《鄭》の正しい読み方
「鄭」の正しい読み方
漢字の「鄭」は、「鄭重」という言葉では「てい(-ちょう)」と読む。現代中国人または台湾人の姓としては「チェン」、韓国人の姓としては「チョン」と読まれることが多い。中国の歴史的人物の名前としては「てい」と読むことが多い。古代中国における国家の名称としての「鄭」は「てい」と読まれる。姓としての「鄭」はこの国名に由来するとされる。
「俗っぽい下らない音楽」を「鄭声(ていせい)」というが、これも古代中国の国家「鄭」に由来する。
「鄭」の意味解説
国名としての「鄭」は、中国の周の時代の列国である。紀元前4世紀頃に韓によって滅ぼされたが、その子孫が落ち延びて鄭氏を名乗ったとされる。現代中国における「鄭」姓はこれに由来するという。中国語では「鄭」は「チェン」と発音する。そのため、現代中国人の姓としての「鄭」は原語を尊重して「チェン」と読まれる場合が多い。なお大陸では簡体字表記「郑」が主。
ただし歴史上の人物の姓としての「鄭」は、日本語の読み方である「てい」が用いられることが多い。たとえば鄭和(ていわ)など。
朝鮮語では「鄭」は「チョン」と読む。朝鮮の五大姓(「金」「李」「朴」「崔」「鄭」)のひとつである。現代朝鮮人の姓としての「鄭」も、原語を尊重して「チョン」と読まれる場合が多い。
なぜ「鄭」を「てい」と読むのか・理由
「鄭」を「てい」と読む理由は、漢語の読み方 zhèng が日本語的に変化したためと考えられる。なお「鄭(てい)」は音読みであり、訓読みは基本的にない。
現代日本語では「鄭」の字は「鄭重」以外ほとんど用いられないが、近代日本文学では夏目漱石をはじめ複数の文人が「鄭寧(ていねい)」という表記・表現を用いていたことが確認できる。すなわち、「丁寧」「丁重」の「丁」は、「鄭」の異体字もしくは代用字として用いられていることが推察される。
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