オーディオの歴史
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「オーディオマニア」の記事における「オーディオの歴史」の解説
『オーディオの系譜』(瀬川冬樹著)によれば、1948年6月にアメリカCBSによって発売されたモノーラルLPレコード(以下レコード)が、いわゆるハイファイ・オーディオの発達を促す導火線になった。レコード出現に合わせてアメリカのオーディオ産業は発達し、ゼネラル・エレクトリック社、ピカリング[要曖昧さ回避]社、フェアチャイルド社がレコード針の「御三家」として製品を競い合う時代が続いた。 1950年代に入ると左右それぞれの音声を記録するステレオ(ステレオフォニック)方式の開発が進み、1958年にはステレオ録音のレコードが市販された。ステレオレコードはそれまでのモノラルレコードに比べて劇的に臨場感のある再生を可能にし、オーディオ産業はいっそうの発展を見た。この時代には録音メディアであるオープンリール方式のテープレコーダーも登場しているが、その大きさと扱いにくさゆえ広くは普及しなかった。 1960年代から70年代にかけて第一次オーディオブームが起こった。機器をまとめて家具調の木製キャビネットに収めたオーディオシステムが流行し、当時「ステレオ」といえばこれを指すほどであった。一方で、レコードプレーヤー、アンプ、スピーカーなどの各機器をメーカーを問わずに好みで組み合わせるコンポーネントステレオ(コンポ)の概念と製品も生まれ、後にこれがオーディオ趣味の主流となっていく。アンプは真空管からトランジスタへと変わった。また、4つのスピーカーを使用して音場再生する4チャンネルステレオ方式が出現した。これはのちのサラウンド方式を含むマルチチャンネルにつながるものだったが、規格が統一されず、商業的に失敗に終わった。 1970年代にはコンパクトカセットが登場、その簡便さから急速に普及した。1969年にはNHK-FMがステレオ放送を開始しており、FM放送をカセットに録音する「エアチェック」がブームとなった。また、レコードの複製にも使われていた。 1980年代に入ると、オーディオ業界は従来のアナログ方式からデジタルオーディオへと転換していく。1980年~1982年頃にはビデオテープレコーダーの台頭などでオーディオ製品の売り上げが極度に落ち込んだが、1982年に登場したCDはレコードに取って代わり、CDを中心としたコンポーネントステレオが飛ぶように売れた。これは第二次オーディオブームと呼ばれる。この時代はハイファイビデオとレーザーディスクが登場し、オーディオとビジュアルの融合の黎明期でもあった。 1990年代には機器のデジタル化・小型化・簡易化が進んだ。1992年に登場したMDは簡単な操作でCDの複製が可能であった。この時期はレンタルCDの法的整備も進められ、CDを借りてMDに複製することが広く行われるようになった。このためコンパクトカセットの市場は急速に縮小し、FM放送は音楽の入手経路としての役割を終えた。このころから日本ではミニコンポやCDラジカセなどの安価で簡便な機器が主流となってゆき、専用のオーディオ機器は急速に売上を落としていった。このため総合家電メーカーのほとんどがオーディオ事業から撤退し、オーディオ専業メーカーは倒産・廃業・事業の転換が相次いだ。 2000年代になってSuper Audio CDやデジタルアンプ(D級アンプ)などの登場で巻き返しを図ったが、オーディオ市場の縮小を止めるには至らなかった。その一方でDVDと薄型テレビの売上が急速に伸び、音と映像を一緒に楽しむオーディオ・ビジュアルが一大ブームとなった。その後、ハイビジョン放送の普及、Blu-ray Discやハードディスク・レコーダーの登場、音楽配信サービスやハイレゾが登場し、現在に至っている。
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