《ちなみに》の敬語
「ちなみに」の敬語表現
「ちなみに」とは、前に述べた事柄のあと、補足などを付け加えるときに用いられる接続詞です。漢字を用いて書けば「因みに」となり、「因」とは物事の原因や、直接的な原因をあらわします。「ところで、併せて、なお、ついでに言うと」といったニュアンスがあるので、場面によって便利に使える言葉であり、日常会話で使われることも珍しくはありません。「ちなみに言うと」などのように、後ろに動詞をくっ付けて福祉的な利用がされてるのも通常です。「ちなみに」とは、単独の表現では決して敬語とはなり得ない単語です。しかし話し言葉全体の敬語表現のなかで、組み合わせて敬語として使いやすい言葉と言えます。「ちなみに」を敬語で言う場合、「ちなみに申しますと」と表現するのが代表的です。これは動詞の言いますを、敬語の申しますに置き換えた用法です。
「ちなみに」の敬語の最上級の表現
「ちなみに」を最上級の敬語で表すとすれば、「ちなみに申し上げますと」が最適となります。「申し上げます」とは動詞の「言う」の謙譲語である「申し上げる」のあとに、丁寧語の「ます」が付いているものです。会話の中で「ちなみに申し上げますと」と表現することにより、話し相手に対して丁寧で礼儀正しい印象を与えることができます。これは常日頃から敬意をあらわすべき相手や、自分よりも目上の人に対しては、率先して使っていい言葉です。「ちなみに」の最上級の敬語は、日常会話の中で口にしても違和感をそれほど感じられません。そのため普段の会話やビジネスのシーンでも、自然に使いやすい言葉とされています。
「ちなみに」の敬語のビジネスメール・手紙での例文
ビジネスメールや手紙の中で、「ちなみに」を敬語で用いる場合には以下のような例文となります。「最近はイチオシ商品の売上が伸びてきたようで、何よりでございます。ちなみに商品の販促キャンペーンについての資料も、上がっております」「明日の会議の時刻が、変更になっております。ちなみに会議で予定していましたテーマも、変更となりました」「〇〇様から郵送いただいたお土産の、種類と物量には驚かされました。ちなみにお土産の中に私の好きなお菓子が含まれていたことも、嬉しく思った要素です」ビジネスメールや手紙で「ちなみに」を敬語で使うとき、前に述べた事柄のキーワードを意図し、それに関連した内容をつなげることを心がけます。
「ちなみに」を上司に伝える際の敬語表現
上司に対して「ちなみに」を使うなら、場合によっては敬語を意識せずに使っても構いません。しかし「ちなみに申しますと」「ちなみに申し上げますと」と敬語表現にすることによって、当たり障りがなくなります。ただ上司との会話の中で「ちなみに」を連発してしまうと、会話の中に違和感や不自然さを感じ取られてしまうことでしょう。そのため上司に伝える際には「ちなみに」を多用しない、あるいはちなみにを言い換えた別の表現を織り交ぜていくことも大切になります。「ちなみに」の敬語での誤用表現・注意事項
「ちなみに」を使うとき、人によっては意図せず誤用してしまうケースがあります。「ちなみに」の敬語での誤用表現では、以下のようなものがあります。「この商品はいつの出荷になるのか不明です。ちなみに本日は社員食堂に新メニューが登場すると伺っています」「まだ担当する派遣スタッフが到着しておりません。ちなみに社員の1人が体調不良となり、早退しております」以上の例文では前に述べた事柄と、「ちなみに」のあとの事柄に関連性がないので、完全な誤用となります。注意事項として「ちなみに」の後に続く言葉は、疑問形になると成立しないルールが上げられます。これもビジネスのシーンで誤用されてしまいがちです。具体的な誤用例は次のようなものがあります。「新商品の開発のほうも、完成に近づいたようです。ちなみに新商品の名前の候補は、ご覧になりましたか?」「イベント予定日はあいにくの台風であるとのことで、中止になれば残念なことです。ちなみにイベントの代替え開催の日程は、すでにお決まりですか?上記のように一見しては文章として成立しているようですが、疑問形では使えないことを頭に入れておくとよいです。
「ちなみに」の敬語での言い換え表現
「ちなみに」は通常の言い方ですが、敬語での言い換え表現は幾つか存在しています。よく使われる表現に「ついでに」があります。これは「ちなみに」と同じく話を補足するものであり、敬語で表せば「ついでに申し上げれば」といった形です。「付け足し」も言い換え表現にできる言葉です。敬語で表すと「付け足して申しますと」のような形です。ただ「ついでに」は軽い印象で、「付け足し」はややくだけた印象を与えることも考慮する必要があります。内容を補足するなら「なお」で言い換えるとよいです。なおは完全に補足に特化した表現で、敬語と組み合わせの用法になります。なおの場合も「ちなみに」と同様、疑問形での使用が不可能なことも留意点となります。「ところで」は話の切り替え時に使われる語句ですが、「ちなみに」の言い換え表現とできます。ところでは疑問形にしても構わないという利点があるので使いやすく感じられます。また「ちなびに」と訛化したものが存在します。「ちなびに申しますと」などと敬語表現に利用できますが、それほど使われず一般的ではありません。
《ちなみに》の敬語
ちなみにの敬語表現
「ちなみに」という言葉は、本題の内容について補足事項があるときに、本題と補足事項をつなぐ言葉です。そこまで重要な補足事項ではないけれど、どちらかというと伝えておいた方がよいだろうという補足事項を付け足す際に使われます。これらのことから、「ちなみに」でつなぐ補足事項は本題と関係ある内容でなくてはなりません。本題と関係のない内容について、「ちなみに」でつなぐことはできませんので注意が必要です。「ちなみに」は補足事項を説明する際に便利な言葉ですが、敬語や丁寧語ではありません。ですので、人によっては好ましく思わない可能性もありますので、使う相手やタイミングには気をつけましょう。どうしても使いたいのであれば、「ちなみに」に「申し上げますと」や「申しますと」を付け加えると、丁寧な印象にすることができます。もっと丁寧な印象を与えたいのであれば、ほかの言葉に言い換えることもできます。「また」や「付け加えると」、「蛇足ですが」などに言い換えることができますので、本題と補足事項の関係性や、自分と相手の関係性などを考慮して使いわけると良いでしょう。ちなみにの敬語での誤用表現・注意事項
「ちなみに」はあくまで補足する事項があるときに使う言葉です。「~である。ちなみに」として使うのが一般的であり、文章の冒頭からいきなり「ちなみに」と始めてしまうのは誤りです。文章と文章の間の接続詞として使う言葉であることを覚えておきましょう。また、「ちなみに」は直前の文章の補足事項を伝えるときに使いますので、前の文章と後ろの文章に関連性がなくてはなりません。全く関係のない二つの文章を「ちなみに」で繋ぐことは誤用となりますので、注意が必要です。質問文として、「ちなみに~ですか?」と使うのも誤用です。「ちなみに」は文章の始めに置く言葉ではありませんし、仮に、「○○でした。ちなみに~ですか?」と文章の間に置いたとしても、本来の「ちなみに」の使い方とは異なります。「ちなみに」の後ろの質問に重きが置かれているように捉えられてしまう可能性もありますので、誤解を生まないためにも、正しい使い方を理解することが重要です。他にも注意事項として、一つの文章の中で多用するのは避けた方がよいでしょう。一つの文にいくつも「ちなみに」という言葉が繰り返されると、本当に伝えたい内容が分かりにくくなってしまうことがあります。ちなみにの敬語での言い換え表現
・また・なお・ついでながら・付け加えますと・蛇足ながら・補足いたしますと・関連して- 《ちなみに》の敬語のページへのリンク