球函数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/26 00:41 UTC 版)
「球函数に対するプランシュレルの定理」の記事における「球函数」の解説
詳細は「帯球函数」を参照 G を半単純リー群、K を G の極大コンパクト部分群とする。G 上のコンパクト台付き両側 K-不変函数からなるヘッケ環 Cc(K\G/K) はヒルベルト空間 H=L2(G / K) に畳み込みで作用する。G ⁄ K は対称空間ゆえ、この ∗-代数は可換である。その像の、作用素ノルムに関する閉包は、単位的でない可換 C∗-環 A {\displaystyle {\mathfrak {A}}} であり、ゲルファント同型によってそのスペクトル X 上の連続函数で無限遠で消えているものの全体と同一することができる。このスペクトルの点は、 A {\displaystyle {\mathfrak {A}}} から C への連続 ∗-準同型、即ち A {\displaystyle {\mathfrak {A}}} の指標で与えられる。 S′ で H 上の作用素の集合 S の交換団を表すならば、 A ′ {\displaystyle {\mathfrak {A}}'} は H 上の G の正則表現の交換団と同一視することができる。そうして、 A {\displaystyle {\mathfrak {A}}} は H における K-不変ベクトル全体の成す部分空間 H0 を変えない。さらに言えば、それが H0 上で生成する可換フォンノイマン環は極大可換部分環である。スペクトル論により、局所コンパクト空間 X 上の測度 μ と、H0 と L2(X, μ) の間のユニタリ変換 U で A {\displaystyle {\mathfrak {A}}} に属する作用素の全体を対応する乗算作用素の全体の上へ写すものとが、本質的にただ一つ存在する。 この変換 U を球フーリエ変換あるいは単に球変換と呼び、μ をプランシュレル測度と呼ぶ。ヒルベルト空間 H0 は G 上の両側 K-不変自乗可積分函数全体の成す空間 L2(K\G/K) と同一視することができる。 A {\displaystyle {\mathfrak {A}}} の指標 χλ(即ち X の点)は、Cc(K\G/K) に属する f に対する等式 χ λ ( π ( f ) ) = ∫ G f ( g ) ⋅ φ λ ( g ) d g {\displaystyle \chi _{\lambda }(\pi (f))=\int _{G}f(g)\cdot \varphi _{\lambda }(g)\,dg} を通じて G 上の正定値球函数 φλ によって記述することができる。ただし、π(f) は A {\displaystyle {\mathfrak {A}}} における畳み込み作用素であり、積分は G のハール測度に関するものである。 G 上の球函数 φλ はハリッシュ=チャンドラの公式 φ λ ( g ) = ∫ K λ ′ ( g k ) − 1 d k {\displaystyle \varphi _{\lambda }(g)=\int _{K}\lambda '(gk)^{-1}\,dk} で与えられる。この式に関して: 積分は K 上のハール測度に関するものである。 λ は A* = Hom(A,T) の元である。ただし A は G の 岩澤分解 G = KAN における可換ベクトル部分群 A とする。 λ′ は以下のようにして G 上で定義される。まず λ を、A の上への群準同型を用いて可解部分群 AN の指標へ延長し、 λ ′ ( k x ) = Δ A N ( x ) 1 / 2 λ ( x ) ( k ∈ K , x ∈ A N ) {\displaystyle \lambda '(kx)=\Delta _{AN}(x)^{1/2}\lambda (x)\quad (k\in K,\,x\in AN)} と定める。ただし、ΔAN は AN のモジュラスとする。 相異なる二つの指標 λ1, λ2 が同じ球函数を定める必要十分条件は、λ1 = λ2·s となることである。ただし s は A のワイル群 W = NK(A)/CK(A) の元とする。この剰余群は A の K における正規化群を同じく A の K における中心化群で割ったもので、有限鏡映群を成す。 ここから、 「X は商空間 A∗/W' と同一視することができる」 ことがわかる。
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