アジア系住民に対する差別
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「アメリカ合衆国の人種差別」の記事における「アジア系住民に対する差別」の解説
南北戦争の前後頃から大陸横断鉄道の建設が始まり、清国から移住してきた中国系アメリカ人がなど労働力として多用された。アジア系住民はその風体や衣服あるいは生活習慣、宗教などが欧米系住民と違うことから偏見を生み、差別の対象となり、中国人排斥や排日運動が起こった。 さらに第二次世界大戦が勃発すると、日系人は敵性民族として強制収容所に送られその私的財産が没収された(⇒日系人の強制収容)。また、アメリカ生まれの日系人に対しては、先祖の国日本につくか(=強制収容所送りとなる)、それとも生まれた国アメリカにつくか(=兵士として激戦地に送られる)の選択を強要した(代表的なのは士官以外が日系人と言う第442連隊戦闘団。ただしこの部隊については多大な戦果を上げた為、現在においては尊敬の対象とされる。また、この部隊が派遣されたのはヨーロッパ戦線である。元々収容所送りの件を日本に宣伝されるのを防ぐ為の措置)。戦後になって、日系人に対するこれらの差別的仕打ちは、自由の国アメリカとして誤りではなかったかとの批判が起こっている。 1980年代、日本がバブル景気によって世界的にその市場を広げていた際、世界中の様々な市場が打撃を受けた。アメリカでも例外ではなく、とりわけ家電や自動車の市場が奪われると、その結果アメリカ国内では失業者が増え、その失業者や家族を中心に日本製(Made in Japan)製品の不買運動や日本人敵視の風潮が生まれた(ジャパンバッシング)。中国系住民のビンセント・チンが日本人と間違えられて撲殺される事件も発生している。これはアメリカ経済が立ち直った現在ではあまり聞かれなくなっているが、日本車の躍進で打撃を受けたゼネラルモーターズの企業城下町であるデトロイトでは、工場労働者がアジア系に対し非友好的な態度で接するなど、文化ではなく経済摩擦を発端とするイメージの悪化が根強く残っている。 学校でのアジア系に対するいじめは、他人種よりも酷く、10代のアジア系アメリカ人のうち、半数以上が学校でいじめられた経験があると回答。これに対して黒人やヒスパニック、白人では1/3程度である。フィラデルフィアの学校では2009年にアジア系の生徒に対する集団暴行事件が発生、被害者は1日で26人に上り、うち13人が重傷を負って集中治療室で手当てを受けた。この学校では、アジア系生徒が身の安全が確保されるまで登校を拒否するストライキに発展した。アジア系は、他人種に比較して、うつや自殺の割合が突出している。2009年、アメリカの司法省と教育省が10代の学生を調査した統計によると、31%の白人、34%のヒスパニック、38%のアフリカ系が「学校でいじめを受けたことがある」と答えたのに対して、アジア系学生の場合は54%に達するという結果が出た。 2020年のCOVID-19の大流行により、アジア系住民に対するヘイトクライムが急増し、2019年の2.5倍となった。その結果、2021年にアメリカ各地でアジア人暴力反対集会が開催された。
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アジア系住民に対する差別
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「人種差別」の記事における「アジア系住民に対する差別」の解説
「日系人の強制収容」および「アメリカ合衆国の人種差別#アジア系住民に対する差別」も参照 黄色人種(アジア系)は白人社会から、勤勉さや教育熱心な文化が評価され、確実に白人社会に食い込んでいったこともあり、20世紀後半以降は一方的な搾取を受ける事態には至っていない。北米やイギリスなどにおける東アジア系移民の学歴や生活水準は白人以外の人種の中にあって高く、平均して白人を凌ぐことすら多い。その現れとして、アメリカの大学選考においてアファーマティブ・アクションによる優遇は無く、むしろ不利に設定されている。 一方、20世紀前半のアメリカやカナダでの中国系移民や日系移民の境遇をみると、苦力などの奴隷的境遇に落とされたり、また苦労して経済的地位を築いた後も「黄禍論」を背景とした排斥の動きに遭遇したという歴史がある。特に日系人は第二次世界大戦中は市民権を停止され、強制収容所に収容されるに至った。同じように米国と交戦していた他のドイツ系、イタリア系といった枢軸諸国出身者やその子孫はほぼ制限を受けることはなかったため、白人以外の人種の日本人に対する人種差別とみなされている。
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