プロホロフと元谷外志雄の対談
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/30 09:57 UTC 版)
「張作霖爆殺事件ソ連特務機関犯行説」の記事における「プロホロフと元谷外志雄の対談」の解説
ドミトリー・プロホロフは前述のように元谷と対談した際「1928年の張作霖の爆殺事件はソ連の特務機関の犯行だ」という、対談をしている。 それによれば、張作霖は白軍を支援しており、東清鉄道をめぐりソ連とは決定的に対立していたのが事件の動機であり、サルヌインだけではなく、他のソ連の工作員のエージェントも関東軍に入り込んでいたのは事実であり、日本軍に属していたエージェントが、サルヌインの指令を受けて、爆弾を仕掛けたと語った。また一度のみならず1926年9月には、サルヌインがブラコロフという実行者を使って、奉天の張作霖の宮殿で彼を爆殺する計画をたて、中国当局に発見されて失敗した未遂事件も語った。 この対談ではアパグループの元谷外志雄が、張作霖爆殺事件に関し、日本側における肯定論の根拠についてについてプロホロフと様々な意見交換を行っている。まず中西の主張したブルガリア人のイワン・ヴィナロフが同じ列車に乗っていたと説について、元谷は「(イワン・ヴィナロフの)『秘密戦の戦士』という自伝をブルガリアで出版しているのですが、その中には張作霖の隣の車両に乗っていて、事件直後に撮影したという写真が掲載されています。1920年に上海でゾルゲに会ったとも書いています。」と語ったところ、プロホロフは「それは初耳です。ヴィナロフの調査もかなり行ったのですが、彼が張作霖の事件に関与しているという資料はありませんでした。ヴィナロフはもともとブルガリア人で、事件当時中国にいたのは、確かなのですが」や「本のことも、ゾルゲのことも、初めて聞きます。ヴィナロフはサルヌインの一番大切な部下でしたから、爆殺しようとする人間の隣の車両に乗せるかどうか」とした。 元谷の「爆弾がどこに仕掛けられていたと思うか」との質問にプロホロフは「サルヌインの部下の安全を考えると爆弾は車内にあったと考えるべき」とした。元谷は「わずか300キロの黄色火薬ではそこまでの爆発は期待できません。橋脚に仕掛けたとすると、確実性が非常に低い手段をとったことになります。また線路の下で爆発したのであれば、車両は脱線しているはず。これらを考えると、私も車内に爆弾があったというのが、一番理に適っていると思います」と主張し、プロホロフもそれに同意した。 また同様に中西が主張していた英国情報機関がソ連特務機関の犯行と断定したという説について、元谷が「事件の直後ですが、イギリスの陸軍情報部極東課が本国に、「ソ連の工作だ」という報告をしたともいわれています。日本政府が「関東軍の仕業」と発表したので、改めて再調査をしたそうですが、それでも結論は「ソ連の工作」で変わらなかったというのですが」と尋ねたところ、プロホロフは「英語の資料は手に入らないので、その話の詳細は知りません」と語った。 プロホロフは「東京裁判でも、日本人の実行者や命令者の証言があり、関東軍犯行説が定説化していった」と語り、「しかし東京裁判でも、ニュールンベルグ裁判でも、ソ連は自国の国益のために、日本人を含む多くの証人に偽証をさせているのです。これらの裁判の証言を信用してはいけません。」と語り、それを受けて元谷は「東京裁判において張作霖爆殺は、河本大佐の指示によって行われたとされました。しかし裁判当時中国の太原収容所に収監されていた河本本人を、中国は出廷させていません。彼が本当に指示を出しているのなら、裁判で証言させた方が中国側に有利なはずです。この対応からも、私は謀略戦の匂いを感じます」と主張した。 プロホロフは一連の主張について「(ロシアでは)私が新聞や本で主張したこの説に対して、「間違っている」と反論をした人は一人もいないのです。」し、(GRUから)脅かされるなど、危険を感じたことはないという。 なお、元谷はプロホロフに対し「日本向けに日本に関する事件だけをまとめた本を書いてもらえないでしょうか?出版権を買って、翻訳して日本で本として出したいと思うのです。また、その本の中に、張作霖爆殺がソ連特務機関の犯行であることを示す具体的な証拠が入っていると、なお良いのですが」と、張作霖爆殺事件ソ連特務機関犯行説の日本語版出版を要請し、それを受けてプロホロフはさらにいろいろ調べてみたいと語った。また、元谷が「日本からの取材が一件というのを聞いて、がっかりしました。プロホロフさんは、この無関心さをどう思いますか?」の指摘に対し「日本でもロシアでも同じですが、どの国も認められた歴史を修正することに興味が薄いですね。国の安定を損なう感覚があるからでしょう。私も東京裁判の結果を見直すことに、何か意味があるとは思えません」と述べたり、元谷の「日本は東京裁判史観に苦しんでいるのです。「日本が侵略戦争を始めた」という嘘の歴史を 基に、中国や韓国、アメリカが日本をいまだに貶めているのです。」の発言に対し、彼は「第二次世界大戦を日本が始めたということではないでしょう?あの大戦は、ヨーロッパで始まったものです。」とも述べている。
※この「プロホロフと元谷外志雄の対談」の解説は、「張作霖爆殺事件ソ連特務機関犯行説」の解説の一部です。
「プロホロフと元谷外志雄の対談」を含む「張作霖爆殺事件ソ連特務機関犯行説」の記事については、「張作霖爆殺事件ソ連特務機関犯行説」の概要を参照ください。
- プロホロフと元谷外志雄の対談のページへのリンク