《ありません》の敬語
「ありません」の敬語表現
「ありません」は、動詞「ある」の連用形、助動詞「ます」の否定形から成り立っています。「ます」は、敬語のひとつである丁寧語です。そのため「ありません」は敬語表現ということになります。「ある」は、「存在する」「所在」という意味があり、文末が「ません」という否定形になっていることから、「ありません」は「ない」「存在しない」という意味になります。同じ意味に「ないです」という表現があります。「ない」という形容詞に「です」という丁寧語がついたもので、「ない」の敬語表現です。同じ意味でも表現方法に違いがあり、「ないです」より「ありません」と言った方が丁寧な印象を受けます。
「ありません」の敬語の最上級の表現
「ありません」の基の言葉は「ある」と「ます」です。存在するという意味の「ある」をより丁寧な表現にする場合には、「ある」の丁寧語の「ござる」を用います。「ます」の否定形「ません」は、このまま使用し「ございません」が、「ありません」の敬語の最上級の表現となります。「ございません」は「ない」と同じ意味合いを持ちます。「ない」の敬語表現は「ないです」、「ないです」を丁寧に言い換えたものが「ありません」、「ありません」をより丁寧な表現に言い換えたものが「ございません」ということになります。「ないです」「ありません」でも意味は伝わりますが、伝える相手によっては失礼にあたる場合もあります。より丁寧な表現である「ございません」にすることで、相手に対して敬意を示すことになります。また、他の尊敬語や美化語を組み合わせて敬語として表現することも可能です。
「ありません」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「ありません」には、ものが存在しない時や否定する時、謙遜する時などに使われることが多い言葉です。「ありません」は敬語表現なので、そのまま使用しても差し支えないですが、ビジネスメールなどでは先方との関係性や状況、伝えたい内容によって「ございません」と使い分けることが必要です。問題がない時には「問題ありません」「問題ございません」という使い方ができます。否定する場合には、「急ぎの書類ではありません」のように使うことができます。目上の人やお客様などに否定の意味で使用するときは「取引はございません」のように使います。
否定する時に使う際には、選ぶ言葉や使い方に注意が必要です。否定するということは、相手の考えや行動などに対して「違う」または「ない」と伝えることです。内容や状況にもよりますが、否定された側にしてみれば良い気分と言えない場合もあるでしょう。「ありません」の最上級の敬語である「ございません」は、否定する時に使うと冷たい印象があります。同じ否定でも「ありません」の方が温かみを感じます。しかし、ビジネスシーンでは「ありません」ではなく「ございません」がを使うことが多いため、前後の文脈等と合わせて失礼のないような文章にすることが大切です。
また、謝罪の気持ちを伝える時には「申し訳ありません」「申し訳ございません」といった言い回しが適切な表現です。「ございません」は、漢字を使うと「御座いません」となります。しかし、手紙やビジネスメールなどで使用する時には、「ございません」の前に漢字がある場合には「問題ございません」「申し訳ございません」のようにひらがな表記の方が読みやすくなります。
「ありません」を上司に伝える際の敬語表現
「ない」ことを上司に伝える際には「ありません」でも問題はないですが、伝えたい内容によっては「ございません」を使うと、より丁寧な敬語表現になります。「ございません」は敬語の中でも丁寧語に分類されるものなので、誰に対しても使える敬語表現ですが、一般的には目上の人に使われることが多い言葉です。また、ビジネスシーンでは、お客様にも使用されます。謙遜とは、へりくだることや低姿勢であることなどの意味があります。「ありません」は謙遜する時にも使うことができます。上司から良い評価を受けた時に、「自分はまだそのような評価を受ける立場や時期ではない」といった場合に「そんなことはありません」「とんでもありません」という使い方も可能です。「ありません」の部分を「ございません」に言い換えて使うこともできます。ただし「とんでもございません」の基になっている「とんでもない」には、「滅相もない」という意味もあり強い否定表現になってしまうため使い方に気をつけましょう。
「ありません」の敬語での誤用表現・注意事項
「ありません」は「ない」ことを「ある」の否定形で表現している丁寧語です。通常では「ありません」を使用できますが、ビジネスシーンでは口頭では使えても、メールや手紙などでは「ございません」を使うことがマナーとされています。文章の内容や状況に応じて使い分けましょう。また、相手に説明をした時に不明な点はないかを確認したい場合「ご不明な点はございませんでしょうか?」という使い方を耳にすることがあります。この場合「不明」に「ご」をつけるのは美化語なので問題はありません。しかし、「ございません」は「ありません」の丁寧語、「でしょうか」は「だろうか」の丁寧語であり、丁寧語が2つ重なることから二重敬語となり間違った使い方ということになります。「ご不明な点はございませんか?」が正しい表現です。
「ありません」の敬語での言い換え表現
「ありません」を存在しないという意味で言い換えると「存在しません」「足りません」「見当たりません」「差し支えありません」などがあります。- 《ありません》の敬語のページへのリンク