ホッケーリンクとは? わかりやすく解説

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ホッケーリンク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/02 01:35 UTC 版)

ホッケーリンク(hockey rink)とは、アイスホッケーの試合を行うために特別に設計されたスケートリンクのことである。形状は四隅が丸くなった長方形をしており、周囲にはおよそ40インチの高さのボードとよばれる囲いが施されている。

単にリンクと呼ばれることもあるが、リンク(rink)は本来、スピードスケート及びフィギュアスケート場、ローラースケート場、カーリング場などを幅広くさす言葉である。

ゲームで用いられるパックがリンク表面から飛び出して観客に怪我をさせるのを防止するために、ボードの上部に透明な硬質ガラスやアクリル樹脂の板が取り付けられているリンクも多い。さらに、その板の上部に防護用のネットが取り付けられていることが一般的である。板に当たって跳ね返ったパックが再びリンク上にある場合にはプレーは継続されるが、ネットに当たったパックがリンクに戻ってきた場合には、プレーは中断されフェイスオフが行われる。

ホッケーリンク

ベンチ

ホッケーリンクのボードの外には、次のとおり5つから7つのベンチが設置されるのが一般的である。

  • プレーヤーズ・ベンチ(2つ) 試合中に各チームの選手及びコーチが座るためのベンチ
  • ペナルティボックスのベンチ(2つ) ペナルティを受けた選手が座るためのベンチ
  • スコアキーパー用のベンチ 公式記録員(off-ice officials)が座るためのベンチ
  • ゴールジャッジ用のベンチ(2つ) 各チームのゴール背後にありゴール判定員(Goal judge|goal judge)が座るためのベンチ

なお、2つのプレーヤーズ・ベンチが、リンクサイドの同じ側にある場合と、異なる側(すなわち敵味方の選手がリンクを挟んで向かい合わせになる)にある場合がある。今日のNHLにおいては、前者が推奨されているが、その理由は、後者ではペナルティボックスからベンチまでの距離が異なることとなり、ボックスから遠いチームに不利に働く場合が多いためとされている。

マーキング

リンク上に描かれるラインには2種類の太さがある。太いものは12インチ(30cm)であり、細いものは2インチ(5cm)である。

ライン

「レッドライン」は、リンクの中央部にあり、リンクを2つの領域に区分している。このレッドラインはアイシング及びオフサイドの判定を行う場合に用いられる。このラインは、太いほう(12インチ)の線で描かれている。なお、アイスホッケーのルールの違いを論ずる場合において、ときに「レッドラインなしのルールで(no red line)」といった表現が用いられるが、これは「オフサイドなしのルール」で試合を行うことを意味しており、アイシングかどうかの判定においてはレッドラインは依然として有効である。

2つの「ブルーライン」は、大雑把に言ってリンクを3つの領域に区分する線である。これも、太い(12インチ)線で描かれている。

リンクの両端近くには、細い(2インチ)線で「ゴールライン」が描かれている。この線は、ゴール及びアイシングの判定において用いられる。

フェイスオフ・スポット及びサークル

リンク上には、9つの「フェイスオフ・スポット」がある。両サイドのエンドゾーンにそれぞれ2つずつ(合計4つ)、ニュートラルゾーンに4つ、さらにリンクの中央に1つのスポットがある。フェイスオフの大半はこれらのスポットで行われる。

フェイスオフ・スポットのうち、リンク中央部のものと両エンドゾーンにある4つには「フェイスオフ・サークル」があり、スポットの外周に円が描かれている。また、両エンドゾーンのスポット近くには「ハッシュ・マーク」(hash mark、破線)が描かれている。これら「フェイスオフ・サークル」と「ハッシュ・マーク」は、フェイスオフが行われる場合における各選手の正しいポジションを示すために置かれたものである。

リンク中央部のフェイスオフ・スポットは、通常、青色で描かれる。また、中央部のサークルは赤色ないし青色で描かれる。その他のスポット及びサークルは赤色の線が用いられる。

ゴールポスト及びネット

リンク氷上の両端のゴールライン中央には、金属製の枠と繊維製の網で作られた「ゴール」がある。アイスホッケーの試合においてはこの「ゴール」にパックを入れることにより、得点が競われる。ゴール開口部の大きさは幅6フィート(1.83m)、高さ4フィート(1.22m)である。ゴールを構成する金属製の枠のうち、ゴールラインから垂直に伸張している部分のパイプを「ゴールポスト」、そのゴールポストに繋がってリンク表面と並行な部分を「クロスバー」と呼ぶ。

ゴールの枠は、ゴールラインの後方にも44インチ(1.12m)伸張し、その角は半径20インチ(50.8cm)の丸みが付けられている。このゴールフレームの丸みを帯びた部分がないと、アイスホッケーがゴールの背面でもプレーを行うことが可能であるという特色を有することから、ネットの背後にいる選手がゴールフレームに沿ってパックを前方に正確にパスできるようになってしまう。この丸みによって、パックはあらぬ方向に跳ね返ることとなり、両チームにとって偶然性がもたらされる。

ゴールフレームの背面は網によって覆われており、ゴールの空間内にパックが止まる役割を果たしている。ゴールポストとクロスバーは赤色に塗られている。ゴールフレームのその他の部分は白色に塗られている。また、ゴールフレームの内側は、ゴールに入ったパックが跳ね返って外に飛び出さないように衝撃を吸収するパッドが施されている。

ゴールフレームは、柔軟性のある杭でリンクの氷上に固定されているが、これは勢い余った選手がゴールに衝突する事態に備えて自由に動くことを確保するためである。なお、柔軟性のある杭を用いる場合には整氷車で修復することができないほど直径の大きな穴をあける必要があるために、その他の競技にも併用する多目的リンクにおいては、ゴールの固定のため氷の中に4分の1インチ(1cm)程度食い込む金属製のピンが用いられることもある。

ゴール・クリーズ

ゴールの前面には「ゴール・クリーズ」と呼ばれる細い赤色の線で囲まれ、その中が薄い青色で塗りつぶされた領域がある。この領域は、ゴールキーパーが自らの責務を他者の妨害を受けずに行いうるよう、特別に定められた場所である。

多くのアイスホッケーリーグは、このゴール・クリーズ内の領域にパックがある場合において、そのパックの位置よりも前方に攻撃側の選手のスティック、スケート靴又は身体の一部があってはならない旨のルールがある。このルールを適用する場合には、ゴール・クリーズは薄い青色で塗られた領域からクロスバーに達するまでの垂直的な空間に及ぶ。もっとも、このルールはNHLを始めとする北米地域のプロリーグにおいては採用されていない。

アマチュアリーグ及び国際ホッケーにおいては、ゴール・クリーズの形状は、半径6フィート(1.8m)の半円形をしている。これに対し、NHLその他の北米のプロリーグにおいては、2本のゴールポストの外側1フィート(30.5cm)の位置でゴールラインからリンク中央部に向かって描かれた直線によって半円が切りとられ、例えるならば食パンの断面のような形状をしている。

レフェリー・クリーズ

「レフェリー・クリーズ」とは、スコアキーパーベンチの正面にある半円形をした領域であって、プレーが止まっている場合に選手が入ることが許されない場所である。プレーが進行している最中には、なんらプレーに影響を与えないものである。

ゾーン

ブルーラインはリンクを3つの領域に区分する。

真ん中の領域は「ニュートラルゾーン」ないしは単に「センターアイス」と呼ばれる。これに対し、外側2つの領域はまとめて「エンドゾーン」と呼ばれるが、より一般的には各チームに関連付けた用語が用いられることが多い。すなわち、あるチームが攻め込んで得点を上げようと目論んでいる方の領域を「アタッキングゾーン」ないし「オフェンシブゾーン」といい、そのチームが守るべき自身のゴールがある方の領域を「ディフェンディングゾーン」ないし「ディフェンシブゾーン」という。

(12インチの幅がある)ブルーラインそのものがどの領域に含まれるかについては、パックがある場所に応じて決定されることとなっている。例えば、パックがニュートラルゾーンにある場合には、ブルーラインはニュートラルゾーンの一部を構成することとなり、このときブルーラインがエンドゾーンの一部となるためには、パックが完全にブルーラインを越える必要がある。

また、仮にパックがエンドゾーンにある場合には、ブルーラインもエンドゾーンの一部であるとみなされ、この状態からブルーラインがニュートラルゾーンの一部に変化するためには、パックがブルーラインを完全に越える必要がある。

リンクの寸法

リンクサイズ
北米規格 国際規格
フィート メートル フィート メートル
長さ 200 ft 60.960 m 約200.131 ft 061 m
085 ft 25.908 m 098.425 ft 030 m

ホッケーリンクの寸法については、2つの規格がある。1つは、主として北米において使用されるもので、他の1つは主としてその他の地域で用いられるものである。なお、1ftは0.3048mである。

北米規格

北米におけるホッケーリンクは、一般的にはNHLの仕様に基づいて設計されており、概ね長さ200フィート(約61m)、幅85フィート(約26m)、四隅の丸くなった部分の半径は28フィート(約8.5m)である。また、エンドボードから近い側のゴールラインまでは11フィート(約3.4m)、ゴールラインから近い側のブルーラインまでは、それぞれ61フィート(約19.3m)、2つのブルーラインの間の距離は50フィート(約15m)となっている。

国際規格

北米以外の地域におけるホッケーリンクは、一般的にIIHFの仕様に基づいて設計されており、概ね長さ61m(約200フィート)、幅30m(約98フィート)、四隅の部分の半径は8.5m(28フィート)である。また、エンドボードから近い側のゴールラインまでは4m(約13フィート)、ゴールラインから近い側のブルーラインまでは、それぞれ17m(約58フィート)、2つのブルーラインの間の距離もまた17m(約58フィート)である。

関連項目

外部リンク


ホッケーリンク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 22:32 UTC 版)

スケートリンク」の記事における「ホッケーリンク」の解説

全ての座標示した地図 - OSM座標出力 - KML 表示 ホッケーリンクは、アイスホッケーのほか、ショートトラックスピードスケートフィギュアスケート使用される規格であり、カーリング対応している場合もある。多数あるので、通年営業しているリンクのみ以下に列挙するここで言う通年営業は、週1回程度定休日1年中営業日設けているという意味である。以下の中には一般利用貸切使用合わせて1年中24時間営業をしている施設もある。 サイズ:メインリンクのサイズ。縦(m)×横(m)通年化:通年営業になった年。ただし、不明場合開設年。通年化した後、運営者変更になったり、営業中断期間があったり、旧施設解体新設したりしている場合あり。 学校法人梅村学園中京大学および学校法人関西大学関西大学のリンクは、大学関係者および競技者専用施設であるが、一般開放日が設定される場合あり。学校法人加計学園倉敷芸術科学大学教育施設であるヘルスピア倉敷のリンクは一般開放されている。 鍵括弧内は正式名称並列される愛称括弧内は広く知られ通称命名権売却によって正式名称より優先される愛称設定されている場合は、愛称の方を記載日本国内通年営業スケートリンク2017年2月時点地方都道府県都市施設位置サイズ通年北海道 北海道 札幌市 札幌市月寒体育館 地図 60 × 30 1971年 江守記念星置スケート場 地図 60 × 30 1985年 釧路市 大進スケートセンター 地図 56 × 26 1984年 泊村 泊村アイスセンター「とまリンク」 地図 60 × 30 1998年 東北 岩手県 盛岡市 みちのくコカ・コーラボトリングリンク 地図 60 × 30 2015年 宮城県 仙台市 アイスリンク仙台 地図 56 × 26 1988年 関東 埼玉県 上尾市 埼玉アイスアリーナ 地図 60 × 30 2014年 千葉県 千葉市 アクアリンクちば 地図 60 × 30 2005年 船橋市 三井不動産アイスパーク船橋 60 × 30 2020年 東京都 新宿区 シチズンプラザ アイススケートリンク 地図 60 × 30 1975年 明治神宮外苑アイススケート場 地図 60 × 30 1963年 東大和市 東大和スケートセンター 地図 60 × 30 1993年 西東京市 ダイドードリンコアイスアリーナ 地図 60 × 30 1984年 神奈川県 横浜市 新横浜スケートセンター 地図 60 × 30 1990年 横浜銀行アイスアリーナ 地図 60 × 30 2015年 中部 新潟県 新潟市 新潟アサヒアレックスアイスアリーナ 地図 60 × 30 2014年 長野県 軽井沢町 軽井沢風越公園アイスアリーナ 地図 60 × 30 2009年 愛知県 名古屋市 名古屋スポーツセンター大須スケートリンク地図 56 × 26 1953年 邦和スポーツランド みなとアイスリンク 地図 60 × 30 1981年 豊田市 中京大学アイスアリーナ「オーロラリンク」 地図 60 × 30 2007年 長久手市 愛・地球博記念公園アイススケート場 地図 60 × 30 2006年 近畿 京都府 宇治市 木下アカデミー京都アイスアリーナ(京都宇治アイスアリーナ) 60 × 30 2019年 大阪府 大阪市 浪速スポーツセンター アイススケート場 地図 60 × 30 2005年 高槻市 関西大学 たかつき アイスアリーナ 地図 60 × 30 2006年 守口市 守口スポーツプラザVIVAスケート 地図 56 × 26 2006年 高石市 大阪府立臨海スポーツセンター アイススケート場 地図 59 × 27 1991年 泉佐野市 関空アイスアリーナ 60 × 30 2019年 兵庫県 西宮市 ひょうご西宮アイスアリーナ 地図 60 × 30 2013年 中国 岡山県 岡山市 岡山国際スケートリンク 地図 60 × 30 1995年 倉敷市 ヘルスピア倉敷アイスアリーナ 地図 60 × 30 2014年 四国 - - - - - - 九州 福岡県 福岡市 パピオアイスアリーナ 地図 60 × 30 1991年 久留米市 スポガ久留米 アイススケートリンク 地図 56 × 28 1967年 飯塚市 飯塚アイスパレス 地図 60 × 30 1985年 沖縄県 南風原町 スポーツワールドサザンヒル アイスアリーナ 地図 58 × 28 1997年

※この「ホッケーリンク」の解説は、「スケートリンク」の解説の一部です。
「ホッケーリンク」を含む「スケートリンク」の記事については、「スケートリンク」の概要を参照ください。

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