「つながりの社会性」についての論考とは? わかりやすく解説

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「つながりの社会性」についての論考

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/27 14:55 UTC 版)

つながりの社会性」の記事における「「つながりの社会性」についての論考」の解説

コミュニケーションそれ自体目的化することは北田以前にも論じられており、例え社会学者浅野智彦が、若者の間では関係性構築自体追求するコミュニケーション様式みられることを指摘しているほか、社会学者若林幹夫携帯電話でのメール交換用件伝達ではなくふれあい」を目的としたメディアであると論じている。インターネット上で勢力を持つ言説についても、それは意味内容ではなく単純な祝祭感覚駆動されているだけだとよく論じられ社会学者鈴木謙介ネタコミュニケーションとして論じたものはつながりの社会性類似概念考えられる哲学者ジャン=フランソワ・リオタールは、ポストモダン大きな物語社会共有される理想規範などの全体性共同性)が衰退して多数小規模な物語島宇宙)が乱立する態と条件づけ論じた。これを元に批評家東浩紀が主に1995年以降日本社会を「データベース消費全体性無視した個別的な消費様式)」「動物化(記号的要素への脊髄反射的な反応)」として論じたり、社会学者宮台真司が「意味から強度へ」「まったり革命」「終わりなき日常生きろ」といったキーワードで論じたりしていたが、北田議論前述浅野智彦議論同様の文脈位置づけることができる。つながりの社会性は、従来秩序社会性維持するために必要とされるような「送り手受け手の間に共有されるコード」という共同性失墜したことによって浮かび上がってきたものであり、細分化した各島宇宙の中で、そこへの帰属意識再確認することを目的とした自己充足的なコミュニケーションが行われていると考えられる社会学者批評家濱野智史によればつながりの社会性類似したつながり」をテーマとした書籍論考ゼロ年代半ば頃から量産されており、それらはおおよそ若者論」「日本論」「電子民主主義論」の3つ大別できるという。 社会学者栗田宣義は、具体的かつ物理的な空間会する従来型相互行為が、仕事余暇のためにといった外部目的有したつながり基調としやすいのに対し、アンダーグラウンド・コミュニケーションと呼び、つながること自体目的となる自己充足的なあり方基調としやすい、としている。これには携帯電話普及で、いつでも、どこでも連絡し合え利便性気楽さ情報曖昧なままにしておくことを可能にしており、メールを介して相互行為常態化されているため、実際に会って話す事も減り対面状況よりも何らかの電子メディア介した相互行為の方が質・量共に優勢となり、むしろ対面状況相互行為統制する場合ままある事がある事が挙げられる若者論としてつながり論じたものは、しばしば携帯電話2ちゃんねるといった新規メディアへのバッシング結びつく俗流若者論批判知られる後藤和智は、北田議論もその批判対象としており、きわめて限定され範囲内確認される事柄についてサブカルチャー社会学牽強付会に結びつけたものにすぎない指摘している。そして、北田議論を含む「コミュニケーション内容よりもそれが行われていること自体重視する」ような一連の言説について、接続自体目的化していると論じられる2ちゃんねるなどでも真剣な論争が行われている事例はあるとして「議論の内容」に注目すべきだと述べている。ビジネス書においてはつながり」が肯定的に捉えられるのに対し若者論ではそれが否定的に評価される理由として、若者にとってのつながりは、それが(たとえばビジネス世界で豊かな人脈確保するといったようななんらかの目的達成するための手段として利用されているのではなくコミュニケーション接続自体目的化している点にあると濱野智史述べている。 日本論としてのつながりの社会性」の議論は、場の空気を読むことを重視する日本コミュニケーション作法つながりの社会性関連付けるもので、濱野智史自身つながりの社会性順応した形で設計されたと解釈できる日本ネットサービスは、空気を読むことを基調とする日本の文化の上成立しているとしている(他方で、FacebookTwitterのように、友人に対して自分行動履歴即時的通知できるように設計されSNS米国でもゼロ年代後期台頭していることから、日本におけるつながりの社会性世界へ波及拡散する可能性示唆している)。北田議論日本若者文化インターネット文化題材として展開したもので、その内容日本国外にはあまり知られていないが、日本アメリカで主要SNSサイトの総ユーザー数対する総ページ更新数を比べる日本サイトの方が高い(つまり日本人のほうが頻繁にページ更新行っている)ことなどから日本でより強くつながりの社会性機能していると考えられる。ただし、携帯電話持っていなかったりすぐに返信できなかったりすると不安になるというような利用者の傾向は、携帯電話普及率の高い北欧でも確認されている。 電子民主主義論としては、2004年から2年間にわたって開催されたised(情報社会倫理設計について学際的研究)において日本のインターネット環境電子民主主義成立目指す際に内容ベース討議妨げると考えられるつながりの社会性克服することができるかということ主要な論点となり、つながりの社会性は同研究会でもきわめて頻繁に参照される概念となった

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