リアル武者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/20 07:48 UTC 版)
逆輸入というべき経緯であるが、SDに続いて八頭身の所謂リアル体型の武者ガンダムも商品化された。これらは多く元祖リアル体型の『プラモ狂四郎』版のデザインを踏襲せず、一部はSD戦国伝「武者七人衆編」の意匠に似せて再デザインされた。 プラモデルとしては1990年に発売された「モビルスーツ戦国伝」シリーズとして『武者頑駄無(ムシャガンダム)』『武者頑駄無摩亜屈(ムシャガンダムマークツー)』『武者仁宇頑駄無(ムシャニューガンダム)』の計3種がある。プラモ狂四郎版「武者ガンダム」、「武者ガンダムMK-II」がそれぞれ「特定のモビルスーツに鎧武者風の格好をさせたもの」ではなかったのに対し、モビルスーツ戦国伝版「武者頑駄無」は大河原邦男によりノーマルガンダムをベースとしてSD戦国伝における「武者頑駄無」の甲冑に独自の意匠を加えて再デザインされ、漫画『超戦士ガンダム野郎』で再度リファインを加えてSD化され「天地大河スペシャル」として登場し、後にSD戦国伝でも「農丸頑駄無」として採用される。またモビルスーツ戦国伝版「武者頑駄無摩亜屈」はプラモ狂四郎版のΖガンダムベースともSD戦国伝版のゼータ顔とも異なる、ガンダムMk-II準拠の意匠となっている。「武者仁宇頑駄無」はプラモ狂四郎に登場しないSD戦国伝由来の武者であるが、モビルスーツ戦国伝版ではこのデザインにアレンジを加え、脚部に西洋的な曲面のラインを与えている。 モビルスーツ戦国伝の設定では武者ガンダムはSDシリーズや漫画と異なり巨大兵器として扱われる。付属する説明書にはアムロ・レイならぬ「阿夢呂丸」が武者頑駄無に乗り込むなど『機動戦士ガンダム』本編の物語を戦国時代風にアレンジしたストーリー解説が収められていた。プラモデルとしては関節部のポリキャップをパーツ単位ではなく組立て済みの内部フレーム状に構成した「MSジョイント」機構や金メッキパーツを採用した、当時としては画期的な構造のガンプラだったが、それが災いしてか現在まで再発売されていない。 リアル体型のトイシリーズとしてはSD「ガンダムクロス」シリーズのスピンオフである「リアルタイプ武者頑駄無鎧(ムシャガンダムクロス)」シリーズ(『武者頑駄無摩亜屈(ムシャガンダムマークツー)』『武者精太頑駄無(ムシャゼータガンダム)』『武者駄舞留精太頑駄無(ムシャダブルゼータガンダム)』の計3種)が発売されている。これはバンダイが「聖闘士聖衣大系」で得たノウハウを応用したシリーズで、ノーマルのモビルスーツの素体の上に鎧兜を取り付けることで武者姿に変化するというものであった。 リアルタイプ武者頑駄無鎧の素体は元来アニメ『機動戦士Ζガンダム』『機動戦士ガンダムΖΖ』初放映時に発売されていた1/100スケールの玩具「デラックス」シリーズの『デラックス・ガンダム・マークII』『デラックスΖガンダム』『デラックス・ガンダムΖΖ』を流用し鎧の取り付け穴を空けたものであり、ラインナップが『Ζ』『ΖΖ』に偏っているのもそのためである。こうした経緯のためリアルタイプ武者頑駄無鎧では「武者精太頑駄無」「武者駄舞留精太頑駄無」ともにSD戦国伝の設定にある武者姿での変形は再現されておらず、代わりにモビルスーツ姿でのアニメ設定に沿った変形機構が残っている。 1989年に読み切り版『SD武者ガンダム風雲録』でやまと虹一が「暗黒武者」としてリアル体型の武者ドムを描いているが、これはやまとの独断による当時としては早すぎたアイデアで、世界観に合わないとして安井尚志から注意を受け、SD戦国伝の設定からは除外されている)。これ以降リアル体型の武者ガンダムはオリジナルシリーズとしてはしばらく現れていないが、SD頭身とは異なる武者として「SD戦国伝 天下統一編」の「龍将飛将」が登場、以降「新SD戦国伝 伝説の大将軍編」の「紫電鬼」、「新SD戦国伝 七人の超将軍編」での「機動武者大鋼」「覇道武者魔殺駆」等、武者達の最終形態あるいは超越的な存在としてしばしばリアル体型の武者が登場することとなった。 一方、SDシリーズ以外の世界観に限るなら、リアル体型の武者ガンダムはカトキハジメによるイラストレーション・シリーズ『GUNDAM FIX』において1998年に「モビルスーツ戦国伝」版の武者ガンダムが描かれたり、一部のガレージキットを除き15年以上の間、マスプロダクトに登場することはなかった。後2007年に発売されたPLAYSTATION 3用ゲーム『ガンダム無双』において、チーフプロデューサー堀内美康(バンダイナムコゲームス)の提案をもとに、オリジナルモードのボスキャラクターとしてリアル体型の「武者ガンダム」が登場、後に設定資料集『ガンダム無双アートワークス』やトレーディングカードゲーム『ガンダムウォー』で「真(しん)武者ガンダム」という名が正式に与えられた。2008年に発売されたPlayStation 2用ゲーム『ガンダム無双 Special』、及び2008年末に発売された続編『ガンダム無双2』においては、再度カトキハジメがデザインしティターンズカラーとなった「武者ガンダムMk-II」が「武者ガンダム」のパートナーとして登場する。 カトキハジメによる真武者ガンダムのデザインはノーマルガンダム(ガンダムVer.Ka)をモチーフにした赤・黒・白のカラーリングの武者姿という、「SD戦国伝」「モビルスーツ戦国伝」「武者烈伝」などのノーマルガンダムベースの武者ガンダムの基本デザインを踏襲しているが、肩当ての造形や甲冑の各部を走るパイプ状の意匠など、よりメカニックな解釈が多く織り込まれている点が特徴である。設定上はモビルスーツと同等のサイズを持つ謎の機動兵器とされており、自らの意思を持ち、パイロットを持たず自律機動するというSD版武者ガンダムに似た設定が与えられている。武士を彷彿とさせる古風な口調を用い、終盤のステージにボスとして登場。他作品のライバルにあたるパイロット達も武者ガンダムの力を利用するために立ちはだかる。『ガンダム無双2』ではパイロットが搭乗するようになった。「武者ガンダム」の主なパイロットはギム・ギンガナム、ヤザン・ゲーブル、「武者ガンダムMk-II」のパイロットはカテジナ・ルース、プルツー。 同年2007年9月に『ガンダム無双』を原典としているが、名前は漢字で「真武者頑駄無」として発売された「GUNDAM FIX FIGURATION」版では、コンパチブルモデルとしてガンダムVer.Kaをベースに各所のディテールアップが行なわれている「モビルスーツ戦国伝」版武者頑駄無のリファイン版が公開されている。また、これよりやや早くバンプレストからプライズ商品「ガンダムシリーズ 騎馬武者伝 リアルタイプフィギュア」シリーズとして「武者頑駄無」「武者精太」がリリースされている。これはそれぞれ「モビルスーツ戦国伝」版武者頑駄無、「リアルタイプ武者頑駄無鎧」版武者精太頑駄無のデザインが原形となっており、新規デザインのアソート品「騎馬武者」と組み合わせて乗馬状態および合体したケンタウロス形態が再現できるのが特徴である。
※この「リアル武者」の解説は、「武者ガンダム」の解説の一部です。
「リアル武者」を含む「武者ガンダム」の記事については、「武者ガンダム」の概要を参照ください。
- リアル武者のページへのリンク