《ありますか》の敬語
「ありますか」の敬語表現
「ありますか」は「ある」に丁寧語を加えた「あります」の疑問形です。そのため、一応の敬語表現ではあるものの、ややカジュアルな印象を受け手に与えます。より丁寧な敬語としては、「ございますか」が使われています。「ありますか」の敬語の最上級の表現
「ございますか」は「ありますか」を丁寧語にした表現であり、すでに強い敬意が含まれています。さらに上の敬意を込めたいのであれば、「クッション言葉」を添えましょう。「失礼ながら~はございますか」「お手数ですが~はございますか」など、クッション言葉を用いた文章では印象がやわらかくなります。謙虚な気持ちを強調できるので、相手を不愉快にさせる可能性も低くなるでしょう。「ありますか」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「ございますか」はビジネスシーンでも多用する表現です。お客様や取引先とのやりとりでは、基本的に「ありますか」ではなく「ございますか」を使います。以下、メールや手紙における例文です。「この件については、直接お会いしてからご説明したく存じます。明日以降で、お時間はございますか」「生憎、弊社ではその商品のライセンスを保有しておりません。御社にはございますか。ご確認のほどよろしくお願いします」「かしこまりました。弊社の提案に操作性のアピールも加えておきます。ほかにご希望はございますか」
また、質問がぶしつけにならないよう、クッション言葉を使うことも意識してみましょう。以下、例文を挙げます。
「失礼ながら、御社では改装工事の経験はございますか。現在、依頼先を探しております」「恥ずかしながら、弊社では説明会を行える機材が揃っておりません。お手数ですが、御社にプロジェクターはございますか」「よろしければご回答いただきたいのですが、御社に生産管理システムはございますか」
「ありますか」を上司に伝える際の敬語表現
身近な上司であれば、「ありますか」という言い回しでも通用します。「ございますか」は非常に丁寧な言葉遣いなので、親しい相手にはおおげさな印象を与えることもあるからです。ただし、あまり関係性の深くない上司相手なら「ございますか」を使うようにしましょう。また、役職がかなり離れている上司にも「ございますか」を用いることが無難です。「ありますか」の敬語での誤用表現・注意事項
「ありますか」を丁寧に言い換えようとして、「ありますでしょうか」という形にする人もいます。あるいは、「ございますか」を「ございますでしょうか」と言ってしまうのもよく聞く表現です。ただし、これらは敬語の間違った使い方になるので気をつけましょう。「ます」や「ございます」は丁寧語に分類される語句です。一方、「でしょうか」は「だろう」の丁寧語であり、「ます」や「ございます」と同じ種類の言い回しです。丁寧語を続けて使うのは「二重敬語」と呼ばれる誤った文法になります。「ありますか」を丁寧に直したい際は、「ございますか」で十分です。次に、「ございますか」で気をつけたいのは「相手への皮肉になってしまうこと」です。日本語では過剰に丁寧な表現を用いると、逆に失礼なケースもあります。また、当然の物事をあえて質問にして、「そのようなことも知らないのか」と馬鹿にする表現も使われてきました。つまり、本人は「ございますか」と丁寧に発信しているつもりでも、受け手の機嫌を損ねてしまう可能性があるのです。このような事態を回避するには、クッション言葉を工夫しましょう。「念のため」「確認のため」といったクッション言葉を用いれば、「あって当然だとは思うのですが、あくまでも念押しで聞いています」というニュアンスを強調できます。例文は、
「念のためお聞きしたいのですが、経験はございますか」「確認のためお答えくださいませ。免許はございますか」
などです。
そのほか、ビジネスメールや手紙では「ございますか」と質問した後の文章も重要です。なぜなら、「ございますか」で話題を終わらせてしまうと、「回答を望む」という強制に読み取れてしまうからです。「ご回答のほど、よろしくお願いします」「お答えいただければ幸いです」などの文言を後ろに添えることで、「お願いしている」というニュアンスを伝えられます。
「ありますか」の敬語での言い換え表現
「ございますか」とほとんど同じ意味の言葉が「ございませんか」です。これは「ありませんか」を丁寧に言い換えたフレーズです。文法的には「ございますか」と「ございませんか」のどちらを使っても問題はありません。ただし、微妙にニュアンスが異なるので、文脈を踏まえて言い換えましょう。まず、「ございますか」は肯定的な回答を期待しているときに使います。そのため、「ご希望はございますか」「ご要望はございますか」といった文章になります。一方、「ございませんか」は否定的な回答が予想されるときに使われてきました。「問題はございませんか」「間違いはございませんか」などが正しい用途だといえるでしょう。そのほか、「ございますか」の類語には「置いていますか」「揃っていますか」「準備していただけますか」などがあります。ただ、これらの語句は単に「存在しているか」と聞いている「ございますか」よりも、具体的で踏み込んだ表現です。物事の有無を知りたいだけならば「ございますか」を使うようにしましょう。
《ありますか》の敬語
ありますかの敬語表現
「ありますか」はすでに丁寧語ですので、このまま使用しても失礼にあたる言葉ではありません。一般的にこのまま丁寧語として用いられることが多い言葉ですが、あえて尊敬語として用いるのであれば、「おありですか」といった表現も使えます。また、丁寧語である「でしょう」と尊敬語の「お」を加えることによって、「おありでしょうか」といった表現にすることもできますが、普段使いとして使うには少々丁寧すぎる言い回しになりますので、不自然に感じてしまう人もいます。このような言い方もあるという程度に留めておくのがよいでしょう。不自然にならない程度にさらに丁寧な印象にしたいときは、「ございますか」という表現があります。「~はございますか」の「~」の部分に何を置いても、多くのケースにおいて違和感なく使うことができますので、「ありますか」よりも丁寧にしたい場合、「ございますか」を用いるのが無難です。ありますかの敬語での誤用表現・注意事項
「ありますか」の誤用表現として多いのが「ありますでしょうか」です。「ありますでしょうか」には、「ありますか」と「あるでしょうか」の二つの丁寧語が入っているので、二重敬語になってしまいます。敬語表現は、基本的に丁寧語は一つの文に一つだけという原則があるので、二重敬語は誤りとなります。同じような理由で誤用表現となるのが「ありましたでしょうか」です。「ありますでしょうか」の過去形として用いられることが多い「ありましたでしょうか」ですが、こちらも二重敬語になってしまっているので、誤った表現です。「ありますか」を過去形にしたいのであれば、「ありましたか」という表現になります。よく使われる「ありますでしょうか」の例として、「お時間はありますでしょうか」や「ご質問はありますでしょうか」など、より丁寧な言い回しにしようとして、使用してしまう例が挙げられます。丁寧そうに見えても、表現の方法としては誤りですので、注意が必要です。また、目上の人に対してだけではなく、多くの場面において、「ありますでしょうか」を多用している人も少なくありません。「ありますか」は、そのままの「ありますか」や「おありですか」で十分丁寧な言葉であり、目上の人に対しても、このまま使うことができる言葉であるということを理解することが重要です。ありますかの敬語での言い換え表現
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