上半平面に対するハーディ空間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 15:23 UTC 版)
「ハーディ空間」の記事における「上半平面に対するハーディ空間」の解説
円板以外の領域の上でもハーディ空間を定義することは可能で、複素半平面(通常は右半平面あるいは上半平面)上のハーディ空間が多くの応用の場面で用いられている。 上半平面 H 上のハーディ空間 Hp(H) は、H 上の正則函数 f からなる空間で、次の有界(準)ノルムを備えるものとして定義される。 ‖ f ‖ H p = sup y > 0 ( ∫ | f ( x + i y ) | p d x ) 1 p . {\displaystyle \|f\|_{H^{p}}=\sup _{y>0}\left(\int |f(x+iy)|^{p}\,\mathrm {d} x\right)^{\frac {1}{p}}.} これに対応する H∞(H) は、次で与えられる有界ノルムを備える函数からなる空間として定義される。 ‖ f ‖ H ∞ = sup z ∈ H | f ( z ) | . {\displaystyle \|f\|_{H^{\infty }}=\sup _{z\in \mathbf {H} }|f(z)|.} 単位円板 D と上半平面 H は、メビウス変換の意味で一方から他方へ写すことが可能となるが、ハーディ空間に対する領域としてそれらは交換可能ではない。この違いの原因は、単位円は有限(1次元)ルベーグ測度を持つが、実数直線は持たないという事実にある。しかし、H2 に対しては、依然として次の定理が成り立つ。メビウス変換 m : D → H で次を満たすものが与えられたとする。 m ( z ) = i ⋅ 1 + z 1 − z . {\displaystyle m(z)=i\cdot {\frac {1+z}{1-z}}.} このとき、等長同型 M : H2(H) → H2(D) で、次を満たすものが存在する。 ( M f ) ( z ) = π 1 − z f ( m ( z ) ) . {\displaystyle (Mf)(z)={\frac {\sqrt {\pi }}{1-z}}f(m(z)).}
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