《問題ありません》の敬語
「問題ありません」の敬語表現
大前提として「問題ありません」も「ありません」という丁寧語が使われているので、敬語表現の一種です。ただし、より丁寧な敬語にするのなら「問題ございません」が適切だといえます。「問題ありません」の敬語の最上級の表現
「問題ございません」の形でも、最上級の敬語表現として使用可能です。ただし、「ございません」という否定形が気になってしまう人もいるでしょう。肯定的に敬意を示したいのであれば、「承知いたしました」という言い方ができます。「承知いたしました」は謙譲語であり、目上の人に対して使える敬語表現です。「問題ありません」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
相手を安心させたり、肯定の気持ちを伝えたりするためのフレーズとして、「問題ございません」はビジネスメールで多用されています。以下、ビジネスメールや手紙での例文を挙げていきます。「まったく問題ございません。弊社は365日営業しておりますので、すぐにお客様のもとへと駆け付けます」
「昨日お問い合わせいただいた件ですが、問題ございません。弊社でプロジェクターを用意いたします」
「明日の待ち合わせ時間は午前10時で問題ございません。もしも御社のご都合がよろしければ、現地集合でいかがでしょうか」
「かしこまりました。私は問題ございません。念のため、上司に確認した後、再度ご返答をさせてください」
「昨日届けてもらった商品サンプルですが、問題ございません。むしろ、プレゼンテーションに向けてとても助かっております」
「その後、担当者の方のお体に問題ございませんか。帰り道で顔色が優れないように見えましたので」
「ご紹介いただいた会場も問題ございません。後は施工を始めるばかりとなりました。引き続きよろしくお願いいたします」
「東京でのセミナー開催について、御社のご都合はいかがですか。ちなみに、弊社はまったく問題ございませんが、ほかのスタッフの皆様にも確認してもらえれば幸いです」
「問題ありません」を上司に伝える際の敬語表現
上司が相手でも、肯定の意図で「問題ございません」を使うことはあります。ただし、重要なシチュエーションになるほど、上司に「問題ございません」とは言いにくくなっていくでしょう。なぜなら、「問題ございません」は状況を完全に肯定する言葉であり、「わずかな支障すらも起きていない」という意味だからです。仕事の経過報告、相談においては、「順調でございます」「問題は起きておりません」という言い方をするのが得策です。「あくまでも今の時点では上手くいっている」というニュアンスで上司とやりとりするほうが、問題が起きたときに相談しやすくなります。「問題ありません」の敬語での誤用表現・注意事項
「問題ないです」という表現は、かしこまった場で使わないようにしましょう。日本語として間違っているわけではないものの、ややカジュアルな印象を与えます。上司や社外の人間とのやりとりにふさわしい言葉とはいえません。また、「問題ございませんでした」という表現にも要注意です。「ございませんでした」とは過去形なので、現在進行形で起こっている事象にはあてはまりません。現在の物事についてのやりとりでは、「問題ございません」の形を使うほうが適切です。「問題ございません」の疑問形でよくある間違いが「問題ございませんでしょうか」という言い方です。ここでは「ございません」と「でしょうか」という敬語が続けて使われています。いわゆる「二重敬語」になっており、文法的に間違っています。「問題ございませんか」「問題でしょうか」のいずれかの言い方がふさわしいといえます。
そのほか、「問題ございません」は相手の問いかけ、提案に対する返答として使うようにします。自分の発言、行動を「問題ございません」と表現するのは、自画自賛になってしまうからです。また、問題があるかどうか判断するのは相手で、当人ではありません。自分の発言を肯定したいときには「問題ございません」ではなく、「問題ございませんか」と相手に尋ねましょう。
そして、ビジネスシーンでは「ほとんど問題ございません」「おおむね問題ございません」といった表現も適切ではない場面があります。たとえば、相手が不安を抱いているとき、解消したいと思って発言するケースでは「ほとんど」「おおむね」という言い方は決して好ましくありません。もしも問題があるのなら「ご説明させてください」「何カ所か申し上げたいのですが」といった前置きをしたうえで、該当箇所を指摘するほうがビジネスシーンでは効果的です。
「問題ありません」の敬語での言い換え表現
「問題ございません」を言い換えるときには「差し支えございません」という表現があります。「問題」と「差し支え」はほとんど同じ意味なので、類語として置き換えられるフレーズです。また、「ご心配には及びません」という表現も「問題ございません」に近い意味だといえるでしょう。ただし、「ご心配には及びません」のほうが、発言者に自信がみなぎっている印象です。やや強引なニュアンスもあるので、発言する状況は見極めたいところです。そのほか、「問題ございません」よりも平易な表現には「大丈夫です」があり、近しい人とのやりとりでは十分に使えます。- 《問題ありません》の敬語のページへのリンク