プロペルティウスの詩とは? わかりやすく解説

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プロペルティウスの詩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/17 00:44 UTC 版)

セクストゥス・プロペルティウス」の記事における「プロペルティウスの詩」の解説

プロペルティウス名声基盤となっているのは、4巻の『エレギア詩集である。プロペルティウスエレギア詩はすべて、紀元前1世紀ローマ社交界流行していた「エレゲイオン」という詩形エレジー#古典詩のエレジー参照)で書かれている。ほとんどのエレギア詩人同様、プロペルティウスの詩は一人女性のことで占められている。その女性は「キュンティア(Cynthia)」という名前で、その名前は最初の詩『Monobiblos』の冒頭から登場するCynthia prima suis miserum me cepit ocellis, contactum nullis ante cupidinibus. -- 第1巻1の冒頭大意「キュンティアはまずその小さな瞳で惨めな私をにした。私はそれまでクピド触れられたことが一度もなかった」。 キュンティアの名前は第1巻の詩の半分出てくる。それ以外の詩にも間接的に登場するアプレイウスはキュンティアの本名が「ホスティア(Hostia)」であるとした。プロペルティウスも彼女が紀元前2世紀ローマ叙事詩人ホスティウス(en:Hostius)の子孫だとほのめかしている(第3巻20)。プロペルティウスはしばしばキュンティアを「教養ある淑女」で(第1巻7、第2巻131第2巻13)、スルピキア(en:Sulpicia)のように自分でも詩を書いた賛辞しているが、研究者たちは、キュンティアはおそらく高級娼婦en:Courtesan)ではなかったかと推測している。二人の関係は、感情両極端大きく揺れ動き少なくとも第3巻発表時まで、キュンティアは恋人としてプロペルティウス人生支配していた。 cuncta tuus sepelivit amor, nec femina post te ulla dedit collo dulcia vincla meo. -- III.15.11-2。大意「君の愛は他のすべてを忘れさせた、どんな女もいない、君が僕の首に甘い足枷をはめた後では」。 プロペルティウスの詩がいつ書かれたかを特定することは難しいが、その詩は、ラテン語エレギア詩人の間ではありふれたテーマであった愛の告白情熱嫉妬口論悲嘆年代順に記録している。第3巻最後2つの詩はキュンティアとの最終的破局示しているように見える(「僕の詩が君を有名にしたことは恥である」第3巻24)。そしてキュンティアは最後第4巻発表される前に亡くなったらしい。第4巻でキュンティアをテーマしたものは、後書きとしての挨拶のたった2つの詩だけである。この両極端な関係の複雑性第4巻の中の痛切な詩の中に十分に明示される。キュンティアの幽霊が、自分葬式豪勢でなかったと(他のことと一緒にプロペルティウス批判するのである。そしてその最後の行は、プロペルティウス未練残しているように見受けられるinter complexus excidit umbra meos -- IV.7.96。大意「それから彼女の影は僕の抱擁から消え去った」。 また第4巻プロペルティウス新しい詩方向企図していたことを強く示している。そこにはローマその歴史的な建物神話的由来再吟味した、いくつかの因果関係学en:Etiology#Mythology)的詩が含まれている。これらは、新しローマ目指すアウグストゥスとその政策の批判曖昧に転覆をも目論む)として読むこともできるが、現代古典研究者たちの間でも議論の的となっている。最後の詩第4巻11)は、紀元前16年亡くなったコルネリア・スピキオ(en:Cornelia Scipio)の葬式のために書かれたもので、コルネリア美徳賛辞している。ほとんど帝国からの依頼のようなものだが(コルネリアアウグストゥス親類だった)、その荘厳さ、気高さ哀調は「エレギア女王」という評価受けている。 プロペルティウススタイルは、ぱっと見たところ唐突な場面転換ラテン語新しい詩方法)と、ギリシア・ローマ神話・伝説のあまり知られていない一節多く向けられた高度で想像力富んだ隠喩によって特徴づけられる。プロペルティウス独特の言い回しは、テキスト損なわれた状態と相俟って、その詩の校訂問題生じさせるこれまでに、古典主義のジョン・パーシヴァル・ポストゲイト(en:John Percival Postgate)やイギリス詩人A・E・ハウスマンen:Alfred Edward Housman)がテキスト原典研究ならびに校訂行った

※この「プロペルティウスの詩」の解説は、「セクストゥス・プロペルティウス」の解説の一部です。
「プロペルティウスの詩」を含む「セクストゥス・プロペルティウス」の記事については、「セクストゥス・プロペルティウス」の概要を参照ください。

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