《都合がいい》の敬語
「都合がいい」の敬語表現
「都合(つごう)」とは、「都(全て)」と「合」を合わせた熟語です。「(他の物事に)影響を与えるわけ、事情」や「やりくりをする(金銭の融通、予定の調整)」、「具合が良いか、悪いか」という意味。「都合がいい」は、「(他の事柄との関係が)上手くいく、状況が好ましい、成り行きや具合が良い」といった意味をもっています。相手の状態や、意見を聞く際に使用する表現です。敬語表現ではないため、目上の相手に対して「都合がいい」をそのまま使用すると失礼にあたります。「都合」の敬語表現は、「ご」をつけた「ご都合」。「ご」は、尊敬の意を表す接頭語です。また、「いい」を「よろしい」に変換した「都合がよろしい」も、「都合がいい」の敬語表現の1つ。「よろしい」は「よい(いい)」の丁寧な言い方であり、「許可できる、差支えない」という意味も含まれています。「都合がいい」は、「都合はいい(都合はどう)?」と相手に予定を尋ねる際に使用することが多いです。敬語表現では、「ご都合はいかかですか」や「ご都合の良い日は~」などと言います。
「都合がいい」の敬語の最上級の表現
「都合」に尊敬の接頭語「ご」をつけ、「いい」を丁寧な「よろしい」に変換した「ご都合がよろしい」という表現になります。相手に対する敬意が込められていると言えます。しかし、基本的に「ご都合がよろしい」をそのまま単体で用いることはありません。相手の予定(都合)を尋ねたい場合は、「でしょうか」を合わせて「ご都合はよろしいでしょうか。」とします。「でしょうか」は、不明、不確かなことを問いかける「だろうか」の丁寧な表現です。「都合がいい」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
ビジネスシーンでは、日程調整を目的としたメールに「都合がいい」という表現を用いることが多いです。相手に希望の日程を伝える場合は、候補日を3日から5日程度挙げる必要があります。希望する日程は早めに伝える、なるべく選択肢を多くして選びやすくする、といった相手に対する配慮が欠かせません。例文として、「~の件でご連絡させていただきました。以下日程にてご都合のよろしい日時をご連絡いただけますでしょうか。(希望の日程を箇条書きで挙げる)もしご都合が合わないようであれば調整いたしますので、ご遠慮なくお申し付けください。」が挙げられます。相手に希望の日時を指定してもらう場合は、「~様のご都合の良い日時をご指定ください。」や「~様のご都合のよろしい日時の候補をいくつかお知らせください。」いった表現が適切です。すでに日程が決定している場合に用いるのは、「ご都合はよろしいでしょうか。」。「次回の面談を8月12日の14時に予定しております。ご都合はよろしいでしょうか。」や「10月20日14時に御社にお伺いしたいのですが、ご都合はよろしいでしょうか。」といった形にします。
「都合がいい」を上司に伝える際の敬語表現
「都合の良い日時を教えていただけますか。」のように、「都合がいい」をそのまま使用しても失礼にはあたりません。しかし、フランクな表現であるため避けた方が無難です。「都合がいい」の敬語表現である「ご都合が良い」や「都合がよろしい」、「ご都合がよろしい」などは、上司に対して用いる場合にも適切だと言えます。「都合の良い日時を教えていただけますか。」の敬語表現は、「ご都合の良い日時を教えていただけますか。」などです。「都合がいい」の敬語での誤用表現・注意事項
「都合」に接頭語をつける場合、「お」を使用するのは誤りです。ビジネスシーンはもちろん、日常会話でも「お都合がいい」とは言いません。基本的に、漢語には接頭語「ご」を、和語には接頭語「お」をつけるとされています。「漢語」とは、中国の言葉を日本に取り入れたもの。「天地」や「注文」のように、音読みの熟語は「漢語」です。一方、「和語」は古くから日本で用いられてきた言葉を指します。「山(やま)」や「川(かわ)」といった、訓読みの熟語が「和語」です。よって、音読みの熟語「都合(つごう)」は「漢語」。「漢語」には接頭語「ご」をつけるため、「ご都合」となります。「都合がいい」の敬語での言い換え表現
「都合がつく」。「予定や予算を調整する、工面する」や「状況が適している」といった意味を持っています。「都合がいい」と同様、相手の予定を尋ねたり、日程の調整をしたりする場合に使用することが多いです。「都合がつく」に尊敬の接頭語「ご」をつけると、「ご都合がつく」という敬語表現になります。「ご都合がいい」と同様、「都合」に接頭語「お」をつけて「お都合がつく」と言うことはありません。「ご都合がつく」は、「ご都合がつく日時」や「ご都合がつく時間帯」、「ご都合がつきましたら(つくようでしたら)」といった形で使用します。「ご都合のよろしい日時をお知らせください。」や「~様のご都合の良い日程にて設定いただければと存じます。」は、それぞれ「ご都合のつく日時をお知らせください。」、「~様のご都合のつく日程にて設定いただければと存じます。」と言い換えることが可能です。また、「ご都合がつきましたら、歓迎会にご参加ください。」という用法もあります。
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