エドモン・ダンテスと協力者
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「モンテ・クリスト伯」の記事における「エドモン・ダンテスと協力者」の解説
エドモン・ダンテス / モンテ・クリスト伯爵 (Edmond Dantès / le Comte de Monte Cristo) モレル商会の一等航海士。20歳前にしてファラオン号の船長への昇格が約束され、恋人メルセデスとの結婚も間近と幸福の絶頂にあった。しかし彼を疎ましく思う者たちの策謀により、無実の罪でシャトー・ディフの土牢に収監され、14年もの獄中生活を強いられる。またその間に父親は他界、婚約者も奪われるという憂き目に遭ってしまう。獄中でファリア神父に出逢ったことで自身が陥れられたという真実を悟り、仇敵への復讐を決意する。同時に神父の知識を受け継ぎ、さらには莫大な財宝の在り処も教えられる。 やがて神父が息を引き取ると、彼の遺体と入れ替わって脱獄に成功する。脱獄後に神父から授かったモンテクリスト島の財宝を見つけ出し莫大な富を手に入れると、自身が陥れられた経緯の調査、助けようとしてくれた人への恩返しを経て、9年後、イタリアの貴族「モンテ・クリスト伯爵」としてパリの社交界へと現れ、仇敵との再会を果たす。そして、かねてより計画していた復讐を実行していく。 作中で数多くの別名・偽名で呼ばれており、以下のような名前がある。エドモン・ダンテス 34号 - シャトー・ディフでの囚人番号。 マルタ - 脱獄後に拾われた密輸船の船員から呼ばれた名。マルタ生まれと称したことから。 ウィルモア卿 - 財宝入手後に自分の船を買った際、別途入手した身分証明書に書かれていたイギリス人の名前。後にモンテ・クリスト伯爵と3回決闘した敵対者と称する。 ジャコモ・ブゾーニ司祭 - 獄死した(と偽った)ダンテスの最後を看取ったイタリア人の司祭。モンテ・クリスト伯爵の友人。 トムソン&フレンチ商会の番頭 - イタリアの商社に勤めるイギリス人。モレル商会の債権を買い集めて最大出資者になった。 船乗りシンドバッド - 破産しかけたモレル家を救済した時に名乗った名。後に、密輸業者や山賊たちから一目置かれるモンテ・クリスト島の大富豪としても名乗った。 モンテ・クリスト伯爵 ザコーネ氏 - ヴィルフォールがモンテ・クリスト伯爵の素性を調査した際、伯爵の本名として浮上した名前。 前述の通り、ピエール・ピコーがモデルである。 ファリア神父 (l'Abbé Faria) イタリアの神父。かつて仕えた貴族の家に伝わる古文書を解読して、モンテクリスト島に隠された財宝の在り処を突き止めるが、直ちに発掘へと出発しようとした矢先、その慌ただしい動きがイタリア独立運動に関連があるものと疑われて逮捕され、シャトー・ディフに収監される。看守たちからは、学はあるが「助けてくれたら莫大な財宝をやる」などと世迷い事を言う狂人として扱われる。 脱獄を企て、長年かけてトンネルを掘っているうちに、隣の独房のダンテスと出逢う。ダンテスから第二の父として慕われ、各種の言語や知識、不撓不屈の精神に至るまで、自らのすべてを教える。やがて衰弱し死期を悟ると、ダンテスに財宝の在り処を託し息を引き取る。 ピコーとフェネストレル要塞で出会い彼に遺産を残したトーリ神父、およびピコーらと同時期にシャトー・ディフへ収監されていたジョゼ・クストディオ・デ・ファリアがモデルである。 エデ (Haydée) ギリシアのジャニナ地方の太守アリ・パシャの娘。軍人時代のフェルナンの裏切りによって父親を殺害され、自らも奴隷の身分に貶められてしまう。モンテ・クリスト伯爵によって救出され、以後伯爵の庇護下で太守の娘にふさわしい扱いを受ける。 貴族院でフェルナンの過去の罪を告発し、彼の失脚に一役買う。モンテ・クリスト伯爵を心から愛している。 ジョヴァンニ・ベルトゥッチオ (Giovanni Bertuccio) モンテ・クリスト伯爵の家令。元はコルシカの密輸業者で、カドルッスがブゾーニ司祭から贈られたダイヤモンドについて宝石商と商談しているところから宝石商を殺害するまでを目撃し、殺人犯と誤認され逮捕されたところをブゾーニ司祭に救われ、その際に伯爵へ紹介され仕えるようになった。 かつて、軍人だった兄がワーテルローの戦い後の混乱の中で殺害され、ヴィルフォールに捜査を訴えた。しかしコルシカ人差別から門前払い同然に拒絶されたため、ヴィルフォールに復讐を宣言し、1年後にサン=メラン侯爵の別荘でナルゴンヌ男爵夫人と密通していたヴィルフォールを刺す。この時、ヴィルフォールが秘かに埋葬しようとしていた嬰児を奪って蘇生させ、ベネデットと名付けて義姉の養子として育てる。 ジャコポ・マンフレディ (Jacopo Manfredi) シャトー・ディフを脱出し漂流したダンテスを救った、密輸船ジュヌ・アメリー号のコルシカ人船員。ダンテスが並の男ではないことに早くから気付き、友人になる。 ダンテスがファリア神父から教わったように、ダンテスから様々な学問を教わる。ダンテスが密かに財宝を手に入れ船を降りた際、付き従って下船し、忠実にダンテスに仕える。 その後はエピローグまで出番が無いが、途中ダングラール銀行で100万フランの不渡りを出し、銀行経営悪化の一因になった融資先として名前が挙がっている。 ルイジ・ヴァンパ (Luigi Vampa) イタリアの山賊。元は羊飼いだったが、山賊の頭ククメットを殺して自ら頭に成り代わった。羊飼いの頃に道を教えたことが切っ掛けでモンテ・クリスト伯爵と知り合い、山賊になってからも付き合いが続いている。 知的な男で、「ガリア戦記」「アレクサンドロス東征記」などの史書を好んで読む。
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