一般車両と覆面パトカーの相違点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 02:19 UTC 版)
「パトロールカー」の記事における「一般車両と覆面パトカーの相違点」の解説
かつての覆面パトカーは、8ナンバーであった。乗用車はモノコックボディということで、反転式赤色灯の装備が「構造変更を伴う車体改造」となり、それを取り付けた事によって「車体の形状」が「警察車四輪」に変わるためである(陸運局に提出する構造変更概要の書類において、「車体の形状」は書き換える事ができるので8ナンバーとなっていた)。 現在、制服パトカーでは型式認定を受けているクラウンも含めて全てが「持ち込み登録」となり、記載事項の変更をする。高さや重量が変わるためで、「車体の形状」も「箱型」などから「警察車四輪」に変わるため8ナンバーとなる。赤色灯等の取り付けのためにボディに穴を開けたり、エンジンやミッションなどを載せ変えたりしている場合もあるため、こういった場合は構造変更の検査・登録も同時に行う。サンルーフ仕様車を架装ベース車とすることにより構造変更要件をパスしている車両もあるとされる(元々ガラスなど重いものが付く上、同時に補強もされているので架装時の補強が不要とされることから)。 覆面パトカーは車両の入れ替えなどにより大部分が3ナンバーまたは5ナンバーになっている。しかし、注意して観察すると下記の特徴、相違点を見出す事ができる(基本的に交通取締用四輪車・警護車に限った特徴。捜査用についてはこの限りでない)。 車種 トヨタ・クラウン、日産・スカイラインなど排気量2,500 cc以上の中大型セダンが多い。 車体エンブレム 例えばクラウンでは通常「CROWN」という車種のエンブレムの横に「ROYAL SALOON」などグレードを示すエンブレムがあるが、パトカーの場合は「CROWN」という車種のエンブレムのみである。ただし、所属場所で新たにグレードバッジなどを付けているものもある。 アンテナの装備 警察無線用にNTTドコモから供給(製造は電気興業株式会社)された、外観が自動車電話用と同一のアンテナ(TL型アンテナ、TLアンテナなどと呼ばれる事がある)をトランクリッドに立てている。これは警察無線用であり、周波数帯が違うために内部の構造および電気的特性は自動車電話用とはまったく異なっているが、自動車電話用に擬装するためDoCoMoマークが入ったアンテナを使用している(データ通信用等の目的で携帯電話を装備し、正規の自動車電話用アンテナを立てている車両も存在する)。警護車では広域無線など複数の系統を使用するためアンテナが2本以上立っている場合もある。最近は、自動車電話の減少により、自動車電話のアンテナ自体が目立つようになってきて、擬装の意味がなくなってきたことから、自動車TV型(ダブルダイバシティ)(TA擬装(型)アンテナまたは、単にTA(型)アンテナなどと呼ばれることがある)が多くなっている。 近年では、フィルムアンテナ(フロントおよび、リアのウインドウに貼り付けるアンテナ)などの普及により、自動車TV型アンテナの装着車が減少して、TA擬装アンテナも目立つようになり、擬装の役割を果たせなくなってきた。それにより、今までには装着のなかったような種々の擬装アンテナ(フィルムアンテナやユーロアンテナなど)が装着されはじめている。 フロントグリル クラウン、セドリックなどの場合、フロントグリル内に点滅式の赤色警光灯(「前方集中式警光灯」)を装備する。4ドアのスカイラインの場合、前面ナンバーの両サイドにフォグランプを模した赤色灯や、格子状のレンズカバーが付いている。また、捜査車両などはオートカバー付のフォグランプを模した赤色警光灯を装備している場合が多い。一部の捜査車両などでは助手席のサンバイザー部分にフラットビーム(サンバイザーに付ける、赤色LEDを多数並べた全面発光式点滅灯)を装備していることもある。 リアビューミラー アウターリアビューミラーは一部の例外を除き、従来フェンダーミラーが大半であったが、現在ではドアミラーを装着した車種が多い。相勤用のために、助手席側のサッシ(Aピラー側)に市販車にはないアウターリアビューミラー(ナビゲーターズミラー)が付いているが、目立つため最近は装備していない覆面パトカーも多い。覆面以外でこれがついているのは教習車やごく一部のハイヤーなどだけである。インナーリアビューミラーも、助手席2段(クラウンなど)や横2列(セドリックなど)のもの、最近は市販されている吸盤貼付け式のサブミラーが付いたものもある。 ホイール 現在新たに導入されている車両では、ほとんどが純正のアルミホイールか、スチールホイールにホイールキャップが装着されている。また、地域上必要な場合(降雪地におけるスタッドレスタイヤ装着等)は、市場から調達した社外品のアルミホイールや旧型車のホイールなどを装着することもある。 乗車人数 基本的には2名乗車である(運転手は若手警察官、助手席には先輩あるいは上司のベテラン警察官が車長として座る。車長は通常は運転手を監督するだけだが、不審車追跡など緊急時には無線連絡と安全確保のための拡声器広報で、マイク二つを抱えることになり、事故を起こさないよう、かつ相手に振り切られないよう操る運転手同様、非常に忙しい)。覆面乗務中はヘルメットを装着しないで乗務することを認めている警察本部も多いが、近年では交通警察官の職務中の受傷事故や殉職が増加傾向にあるため、覆面車乗務中でもヘルメット着用を定めている警察本部も増えてきた。ブルー系の制服(冬季は黒)を着た交通機動隊ないし高速隊員が乗車していることが多い。なおパトカーの後部座席は通常、大規模事件・事故や警備等の際の応援警察官を乗せたり、任意同行者や検挙・逮捕者を乗せる空間(両側を警察官で囲み護送途中で逃げられないようにする)となっており、外部の一般人を乗せるための空間ではない。
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