾何のユークリッド空間内での実現がある。このモデルでは、計量が
で与えられていて、実軸に近づくほどに空間が歪んでいる。双曲幾何のモデルとしての上半平面における「直線」(測地線)は、両端がそれぞれ実軸に直交する円周(直線も半径無限大であると見なして円に含める)である。上半平面を単位円板
が存在して、上半平面モデルは単位円板モデルと呼ばれる計量
をもつ実現と互いにうつりあう。これは二つのモデルがリーマン面として解析的同型であることを意味している。これらの閉包もやはり解析同相となるので、閉上半平面はコンパクトリーマン面になる。
SL(2) の表現論
上半平面にリー群 GL(2, R) が
によって(計量を保って)作用する。H は同じ作用で SL(2) の作用を受ける。このとき、z = i の固定部分群は
となるので、解析同相
が成り立つ。さらに SL(2, Z) のような離散部分群(しばしば Γ で表される)の作用で H を割った空間(これも適当な仕方でリーマン面の構造を持つ)の上の微分形式は保型形式と呼ばれる数論的対象を定める。
関連項目
- 半空間
上半平面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/30 18:33 UTC 版)
「シュワルツの積分公式」の記事における「上半平面」の解説
ƒ = u + iv を閉上半平面 {z ∈ C | Im(z) ≥ 0} 上正則で、ある α > 0 に対して |zα ƒ(z)| が閉上半平面上有界となるような函数とする。このとき、Im(z) > 0 であるようなすべての z に対して f ( z ) = 1 π i ∫ − ∞ ∞ u ( ζ , 0 ) ζ − z d ζ = 1 π i ∫ − ∞ ∞ Re ( f ) ( ζ + 0 i ) ζ − z d ζ {\displaystyle f(z)={\frac {1}{\pi i}}\int _{-\infty }^{\infty }{\frac {u(\zeta ,0)}{\zeta -z}}\,d\zeta ={\frac {1}{\pi i}}\int _{-\infty }^{\infty }{\frac {\operatorname {Re} (f)(\zeta +0i)}{\zeta -z}}\,d\zeta } が成立する。 単位円板上の場合と比べて、この公式では任意の定数を加える必要がない。これは、この公式で追加された減衰条件がより厳しいものであることによる。
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