《咳嗽》の正しい読み方
「咳嗽」の正しい読み方
「咳嗽」は「がいそう」と読む。「咳」も「嗽」も「せき」と訓読みすることから慣用的に「せき」と読む場合があるが、正しい読み方ではない。「咳嗽」の意味解説
「咳嗽」とは「咳(せき)」のことで、医学分野における症状の一種。気道内にたまった分泌物や異物を気道外に排除するための生体防御反応とされる。このうち痰を伴って重い咳が出るものを「湿性咳嗽」、痰を伴わないで軽い咳が出るものを「乾性咳嗽」という。また、咳嗽はその罹患期間により「急性咳嗽」「遷延性咳嗽」「慢性咳嗽」に分類される。急性咳嗽は発症から3週間以内の咳をいい、ウィルス性の感冒が原因となるケースが多い。遷延性咳嗽は発症から3週間以上続く咳をさし、原因としては咳ぜんそく、アトピー咳嗽、感染後咳嗽、胃食道逆流症などが考えられる。慢性咳嗽は発症から8週間以上続く咳をいい、原因としては咳ぜんそくやアトピー喘息のほか、副鼻腔気管支症候群、心因性咳嗽、咽頭アレルギーなどが挙げられる。なぜ「咳嗽(がいそう)」と読むのか・理由
「咳嗽」の読み方は一般的な熟語と同様、音読みの組み合わせである。「咳嗽」を「がいそう」と読むのは、医学分野での症状の一つとしてその読み方が定められているため。「咳嗽」の類語・用例・例文
「咳嗽」の類語としては、せきばらいを意味する「謦咳(けいがい)」、痰の出ないせきを示す「空咳(からぜき)」、せきをすること、またはせきの出る病気という意味の「咳気(がいき)」などがある。「咳嗽」の用例には、「その咳嗽を聞いて連夜ねむらぬ父中将のわが枕べに来るごとに、浪子はほのかに笑みて苦しき息を忍びつつ明らかにもの言えど、うとうととなりては絶えず武男の名をば呼びぬ(「不如帰」 徳冨蘆花)」、「あまり声が大きいので奥に寝ていた小栓は眼を覚ましてさかんに咳嗽はじめた(「薬」魯迅)」、「居士は間もなく激しい咳嗽がいそうと共にそのコップに半分位の血を吐いた(「子規居士と余」高浜虚子)」、「挨拶をしようと思う努力が、すぐ咽喉のどに障ったと見えて、今まで多少落ち付いていた咳嗽せきの発作が一度に来た(「道草」夏目漱石)」などがある。
「咳嗽」の例文としては、「慢性的に咳嗽が続く場合は、喫煙を控え栄養状態にも注意する必要がある」、「喀痰を伴う3週間以内の咳は急性咳嗽といい、原因の多くは何らかの感染である」、「咳嗽に関わる神経で最も重要なのは,迷走神経である」などを挙げることができる。
「咳嗽」の英語用例・例文
「咳嗽」を英語で表現すれば「coughing」となる。用例・例文としては「preventing,treating and symptom-improving agent of chronic coughing(慢性咳嗽の予防、治療および症状改善剤)」、「This pranlukast hydrate is useful for the prevention, treating and/or symptom-improving agent of chronic coughing, especially the atopic coughing and coughing after the upper respiratory inflammation(プランルカスト水和物は、慢性咳嗽、なかでもアトピー咳嗽または急性上気道炎後の咳嗽の予防、治療および/または症状改善剤として有用である)」(特許庁)などを挙げることができる。- 《咳嗽》の正しい読み方のページへのリンク