つながりの社会性とは? わかりやすく解説

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つながりの社会性

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/29 07:52 UTC 版)

つながりの社会性(つながりのしゃかいせい)とは、社会学者北田暁大が導入した用語で、自己充足的・形式主義的なコミュニケーション作法のことである。漢字で繋がりの社会性と表記される場合もある[注 1]。対義語は秩序の社会性


注釈

  1. ^ 北田自身は、著書『広告都市・東京―その誕生と死』では「つながりの社会性」、『嗤う日本の「ナショナリズム」』では「繋がりの社会性」の表記を用いている。
  2. ^ たとえば全展望監視施設パノプティコンはそのような設計思想に基づくものである。
  3. ^ 社会学者土井隆義は、ゼロ年代半ばの少年犯罪いじめ自殺の背景にも「見られているかもしれない不安」から「見られていないかもしれない不安」への移行があるとみている[3]
  4. ^ 電子掲示板2ちゃんねる上でのコミュニケーションの特徴である、先行する発言に対して文脈ずらしを延々と繰り返しネタ化していく作法のこと[10][11]
  5. ^ 当時の宮台真司は、価値観が相対化され生きる意味(社会からの承認)を見出すことで困難になった現代社会(終わりなき日常)において、近代的な道徳観念の拘束を受けることなく奔放にブルセラ援助交際を繰り返す女子高生のように、まったりと生きていく(全面的包括要求を棄却する)ことを称揚していた[13]。つながりの社会性は、宮台真司が神戸連続児童殺傷事件の犯人などを論じるときに使った「脱社会的存在(社会的秩序の存在を前提とした上でそれを破壊しようとする反社会性ではなく、社会的秩序の存在そのものを忘却した状態)」と結びつけられることもある[14]
  6. ^ 現在では葉鍵板は2ちゃんねるではなくその外郭掲示板であるPINKちゃんねるに属している。
  7. ^ 現在は廃止されている。
  8. ^ ニコニコ動画#コメント機能を参照。
  9. ^ ウォール街を占拠せよはその参加者の間でも主張内容・思想信条に多様性があり、そのために矛盾した主張を行っているデモだとみなされることもある。
  10. ^ 様々なモンスターを集めることを目的としたゲームソフトであるが、通信機能を使って所持しているモンスターの交換をしなければすべてのモンスターをコンプリートできないように設計されている。
  11. ^ モンスターを「狩り」して倒すことを目的としたゲームソフトであるが、複数のプレイヤーで協力しないと倒せないように設計されたモンスターが存在する。
  12. ^ これは社会学者の大澤真幸の用語である「アイロニカルな没入」を意識した語。「アイロニカルな没入」とは、それが虚構に過ぎないことを織り込み済みであえて没入することであるが、そういった自意識上のアイロニーの代替としてゲームシステムという回路で効果的な没入を支援するのが「アーキテクチュアルな没入」である。
  13. ^ 小説『バトル・ロワイアル』を先駆として、特権的な「正義」を描くのではなくあくまで相対的なものでしかない多数の個人的な「正義」の闘争を描いた作風の作品のこと。
  14. ^ 恋空#評価を参照。

出典

  1. ^ 『嗤う日本の「ナショナリズム」』203頁。
  2. ^ 『広告都市・東京―その誕生と死』153頁。
  3. ^ 土井隆義 『友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル』 筑摩書房、2008年、134-135頁。ISBN 978-4480064165
  4. ^ 『広告都市・東京―その誕生と死』142-143頁・154頁など。
  5. ^ 『広告都市・東京―その誕生と死』162-163頁。
  6. ^ 濱野智史『恋空』を読む(番外編):宮台真司を読む ― 繋がりの《恒常性》と《偶発性》について 」(2008年9月12日)
  7. ^ 『嗤う日本の「ナショナリズム」』207頁。
  8. ^ 『友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル』143頁。
  9. ^ a b c d 濱野智史「第6回 情報環境研究のキーワード「繋がりの社会性」」『濱野智史の「情報環境研究ノート」』(2007年7月5日)
  10. ^ 「インターネットにおける私的領域について」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』213頁。
  11. ^ 鈴木謙介『暴走するインターネット―ネット社会に何が起きているか』 イーストプレス、2002年、211頁。ISBN 978-4872573022
  12. ^ 鈴木謙介 『カーニヴァル化する社会』 講談社、2005年、146-147頁。ISBN 978-4061497887
  13. ^ 宮台真司 『終わりなき日常を生きろ―オウム完全克服マニュアル』 筑摩書房、1998年。ISBN 978-4480033765
  14. ^ 「脱社会的存在と情報化社会」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』66頁。
  15. ^ 『広告都市・東京―その誕生と死』168頁。
  16. ^ a b 『嗤う日本の「ナショナリズム」』207-208頁。
  17. ^ 『広告都市・東京―その誕生と死』166頁。
  18. ^ 宇野常寛「ポスト・ゼロ年代の想像力-ハイブリッド化と祝祭モデルについて」『思想地図〈vol.4〉特集・想像力』319頁。
  19. ^ 『社会学』栗田宣義p168-169
  20. ^ 後藤和智『おまえが若者を語るな! 』 角川グループパブリッシング、2008年、73-75頁。ISBN 978-4047101531
  21. ^ 後藤和智 『「若者論」を疑え!』 宝島社、2008年、104頁。ISBN 978-4796663533
  22. ^ 濱野智史 『アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか』 エヌ・ティ・ティ出版、2008年、137頁。ISBN 978-4757102453
  23. ^ 「ポストised、変化したことは何か1」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』461頁。
  24. ^ 『アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか』332頁。
  25. ^ 東浩紀 「潮流05/06」『文学環境論集 東浩紀コレクションL』 講談社、2007年、816-817頁。ISBN 978-4062836210
  26. ^ 「流動化する社会の中で」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』435頁。
  27. ^ 「流動化する社会の中で」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』437頁。
  28. ^ 濱野智史「まえがき」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』4頁。
  29. ^ 「脱社会的存在と情報化社会」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』81頁。
  30. ^ 『広告都市・東京―その誕生と死』158頁。
  31. ^ 『友だち地獄―「空気を読む」世代のサバイバル』143-145頁。
  32. ^ 『広告都市・東京―その誕生と死』155-156頁。
  33. ^ 『嗤う日本の「ナショナリズム」』203頁など。
  34. ^ 「流動化する社会の中で」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』435-436頁。
  35. ^ 東浩紀・福嶋亮大 「オルタナティブの思想」『批評の精神分析 東浩紀コレクションD』 講談社、2007年、318-319頁。ISBN 978-4062836296
  36. ^ 暮沢剛巳 『キャラクター文化入門』 エヌ・ティ・ティ出版、2010年、158頁。ISBN 978-4757142565
  37. ^ 北田暁大「ディスクルス(倫理)の構造転換」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』159頁。
  38. ^ 池田信夫はてなに集まるネットイナゴ Archived 2011年7月8日, at the Wayback Machine.』 池田信夫blog(2007年6月10日)。
  39. ^ 宇野常寛 『ゼロ年代の想像力』 早川書房、2008年、145頁。ISBN 978-4152089410
  40. ^ 東浩紀 『ゲーム的リアリズムの誕生』 講談社、2007年、146頁。ISBN 978-4061498839
  41. ^ 『アーキテクチャの生態系――情報環境はいかに設計されてきたか』210頁。
  42. ^ 「ポストised、変化したことは何か1」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』474頁。
  43. ^ 濱野智史・宇野常寛 『希望論―2010年代の文化と社会』 NHK出版、2012年、184-186頁。ISBN 978-4140911716
  44. ^ 『希望論―2010年代の文化と社会』187-188頁。
  45. ^ 青木摩周・井上明人・中川大地・濱野智史・宇野常寛「【座談会】アーキテクチャ・コンテンツ・コミュニケーション」『PLANETS vol.7』第二次惑星開発委員会、2010年、145頁。ISBN 978-4905325000
  46. ^ 宇野常寛 『リトル・ピープルの時代』 幻冬舎、2011年、402-410頁。ISBN 978-4344020245
  47. ^ 宇野常寛 「6章震災後の想像力 3 拡張現実的、ネットワーク的」『政治と文学の再設定』 集英社WEB文芸RENZABURO(2011年7月1日)
  48. ^ 前島賢 『セカイ系とは何か ポスト・エヴァのオタク史』 ソフトバンククリエイティブ、2010年、234頁。ISBN 978-4797357165
  49. ^ 宇野常寛 「5章「空気系」と擬似同性愛的コミュニケーション 3 「つながりの社会性」と空気系」『政治と文学の再設定』 集英社WEB文芸RENZABURO(2011年4月15日)
  50. ^ 「ポスト・ゼロ年代の想像力-ハイブリッド化と祝祭モデルについて」『思想地図〈vol.4〉特集・想像力』319-320頁。
  51. ^ 東浩紀・宇野常寛・福嶋亮大前田塁「村上春樹とミニマリズムの時代」『思想地図〈vol.4〉特集・想像力』291頁。
  52. ^ 「ポスト・ゼロ年代の想像力-ハイブリッド化と祝祭モデルについて」『思想地図〈vol.4〉特集・想像力』329頁。
  53. ^ 『リトル・ピープルの時代』 297-298頁。
  54. ^ 速水健朗 『ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち』 原書房、2008年、192-193頁。ISBN 978-4562041633
  55. ^ 「表現・存在・匿名」『ised 情報社会の倫理と設計 倫理篇』318頁。


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