《とんでもございません》の敬語
「とんでもございません」の敬語表現
大前提として、「とんでもございません」も一応の敬語表現ではあります。ただし、やや雑な印象を残すフレーズです。目上の人との会話、メールでは「とんでもないことです」「とんでもないことでございます」と使うようにしましょう。「とんでもございません」の敬語の最上級の表現
「とんでもございません」の敬語の最上級は「滅相もございません」になります。意味はほとんど同じであるものの、「滅相もございません」はより恐縮しているニュアンスが強くなっています。社外の人間には「滅相もございません」を使うのがビジネスマナーだといえるでしょう。「とんでもございません」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
「とんでもございません」の敬語はビジネスシーンで使うこともあります。以下、メールや手紙での例文を挙げていきます。「とんでもないことです、私共といたしましては、与えられた責務をまっとうしただけでございます。むしろ、こちらからお礼申し上げます」
「また、お褒めにあずかり、とんでもないことでございます。これからもご期待に沿えるよう、尽力していく所存です」
「とんでもないことですが、そのようにご評価いただいたことは素直にありがたく思います。担当者にも伝えておきます」
「私は無我夢中で話していてだけであり、とんでもないことでございます。課長様の助け舟がなければ、どうなっていたか分かりません」
「弊社の商品についてのご感想ですが、とんでもないことです。お客様のようなご意見をうかがうことができて、改めてご提供できてよかったと思いました」
「いつもありがたいお言葉をかけていただき、とんでもないことでございます。厳しい業界ではございますが、ともに成長していけたら幸いです」
さらに、なじみのある文章ではないものの、「とんでもございません」の敬語表現を、否定的な文脈で使うこともあります。以下、例文です。
「それが本当ならとんでもないことです。早急に撤回を要求いたします」
「怒っているなんて、とんでもございません。御社の誤解をとくためでしたら、弊社は何度でもご説明させていただきます」
「とんでもございません」を上司に伝える際の敬語表現
「とんでもございません」を上司に伝える際は、「滅相もございません」にするのが一般的です。なぜなら、「とんでもない」というフレーズには「ありえない」という意味が含まれているからです。つまり、上司の発言を受けて「そのような発言をするなんてありえない、間違っている」という意味になりかねません。また、「とんでもない」という言葉自体をおおげさに考える人もいます。上司相手なら「滅相もございません」というフレーズの方が自然にやりとりできるでしょう。「とんでもございません」の敬語での誤用表現・注意事項
「とんでもないことです」ではなく、「とんでもございません」の形にすることには賛否があります。なぜなら、「とんでもない」で「恐縮である、ありえないことだ」という意味の言葉だからです。「とんでもございません」は一般的に広まっているものの、日本語として正確とはいえません。「とんでもない」の後に「~ことです」「~でございます」と付け加えるのが、正しい日本語表現です。一方で、「とんでもございません」でも意味は通じてしまうので、「どちらでもいい」とする意見も少なくありません。そこで、念入りに言葉を紡ぐ場合には、「とんでもないことです」「とんでもないことでございます」を選ぶ程度に覚えておきましょう。次に、「とんでもないことです」というフレーズは、多用しないように要注意です。「とんでもない」とは「ありえない」という意味なので、そもそも頻繁に使うようなフレーズではありません。口癖のように連発していると、信ぴょう性が薄まってしまいます。また、相手に軽薄な印象を抱かれかねません。仮にメールを送るのだとすれば、「とんでもないことです」は1回しか使わないようにします。相手との会話の中でも、続けて使わないように気をつけましょう。
そして、「とんでもないことです」という言葉が否定的に聞こえないような工夫も肝心です。相手に褒められた場合、「とんでもないことです」と返すだけでは、受け入れているのかいないのか分かりにくくなりかねません。「とんでもないことです。ありがとうございます」とお礼も一緒に述べることで、受け入れて感謝している気持ちを示しやすくなるでしょう。
「とんでもございません」の敬語での言い換え表現
「とんでもございません」に置き換えられる敬語表現には「恐縮です」「光栄です」があります。このうち、「恐縮です」とは「おそれおおい、身がすくむ思いだ」という意味です。相手に評価されたとき、謙遜しながら感謝を伝えるためのフレーズだといえるでしょう。それに対し、「光栄です」は「誇らしく思う」という意味の言葉です。評価された事実に関して、より直接的にうれしい気持ちを表しています。「とんでもございません」に比べると、「恐縮です」や「光栄です」は喜びをはっきり示しやすい返事だといえるでしょう。「とんでもない」を「不可能だ、ありえない」という意味で使うなら「もってのほかでございます」「途方もないことです」などの言い換えも可能です。ただ、これらはおおげさに聞こえるので、ビジネスシーンではあまり多用されてきませんでした。
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