「ドイツ語話者」としてのドイツ人とは? わかりやすく解説

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「ドイツ語話者」としてのドイツ人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 05:59 UTC 版)

ドイツ人」の記事における「「ドイツ語話者」としてのドイツ人」の解説

もともと、ドイツ人は自らのことを"Teutsch"(トイチュ)と呼んでいた。これは「民衆 (Volk) 」の意である。しかし、南方古代ローマ人はこのトイチュ人を「ゲルマン人」と呼称していた(古くチュートン族(テウトニー族)が語源であるとする説もあったが、現在では棄却されている)。これが現在の英語のGerman相当する初め紹介された"聖書"の記述によるゲルマン人は、不名誉にも、「争いを好む民」を意味するゲルマニア」なのであるまた、オランダのことを英語で「ダッチ」表現するが、これはもともとトイチュが訛った表現であり、オランダが「ドイツ地域含まれている時代イギリスにて広まった侮蔑を含む語句である。 通常ドイツ民族と言われるドイツ語母語とするゲルマン系住民ドイツのほか、オーストリア国民リヒテンシュタイン国民大半スイス国民の七割がそうであり、イタリア南チロル地方住民ベルギー国民一部もそうである。また、フランス語化が進行しているとはいえルクセンブルク国民フランス東部アルザスロレーヌ住民基本的にドイツ系である。18世紀以降エカチェリーナ2世招きロシア移住したドイツ人ヴォルガ・ドイツ人)も多く第二次世界大戦前にはヴォルガ河畔にヴォルガ・ドイツ自治共和国築いたが、大戦勃発後にカザフスタンなどに強制移住させられた。旧ソヴィエト連邦内に住むドイツ系住民200万人近くいると推定されている。しかしソ連崩壊後旧ソ連各国民族主義台頭しドイツ系住民迫害され祖国ドイツへ帰国する人も増えている。しかし同じ民族ながら(標準ドイツ語解さないドイツ人として新たな難民問題となっている。 ドイツ国以外の人々を「ドイツ人」と呼べかどうか微妙なところである。特にオーストリアは約600年ドイツ国家である神聖ローマ帝国中枢であったため、自らをドイツ人主流とみなす考え方が根強かったまた、神聖ローマ帝国内の地方自治制度郡制度)が確立した1512年より神聖ローマ帝国は「ドイツ人神聖ローマ帝国(Heiliges Römisches Reich Deutscher Nation)」と呼ばれてきた。このためハプスブルク家による帝政の崩壊後の一時期は「ドイツ・オーストリア共和国(Republik Deutschösterreich)」という国号使用していた(国号短期間だったが、国歌の「ドイツ人の国オーストリア」という歌詞十数用いられ続けた)ほどで、オーストリア第一共和国時代左派右派問わずドイツとの合併を望む声が強かったオーストリア人アドルフ・ヒトラーによるオーストリア併合はこれを背景にしているが、併合二流市民扱いされ、連合軍爆撃などで惨憺たるにあったオーストリア国民は、ナチス崩壊後ドイツ人とは異なオーストリア人という意識強くなっている。オーストリア民族という概念根拠薄弱であり、本来イギリス北欧包括するゲルマン民族という言葉漠然としすぎているため、なおドイツ人という言葉にこだわる人も一部にいる。近年右派連立政権加わっていた右翼政党はそうしたドイツ民族主義者流れを汲んでいる。 「ドイツ」のアイデンティティ意識の上でも歴史の上でも、まずドイツ語次いでこれを話すドイツ民族最後にそれらを統べるドイツ国家という順序をたどる傾向がある。特にアフリカ新大陸など世界中広く拡散した英語やフランス語スペイン語等とは異なり第一次世界大戦敗戦によりドイツ植民地帝国潰えたことから域外定着する至らずドイツ語がほぼドイツ周辺の同民族まとまっているだけに、この三者結びつきは強い。ほとんど民族的共通性のない英語圏スペイン語圏地域的連続性欠けフランス語圏とは明らかに事情異なる。オーストリア近年ふたたびドイツ民族主義傾斜しているのは、EUという連合国家の傘のもとでの「ドイツ人ドイツ語使用者)」というまとまり強く意識され始めたためともいえる。それだけEU加盟で、なおかつ大部分ドイツ語圏にふくまれるスイス立場は微妙である。 なお、中欧東欧地名中には「ニェメツキー~ Německý-」「ネーメト~ Német-」という前置きを持つ地名がある。意味は、「(中欧東欧原住民である)われわれ(スラヴ人)の言語スラヴ語)が話せない唖(おし)の人々(つまりドイツ人)の~」という意味である。これらの町はドイツ人によって作られたか、ドイツ人多かったため、同じ名前の隣町区別するためである。 ちなみにロシア語では「民族的な意味でのドイツ人」をニミェーツキー(немецкий)と呼び、「ドイツ国民(ドイツ国籍を持つ者)」をギルマーニツ(германец)と呼ぶ。また、ドイツ語」はニミェーツキー・イズィーク(Немецкий язык)と呼ぶ。ちなみにアメリカの俳優レナード・ニモイニモイ(Nimoy = немой)も「唖(おし)の」というロシア語由来する

※この「「ドイツ語話者」としてのドイツ人」の解説は、「ドイツ人」の解説の一部です。
「「ドイツ語話者」としてのドイツ人」を含む「ドイツ人」の記事については、「ドイツ人」の概要を参照ください。

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