《いう》の敬語
「いう」の敬語表現
「いう」を敬語で表現する際、「言われる」もしくは「おっしゃる」がよく用いられます。動詞「言う」の未然形「言わ」に、尊敬表現の接尾辞「れる・られる」を追加した「言われる」は尊敬語に分類されます。また動詞「おっしゃる」も、相手に敬意を示す尊敬語の1つです。語句の成り立ちとしては、「お言いつけがあった」という意味を持つ「仰せ有る」でした。時代の移り変わりとともに徐々に省略されていき、現代のような「おっしゃる」という形に変化しています。また「言う」の敬語表現に、「申す」もその候補として挙げられます。こちらは自身がへりくだることにより、相対的に相手への敬意を高める効果がある謙譲表現です。「申す」の他にも、「申し上げる」も同じように謙譲表現をする際に用いられます。なお相手に「言う」という行為を丁寧に伝える際には、丁寧表現の接尾辞である「ます」を加えた「言います」を用いるのが一般的です。
「いう」の敬語の最上級の表現
「いう」の最上級・最高敬語にあたるのが、「のたまはす」です。おっしゃると同じ意味を持つ動詞「宣う(のたまう)」に、尊敬語「給う」を加えた形の敬語表現です。古来より使われてきた言葉で、文語内では「宣ふ」と記載します。江戸時代に天皇や皇族に対して使っていたのが主な用途であり、現代では皇族や海外の王族に関する報道で使われることもあります。しかし現代の日常生活・会話において「宣う」は、敬語ではなく「尊大・大きな態度で言う」といった皮肉的なニュアンスで用いられることが多いです。なお謙譲語「申す」の最高敬語にあたるのが、「奏す(そうす)」です。使う相手も限定されており、「天皇・上皇に申し上げる」というシーンにのみ使えるのが「奏す」となります。加えて謙譲語「啓す(けいす)」は、「中宮・皇太子に対して申し上げる」という場合にのみ用いられます。いずれも現代で用いられることはほとんどなく、古語・古文の中で見られる表現です。
「いう」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
ビジネスメールや手紙などの文中で「いう」を敬語で表現する場合、「おっしゃる」を用いるのが一般的です。過去に相手が言ったことを文中で触れる場合、「先日おっしゃった訓示を胸に励んでまいります」といったように表現します。この用法の場合の「おっしゃる」は連用形「おっしゃり」に変えて促音便形に対応させたのち、過去・完了を示す助動詞「た」を付与して「おっしゃった」という形で運用しています。尊敬の接尾辞「れる」を付け足した「言われる」は、親しい間柄でなおかつ砕けた口調が許される関係の相手にのみ使える表現です。一方で、自身が言ったことを表現する場合は「申し上げる」を用います。文中では、「先週の会議で私が申し上げた企画の計画書をお送りいたします」といったように使用します。
「いう」を上司に伝える際の敬語表現
上司との会話中に、その上司の行動について表現する場合の敬語は「おっしゃる」が最適です。会話の中で使うのであれば、「先程課長がおっしゃった件ですが」といったように用いると良いでしょう。また上司に対して、その上司よりも上の立場の人の行動を表現する際にも「おっしゃる」を使います。たとえば社長から伝え聞いた内容を課長に伝える際、「この企画については全て任せると社長がおっしゃっています」といったように表現します。「いう」の敬語での誤用表現・注意事項
「いう」を敬語で表現する際に気をつけたいのが、二重敬語です。特に「おっしゃる」に多い誤用表現として、「おっしゃられる」が挙げられます。動詞「おっしゃる」が既に尊敬語にあたり、尊敬表現の接尾辞および助動詞である「れる・られる」を付け足すことで敬語表現が重複して、回りくどくなってしまいます。皇族・王族などに限定して用いられる最高敬語・最上級敬語以外では、二重敬語を使うのは好ましくないとされているため注意しましょう。また「おっしゃる」を連用形で使うとき、「り」を「い」に変化させなければならない点にも注意が必要です。「おっしゃる」を連用形にすると「おっしゃり」となりますが、丁寧表現の「ました・ます」を語尾に付ける際には「おっしゃい」に変えなければなりません。この連用形の変化を「イ音便」と呼び、「いらっしゃる」や「なさる」でも同様のルールが存在します。ただ例外もあり、接続詞に繋げるときは「おっしゃり」の形で使えます。文例としては「おっしゃりつつも」や、「おっしゃりながら」といったように用いる形です。
「いう」の敬語での言い換え表現
「いう」を敬語で表現する際、「おっしゃる・言われる」の他に「仰せ(おおせ)」も用いられます。「命じる・言いつける」の意味を持つ動詞「仰す」を、連用形に変えて名詞化したものを使います。過去形「おっしゃった」の代わりに使うことで、よりかしこまった表現が可能です。会話で使う際には「社長がおっしゃった通り」の代わりに、「社長の仰せの通り」というように用いると良いでしょう。謙譲表現の「申す・申し上げる」に関しては、「申し伝える」が言い換え表現として使えます。他にも「申し遅れる」や「申し受ける」なども同様に、自身を下にして相手の敬意を高める際に活用できます。《いう》の敬語
いうの敬語表現
「言う」の謙譲語として、「申す」が挙げられます。「申す」は目上の相手に対して発言したり、社内の人間が行った内容を社外の人間に伝えたりする際に使用する表現です。よりへりくだるべき場合には、「申し上げる」を用います。「お」や「ご」と併用されることが多く、「答える」は「お答え申し上げる」となります。「言う」の尊敬語は、「おっしゃる」と「言われる」です。より丁寧な表現である「おっしゃる」の方が、相手に対して敬意を示すために使用する表現として適しているとされています。「言う」の丁寧語は「言います」です。基本的に、丁寧語は語尾に「です」または「ます」を付けて表現します。ビジネスシーンでは、社内の上司や先輩といった身内に対して用いるのが一般的です。さらに、「いう」は、他の言葉の後に付けて「~いう」の形で用いられることもあります。「~という」の敬語は「~とおっしゃる」です。外部からの電話を取り次ぐ場合、「~とおっしゃる方から電話です」と言います。いうの敬語での誤用表現・注意事項
尊敬語では、動詞に尊敬の助詞である「れる」または「られる」を付けるという形式があります。しかし、「おっしゃる」に「られる」を付けて「おっしゃられる」とするのは誤用表現です。二重敬語であり、敬語として過剰な表現になってしまいます。また、「申される」は誤用だとされているため、注意が必要です。「申す」は「言う」の謙譲語であるため、基本的に尊敬語として用いられることはありません。中には平家物語や徒然草などで「申されけり」が使用されているというケースもありますが、一般的には「言う」の尊敬語である「おっしゃる」が用いられています。いうの敬語での言い換え表現
「申し伝える」や「申し遅れる」、「申しつける」などが挙げられます。「言う」は、説明を伝達するという意味も持っています。「申し伝える」は「伝える」の謙譲表現です。「全員に伝えます」をより丁寧な表現にすると、「全員に申し伝えます」になります。「申し遅れる」は、ビジネスシーンでは「申し遅れましたが、わたくしは~でございます」というように自己紹介などの場面で用いられる表現です。「申しつける」は、「どのようなことでも、なんなりとお申しつけください」という形で使用されています。「言う」の尊敬語は「おっしゃる」であることを考慮すると、「遠慮なくおっしゃってください」となります。しかし、労をいとわない心構えが伝わりやすいとされる「なんなりとお申しつけください」を用いるのが一般的です。- 《いう》の敬語のページへのリンク